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ドジャース初戦敗戦はなぜ?3併殺と得点圏.091の落とし穴、山本由伸が挑む第2戦の勝ち筋【2026 NLCS】

ドジャース
1 - 2
ブルワーズ
2026年10月11日(現地)/10月12日(日本時間) | アメリカン・ファミリー・フィールド | NLCS第1戦 ドジャースは2回に先制したが3併殺で追加点を奪えず、4回トゥラングの同点ソロ、5回ララの勝ち越し打で1-2の敗戦。シリーズはブルワーズの1勝0敗
初戦の併殺打
3併殺
1回スミス、2回キケ(1死満塁)、5回フリーマン。残塁9
PS得点圏(5試合)
2/22
打率.091。2安打はどちらもアンディ・パヘス
第2戦の先発
山本由伸
相手はヘンダーソン。日本時間10月13日(火)6:00開始予定
30 SEC REVIEW

30秒で分かる、初戦の敗因と第2戦の見どころ

  1. 01
    怪物を早く降ろしても、取れたのは1点

    ミジオロウスキーを4回1/3・94球で降板させたが、ブルワーズ救援に残り4回2/3を無失点に抑えられた。

  2. 02
    3併殺と得点圏22打数2安打

    初戦は1回スミス、2回キケ、5回フリーマンの3併殺。ポストシーズン5試合の得点圏は2/22で、2安打とも打ったのはパヘス。

  3. 03
    ブルワーズは1点の取り方を2つ持っていた

    4回はトゥラングのソロ本塁打、5回は四球→犠打→ララの適時打。一発と、四球から進める攻撃の両方で点を取った。

  4. 04
    第2戦は山本由伸。ただし相手も崩れない

    ヘンダーソンは2026年の対ドジャース2先発で12回1自責点。山本の好投を得点に変えられるかが焦点になる。

この記事の情報について

本記事は2026年10月12日(日本時間)、NLCS第2戦の開始前に書いています。第1戦の結果は確定事項ですが、第2戦(日本時間10月13日6:00開始予定)の結果は含みません。第2戦の打順はMLB公式の「予想」で、正式スタメンではありません。勝ち抜け確率は当ラボ推定・未校正の簡易モデルによる参考試算です。

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5回2失点、7奪三振。エースのタリク・スクーバルが試合をつくり、救援陣も無失点。それでもロサンゼルス・ドジャースは、ミルウォーキー・ブルワーズとのナ・リーグ優勝決定シリーズ(NLCS)第1戦を1対2で落とした。しかもドジャースは、100マイルを超える速球を投げるジェイコブ・ミジオロウスキーを4回1/3、94球で降板させている。球数を投げさせ、粘り、走者も出した。怪物右腕を早く降ろすという目的は果たしたのだ。なのに、1点しか取れなかった。原因を「大谷翔平がホームランを打たなかった」「スクーバルが失点した」だけで片づけると、第2戦も見誤る。そして第2戦の先発は山本由伸。昨年、同じ球場で完投勝利を挙げた男だ。ただし今回のテーマは「山本は何点に抑えるか」ではない。山本の快投を、ドジャース打線は今度こそ勝利に変えられるのか。

01第1戦の結果 数字以上に痛かった攻撃の停滞

2026年10月11日(米国現地)、日本時間10月12日。アメリカン・ファミリー・フィールドでの第1戦は、ドジャース1-2ブルワーズ。安打はドジャース7、ブルワーズ6。失策は両チーム0。先発はドジャースのスクーバルが5回2失点・7奪三振、ブルワーズのミジオロウスキーが4回1/3・1失点・5奪三振・94球だった。

FLOW第1戦の得点と3併殺(スコアは左がドジャース)
  1. 1回
    スコア 0-0

    フリーマンが安打で出塁。続くスミスが併殺打で攻撃終了(併殺1つ目)。

  2. 2回表
    スコア 1-0

    大谷の四球、テオスカーの安打からパヘスの適時打で先制。続く1死満塁でキケが遊ゴロ併殺(2つ目)。

  3. 4回裏
    スコア 1-1

    トゥラングの同点ソロ本塁打。

  4. 5回
    スコア 1-2

    表はフリーマンが併殺打(3つ目)。裏はミッチェル四球→プラット犠打→ララ適時打で勝ち越し。

  5. 9回表
    スコア 1-2 試合終了

    2死からタッカーと代打デポーラが四球。ベッツの中堅深くへの打球をミッチェルが捕球。

読みどころドジャースは3度の併殺で攻撃が途切れ、残塁9。ブルワーズは本塁打と四球起点の2つの方法で2点を取った。

出典: MLB公式Box Score・試合レビュー。2026年10月11日(米国現地)/10月12日(日本時間)。

2回1死満塁、試合最大級の分岐点

ドジャースは2回、大谷の四球などを足場にアンディ・パヘスの適時打で先制した。続いて1死満塁。追加点を奪うには理想的な場面だったが、キケ・ヘルナンデスが遊撃ゴロの併殺に倒れた。遊撃プラット、二塁トゥラング、一塁バウアーズの連係が得点機を断ち切った。振り返ると、この攻守が試合最大級の分岐点だった。

ブルワーズは違う二つの方法で2点

4回にはブライス・トゥラングのソロ本塁打で1-1。5回はギャレット・ミッチェルが四球で出塁し、送りバントで二塁へ。ルイス・ララの適時打でブルワーズが勝ち越した。本塁打で1点。四球から進塁させて、もう1点。それに対してドジャースは3度の併殺で攻撃が途切れた。併殺打はスミス、キケ・ヘルナンデス、フリーマンの3人。残した走者は9人だった。

図1 | 第1戦 イニング別・累計得点の推移
0 1 2 3 1 2 3 4 5 6 7 8 9
ドジャース ブルワーズ

※イニング得点はドジャース 0,1,0,0,0,0,0,0,0、ブルワーズ 0,0,0,1,1,0,0,0,X(MLB公式Box Score)。ブルワーズは9回裏の攻撃がないため線を8回で止めている。

9回、あと一歩届かなかった反撃

9回にも反撃はあった。2死からタッカーと代打デポーラが連続四球。最後はムーキー・ベッツがセンター深くへ打球を飛ばしたが、ミッチェルに捕られた。大逆転の夢は、あと一歩届かなかった。

02得点圏22打数2安打。しかも両方パヘス

実は、問題は初戦だけではない。地区シリーズの4試合でドジャースの得点圏打撃は16打数1安打。NLCS第1戦は6打数1安打。つまり2026年ポストシーズンの最初の5試合で、得点圏22打数2安打、打率.091になる。しかも、得点圏で安打を打ったのはアンディ・パヘスだけだ。地区シリーズで勝負を決めた適時打も、NLCS第1戦の先制打も、どちらもパヘスだった。

大谷、ベッツ、フリーマン、スミス、マンシー。これだけの名前が並びながら、走者を置いた大事な場面で打線がつながっていない。なんとももどかしい数字だ。地区シリーズは3勝1敗、14得点8失点で突破したが、8本塁打で14得点中11点が本塁打由来だった。長打で勝ち、つないで取る点が少なかったことになる。

22打数は小標本

ただし、ここは誤解したくない。「22打数2安打」は過去5試合の観察結果で、打線の本来の能力を示す永続的な数字ではない。得点圏打率は短期間で大きく揺れ、打席での偶然、相手の投手力、打球方向、守備にも左右される。それでも、今のチームが追加点を取れていないことは事実だ。これはパヘス以外を責めるための数字ではない。この5試合で誰が得点を生み出していたかを正しく評価し、次の打者へどうつなぐかを考えるための材料である。

03「ミジオロウスキーを降ろせば勝ち」が通用しない理由

初戦のドジャースは、速球派ミジオロウスキーに粘りを見せた。とくに2回は35球を投げさせ、94球で5回途中降板に追い込んだ。しかし勝敗を左右するのは、先発が何球で降りるかだけではない。降板させるまでに何点取ったか。さらに、その後の救援陣から何点取れるかだ。

救援23回2/3で防御率0.38

ブルワーズの救援陣は初戦、残り4回2/3を無失点。ポストシーズン最初の5試合の合計では、23回2/3で自責点1、防御率0.38、被打率.163という圧倒的な短期実績を残している。ホール、ウリーベ、アシュビー、メギルという中心の4人は、試合終盤を異なる球種・利き腕・役割でつないでくる。「先発を攻略できたから後は楽になる」とは、むしろ逆なのである。

もちろん防御率0.38を救援陣の真の実力と同一視してはいけない。これは5試合の救援全体の数字で、4人それぞれの防御率でもない。それでも、救援が明らかに調子を上げている相手への戦い方は別に用意しなければならない。ブルワーズの強さは、速い球を投げる一人の怪物ではなく、投手と守備を組み合わせて最後の1点を守る仕組みにあった。先発を降ろしただけでは、試合は終わらない。

04ブルワーズは「足のチーム」だけではない

2026年レギュラーシーズンの成績を並べると、両軍が異なる方法で得点してきたことが分かる。

2026年レギュラーシーズンのチーム成績(Baseball-Reference 162試合集計)
項目ドジャースブルワーズ
勝敗100勝62敗103勝59敗
得点801832
失点600618
得失点差+201+214
出塁率.338.341
OPS.762.743
図2 | 得点の入口の違い 本塁打・盗塁・四球(2026年レギュラーシーズン)
0 200 400 600 204 154 72 162 628 668 本塁打 盗塁 四球
ドジャース ブルワーズ

※Baseball-Referenceの2026年162試合集計。盗塁はデータ提供元の更新時点により数が異なる表示もあるため、同じ系列(Baseball-Reference)にそろえている。ブルワーズの盗塁死は54。

得点はブルワーズが31点上

長打力で上回るのはドジャース。しかし得点総数ではブルワーズが31点上だ。さらにブルワーズの年間四球は668、1試合平均4.12個。盗塁だけではなく、四球による出塁が得点の入口になっている。初戦5回の攻撃は、この特徴が凝縮された場面だった。先頭四球、送りバント、適時打。相手のわずかな隙を1点に変えた。だから第2戦の山本にも、ホームランを警戒するだけでなく「先頭四球から連続出塁を許さない」という課題がある。

なお103勝と100勝は実際の勝敗の差で、短期シリーズの結果を保証するほどの大差ではない。2026年の直接対決はドジャースの3勝4敗、総得点はドジャース27-ブルワーズ25。ただしドジャースの27得点のうち11得点は5月23日の1試合で、他の6試合は16得点・平均2.67点だった。7試合の対戦成績を長期的な相性と断定はしない。

05山本由伸には、ミルウォーキーで二つの記憶がある

ここからは山本の話をしたい。山本由伸とアメリカン・ファミリー・フィールドには、対照的な二つの記憶がある。

2025年7月7日、2/3回5失点

2025年7月7日。山本はブルワーズ相手に、初回途中のわずか2/3回で5失点(自責点3)。大リーグ移籍後、最も苦しい登板の一つとなった。

約3か月後のNLCS第2戦、9回1失点

そして約3か月後の2025年NLCS第2戦。同じ球場での雪辱の機会。ところが、初球をジャクソン・チョウリオに本塁打にされた。また悪夢が始まるのか。だが、そこから山本は立て直した。以降は失点ゼロ。9回1失点、111球、7奪三振、1四球。27個のアウトを自分一人で取り、ドジャースが5-1で勝った。

2/3回で降りた同じ球場で、3か月後には9回を投げ切る。同じ球場で、最悪も最高も経験した投手だ。それが第2戦に向けた最大の希望の一つになる。ただし、過去の快投が今年の勝利を保証するわけではない。

06昨年の感動だけではない。山本は今もエースだ

2026年レギュラーシーズンの山本は185回を投げ、防御率2.53。直近の地区シリーズ第3戦でも、ブレーブス相手に7回1失点、10奪三振、1四球という快投を見せた。

GAME 2 STARTER

山本由伸

2025年NLCS第2戦で完投した球場に、ふたたび第2戦の先発として戻る

2.14PS通算防御率(11登板・個人)
9勝1敗PS先発10試合のチーム成績
102026 NLDS第3戦の奪三振

2026年レギュラーシーズンは185回を投げて防御率2.53。直近の地区シリーズ第3戦はブレーブス相手に7回1失点、10奪三振、1四球だった。防御率2.14は救援登板も含む本人の11登板の記録で、9勝1敗は山本が先発した日のチーム成績。この2つは別の数字として読む。

同じアメリカン・ファミリー・フィールドで、2025年7月7日は2/3回5失点(自責点3)。約3か月後の2025年NLCS第2戦は、初球をチョウリオに本塁打にされたあと立て直し、9回1失点・111球で完投した。

数値は第2戦開始前時点。第2戦は日本時間10月13日(火)6:00開始予定で、結果は本記事の対象外。

個人の成績とチーム成績を分ける

山本が先発したポストシーズン10試合で、ドジャースは9勝1敗。これは山本自身の勝敗ではなく、先発登板日のチーム成績だ。山本本人のポストシーズン通算は、救援登板も含む11登板で防御率2.14(第2戦開始前時点)。この2つは別の数字として扱う。

対ブルワーズ直近3登板

相手ブルワーズとの直接対戦も頼もしい。2025年NLCS第2戦は9回1失点、2026年5月24日は7回1失点、2026年8月14日は6回1失点・9奪三振。

図3 | 山本由伸の対ブルワーズ直近3登板の投球回
0回 3回 6回 9回 9回1自責 7回1自責 6回1自責 2025年NLCS第2戦 2026年5月24日 2026年8月14日

※3登板を足すと22回3自責点、参考防御率は約1.23(3×9÷22)。異なる年・異なる条件の3登板を足した参考値で、第2戦の失点や今後の防御率を予測するものではない。2025年NLCS第2戦は完投(111球)。

それでも、ブルワーズ相手に長い回を投げてきた実績はある。「明日も防御率1.23の投球をする」という予測ではなく、長いイニングを任せられる根拠の一つとして読む。

07だが相手ヘンダーソンも、簡単には崩れない

山本が強いから第2戦は勝てる。そう思いたくなるが、相手にはもう一人の難敵がいる。ブルワーズの先発予定は24歳のローガン・ヘンダーソン。2026年は11勝3敗、防御率2.47、98回1/3、110奪三振、19四球、WHIP約0.84。速球で勝負でき、制球にも優れた右腕だ。

COMPARE第2戦の先発対決 山本由伸 vs ローガン・ヘンダーソン
山本由伸(ドジャース)
2.532026年防御率
185回2026年投球回
1.23対MIL直近3登板の参考防御率
ヘンダーソン(ブルワーズ)
2.472026年防御率
98⅓回2026年投球回
0.75対LAD防御率(2026年2先発)

結論投球回も相手打線も違うため、防御率だけで優劣は決まらない。山本が1失点に抑えても、ヘンダーソンも1失点なら勝敗は決まらない。

対MIL直近3登板は2025年NLCS第2戦と2026年5月24日・8月14日を足した22回3自責からの参考値。対LADは2登板・12回1自責の小標本。どちらも第2戦の予測ではない。

通算24先発で4失点以上なし

MLB公式によれば、ヘンダーソンはメジャーのレギュラーシーズンとポストシーズンを合わせて通算24先発。その24試合で4失点以上したことは一度もない(自責点ではなく失点で、各試合3失点以下)。

2026年の対ドジャースは12回1自責点

2026年のドジャース戦も2先発で12回、被安打5、自責点1、13奪三振、4四球。5月22日は5回無失点・7奪三振、8月16日は7回1自責点・6奪三振だった。対ドジャース防御率0.75。これは12回という短期の結果で、将来の失点率が0.75になるという意味ではない。それでも、ドジャース打線を実際に封じてきた投手なのだ。

山本が1失点に抑えたとしても、ヘンダーソンも1失点なら勝利は決まらない。ここで初戦のテーマが戻ってくる。山本の投球だけでなく、ドジャース打線が点を奪う方法を考えなければならない。

08「待つだけ」では攻略できない。ヘンダーソンの球種を分解

ヘンダーソンは、速球を荒れさせて四球を重ねるタイプではない。今季のドジャース戦2試合では178球中123球が記録上のストライクで、69.1%だった。1イニングあたりの投球数は14.83球。ただしストライク数には見逃し・空振り・ファウル・インプレーの打球も含まれる。69.1%が「甘い打てる球」の割合という意味ではないし、何でも初球から振るべきという根拠でもない。

DETAIL DATAヘンダーソンの球種別成績(2026年・Statcast)
球種使用率被打率被長打率空振り率対象打席
フォーシーム46.4%.155.27320.8%173
チェンジアップ35.2%.172.36137.4%129
カッター15.2%.288.51921.2%54
スイーパー3.1%.200.46714.3%15

出典: Baseball Savant。空振り率(Whiff%)はその球種にスイングしたうちの空振りの割合で、全投球に対する割合ではない。カッター54打席、スイーパー15打席は推定の揺れが大きく、「カッターを待てば必ず打てる」とは言えない。

フォーシームとチェンジアップで約8割

投球の柱はフォーシームとチェンジアップで、この2球種だけで全投球の約8割を占める。チェンジアップは速球との球速差でタイミングを外し、空振り率37.4%と最も空振りを奪っている。

カッターは手掛かりだが、54打席

一方、カッターは被打率.288、被長打率.519と相対的に打たれている。ただし対象は54打席。観察値としては攻略の手掛かりになるが、「カッターを待てば必ず打てる」という結論にはできない。戦術として考えたいのは、ボール球に手を出さず、打者有利のカウントで甘い球を逃さないこと。四球を待つだけでも、何でも振るのでもない。

なお初戦は3併殺だったが、「次はとにかくフライを打つべき」という話にもならない。ヘンダーソンのゴロ率32%は投球の傾向で、強い外野打球を保証するものではない。狙いはフライそのものではなく、好球を強く捉えて得点へ変えることだ。

09マンシーが示した、決め球攻略の実例

理屈だけで終わらせないために、一つの実際の打席を見てみよう。2026年8月16日。ヘンダーソン対マックス・マンシー。2死、カウントは2ボール0ストライク。ヘンダーソンの83.8マイルのチェンジアップを、マンシーが右方向へ運んだ。

打球速度101.6マイル、打球角度32度、飛距離370フィート。同点のソロ本塁打である。ヘンダーソンの最大の武器であるチェンジアップを、実際に打った打者がドジャースにいる。マンシーは今季の地区シリーズでも3本塁打を放っている。

もっとも、1本打ったから「もう攻略法を習得した」とは言えない。球速、落差、コースは毎球違う。示せるのは、打者有利のカウントで捉えられる球を逃さなかった実例と、そこから考えられる仮説までだ。攻略法は想像ではなく、あの1打席に手掛かりがある。

10大谷翔平の復調は、ホームランだけで測らない

大谷も注目される。ポストシーズンの大谷は長打が出ておらず、期待される爆発力を十分には示せていない。ただ初戦、大谷は1安打1四球で出塁し、2回の先制点では四球を起点にホームを踏んだ。ヘンダーソンとの2026年直接対決も5打数2安打、1四球。こちらも小標本だが、苦手投手だと決めつける理由はない。

ホームランを期待するのは自然だ。しかし、相手の決め球に無理に手を出さず、四球を選び、次の打者へつなぐことも大事な貢献になる。大谷一人の不振ではなく、次の一本が出ない打線の問題として分けて考えたい。

前後の打者、とくにスミス

前後を打つ選手にも注目したい。MLB公式の第2戦予想打順では、2番フリーマン、3番スミス、4番大谷。スミスは今ポストシーズン19打数1安打(第2戦開始前時点)と苦しんでいる。仮にこの打順になれば、大谷だけが奮起しても打線全体のつながりが改善するとは限らない。打撃が低調でも、捕手としての配球や送球の価値は別に評価する必要がある。

11左右交互の打順は、出塁してこそ武器になる

MLB公式の第2戦予想打順では、ドジャースの1~8番が右・左の交互になる。これは2026年10月12日時点の公式「予想」で、確定スタメンではない。

第2戦の予想打順(MLB公式の予想・確定ではない)
打順ドジャースブルワーズ
1ベッツ(右)遊チョウリオ(右)左
2フリーマン(左)一トゥラング(左)二
3スミス(右)捕バウアーズ(左)一
4大谷翔平(左)DHコントレラス(右)捕
5テオスカー(右)左ミッチェル(左)中
6マンシー(左)三イエリッチ(左)DH
7パヘス(右)中フレリック(左)右
8タッカー(左)右プラット(右)遊
9エドマン(両)二ハミルトン(左)三

※(右)右打ち、(左)左打ち、(両)両打ち。出典はMLB公式の第2戦プレビュー(Projected)。イエリッチ、フレリックらの起用も確定ではない。

3打者ルールと左右交互

こうした配置は、相手が救援を投入する際に、有利な打者だけを選んでぶつけにくくする。MLBの救援投手は原則、最低3打者に対戦するか、その半イニングが終わるまで交代できないからだ。しかし、初戦も似た配置で1得点だった。名前を交互に並べただけで相手は困らない。本当に相手を悩ませるのは、走者がいる打席で右のスミスがつなぎ、左の大谷が次の走者を返すような、打撃と走塁が実際につながる攻撃だ。打順の形より、打席の中身である。

12山本のスプリットは「試合をつくる球」へ

一方、山本も対ブルワーズに向けて武器を持っている。山本のスプリットといえば、低めに落として空振りを奪う決め球という印象が強い。しかし2026年8月のMLB公式分析によると、山本はスプリットを追い込んでからだけでなく、カウントの早い段階にも増やしていた。

初球スプリット10%→19%

打席の初球にスプリットを投げる割合は、2024年の10%から、2026年8月時点で19%へ上昇。投手に不利なカウントではスプリットの約48%をストライクゾーン内に入れ、2ストライク後はゾーン内30%未満とより低めへ落とすなど、同じ球種を二つの用途で使っている。当時、スプリットは山本の最多球種になっていた。ただし、これは2026年8月の記事時点の数字で、第2戦の配球を示すものではない。

年間668四球のブルワーズは、ボール球を簡単には追いかけない。だから「低めに落とせば必ず振ってくれる」という考え方では苦しくなる。スプリットでもストライクを取り、四球を避け、必要な場面では空振りを奪う。三振のためのスプリットが、試合をつくるスプリットになった。

相手打線は左打者が増える予想

ただし相手打線も初戦とは変わる可能性がある。スクーバルは左腕、山本は右腕。2026年ブルワーズのOPSは対左投手.705、対右投手.759(年間のチーム集計で、山本個人への相性ではない)。第2戦のMLB公式予想打順では、純粋な左打者が初戦の3人から6人に増える構想だ。チョウリオの速球対応、初戦のトゥラングの本塁打、左打者の連続出塁。山本には、昨年と同じように投げればよいとは限らない難しさがある。

13第2戦の勝利条件は「山本の完投」ではない

山本の強みは、長い回を任せられることでもある。仮に7回まで投げられれば救援の必要回は2回。5回で降りれば4回。その差は2イニングで、連戦のブルペン運用に影響する。ただし、7回や完投をノルマにするべきではない。球数、相手の打順、その日の調子に応じた交代が必要だ。

DECISION FLOW第2戦の勝ち筋3条件(分析上の整理)
  1. 攻撃打てる球を逃さず、先制後も得点するヘンダーソンが投げている間に点を取り、好調なブルワーズ救援への負担を減らす。
  2. 先発山本が先頭四球からの連鎖を断つブルワーズには一発も、四球→犠打→適時打の得点経路もある。最初の打者をどう抑えるか。
  3. 終盤打順と救援をつなぎ、最後のアウトを取り切るドジャースにもディアス、スコット、ベシア、フィリップスらの選択肢がある。

条件は「山本の完投」ではない。投手の好投と打線の得点力が一つになって、はじめて勝利になる。

7回や完投をノルマにはしない。球数、相手の打順、その日の状態に応じた交代が前提。

第一に、打線が出塁を得点へつなぎ、先制だけで満足しないこと。ヘンダーソンが投げている間に得点を奪い、強力なブルワーズ救援への負担を減らす。第二に、山本が先頭四球からの失点連鎖をできる限り断つこと。ブルワーズには一発も四球からの得点もあるため、最初の打者をどう抑えるかが大切だ。第三に、両軍の救援と打順の組み合わせを見ながら、残りのアウトをチームで取り切ること。

完投すれば絶対に勝てるわけではない。前日のスクーバルは5回2失点、救援も無失点で敗れた。初戦が示したのは、投手の好投と打線の得点力が一つになってこそ勝利が成立するという、当たり前で、しかし最も難しい事実だった。

142025年ワールドシリーズにも、同じ物語があった

最後に、もう一つ昨年の第2戦を思い出したい。先ほどの2025年NLCS第2戦とは別の試合だ。

2025年ワールドシリーズ。ドジャースはブルージェイズとの第1戦に4-11で敗れた。0勝1敗で迎えた第2戦に登板したのは、山本由伸だった。7回、勝ち越し本塁打を放ったのはウィル・スミス。続いてマックス・マンシーも本塁打を放った。そして山本は9回1失点で完投。ドジャースは5-1で勝ち、シリーズを1勝1敗に戻した。

ここで2026年の第2戦につながる。スミスは今、打撃で苦しんでいる。マンシーはヘンダーソンのチェンジアップを実際に本塁打にしたことがある。そしてマウンドには、また山本が上がる。昨年とまったく同じ結末になる保証はない。別の年、別の相手、別の選手状態の試合だ。しかし、同じ選手たちが苦しい局面を乗り越えた歴史は、ただの願望ではない。昨年のWS第2戦も、山本一人の完投勝利ではなく、打線の援護があって成り立っていた。

15当ラボ推定 第2戦の結果でシリーズ突破率はどう動くか

参考として、当ラボの簡易モデルでドジャースのシリーズ突破率を試算した。当ラボ推定・未校正の簡易モデルによる設定例で、予測の精度を保証するものではない。

ドジャースのNLCS突破率(当ラボ推定・未校正の簡易モデル)
時点・条件LAD突破率
シリーズ開始前46.17%
第1戦敗戦後(現在)31.89%
第2戦に勝って1勝1敗なら48.64%
第2戦も負けて0勝2敗なら17.80%

第2戦の結果によって、突破率の試算は30.84ポイント変わる。入力はレギュラーシーズンの勝敗(ドジャース100勝62敗、ブルワーズ103勝59敗)と得失点から出した期待勝敗(102勝60敗、103勝59敗)を半分ずつ混ぜ、Log5で中立地の1試合勝率を出し、ホーム側に±3ポイントの仮の補正をかけたもの。開催順はMIL、MIL、LAD、LAD、LAD、MIL、MIL(2-3-2)。

この試算の読み方

この数値は「山本対ヘンダーソンの第2戦の単独勝率」ではない。17.80%は「第2戦にも敗れて0勝2敗になった後、シリーズを最終的に突破する条件付きの確率」で、山本個人の敗戦確率でもない。モデルには当日の打順、球種相性、最新の健康状態、救援の疲労を入れておらず、各試合を独立・戦力固定として扱い、先発投手の能力も反映していない。小数点2桁は計算の再現値で、予測が高精度という意味ではない。モデルのバックテスト・校正は未実施で、実際のMLBの過去シリーズの逆転実績とも別物である。

16結論 今度は、みんなで勝て

エースが2失点に抑えても、1点しか取れなければ勝てない。初戦のドジャースが直面したのは、その現実だった。怪物ミジオロウスキーを4回1/3で降ろしても、ブルワーズ救援に残り4回2/3を無失点に抑えられ、3併殺で攻撃が途切れた。ポストシーズンの得点圏は22打数2安打。ブルワーズは本塁打と四球起点の攻撃という二つの方法で2点を取った。

第2戦は山本由伸。2025年7月に同じ球場で2/3回5失点(自責点3)を経験し、約3か月後のNLCS第2戦では完投した。相手のヘンダーソンも通算24先発で4失点以上がなく、2026年の対ドジャースは12回1自責点の難敵だ。だからこそ、山本が投げる。大谷が出塁する。スミスがつなぐ。マンシーが打つ。パヘスも守備と打撃で支える。最後は救援陣が締める。そのすべてがかみ合ったとき、ドジャースは再び勝利に近づくはずだ。

初戦の悔しさを、もう一本の安打へ。山本の快投を、もう一つの得点へ。今度は、みんなで勝て。

皆さんは、第2戦で最も重要な打者を誰だと思いますか? 大谷の復活弾、マンシーのもう一発、スミスの復調、それとも再びパヘスの勝負強さでしょうか。そして、山本は何回まで投げると思いますか。ぜひコメントやXで教えてください。

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17評価の限界

あえて逆から見ると

「ドジャースは併殺ばかり。全員フライを狙えばよい」── そう単純ではない。フライにも凡フライや浅い外野フライがある。大事なのは打球の高さを一律に指示することより、好球を強く捉え、走者がいるときに得点へ変えること。

「山本が7回1失点なら勝てる」── 前日のスクーバルは5回2失点、救援も無失点で敗れた。山本の1失点は好投だが、それだけで勝利は決まらない。

「ヘンダーソンは被打率が低いから打てる球がない」── 球種別の打率は対象の打者、打席数、コースが混ざった結果。マンシーがチェンジアップを本塁打にした実例はあるが、過信せず具体例として扱う。

「昨年NLCSで完投したから、今年も完投すべき」── 昨年の111球と今年の相手打順・その日の球数は同じではない。完投そのものを目的にしない。

「対右OPSが高いから、右腕の山本は厳しい」── 対右.759・対左.705はチーム全体の年間数字で、山本個人への相性ではない。

「スミスは19打数1安打だから下位へ回すべき」── 打順変更の利点は考えられるが、打席の質、捕手としての役割、控えの状態を合わせて判断する必要があり、特定の打順変更が正解とは言えない。

「2025年WSとそっくりだから、山本が今年も勝たせる」── 別の年、別の相手、別の選手状態の試合。先例は伏線として楽しみ、第2戦の結末を予言する材料にはしない。

「突破率17.80%は、明日の山本が負ける確率」── 違う。第2戦にも敗れて0勝2敗となった後の、シリーズ突破の条件付き確率(当ラボ推定・未校正の簡易モデル)。

加えて、得点圏22打数2安打やブルワーズ救援の防御率0.38は5試合の小標本、第2戦の打順はMLB公式の予想であり、正式スタメンではありません。

18動画・関連記事

この記事の内容を、ファンと指標解説者の掛け合いで約29場面に整理した動画があります。得点圏2/22の異変、山本の2025年の雪辱完投、マンシーによるヘンダーソンの決め球攻略の実例、ワールドシリーズ第2戦の再現まで、数字を見ながら楽しめます。

19SOURCES / 参照データ

※本記事の成績は、特記がない限り2026年10月12日(日本時間)時点の確定試合・2026年レギュラーシーズン集計によります。ポストシーズンの少数試合から選手の真の能力を断定するものではありません。第2戦の打順はMLB公式の予想であり、正式スタメンではありません。リンク先のレイアウトや数値は後日更新される場合があります。

⚠ 免責: 本記事はMLB公式サイト、Baseball Savant、Baseball-Reference、および公開された試合記録・報道記事をもとに、2026年10月12日(日本時間)・NLCS第2戦開始前の時点の内容を整理・分析したものです。ポストシーズンの少数試合から選手の真の能力を断定するものではなく、第2戦の打順はMLB公式の予想であり正式スタメンではありません。本文・動画で扱う勝ち抜け確率の当ラボ推定は、年間勝率・得失点由来の期待勝率・ホーム開催順を使用した未校正の簡易モデルによる設定例です。投手の個別能力、当日の打順、故障、球種相性、救援疲労を定量的に反映したものではなく、実際の勝敗を保証しません。AIデータ二刀流 LIVE(無料・アプリ不要)の対応試合や公開中の機能はサイトでご確認ください。勝率の表示は当ラボ推定です。特定の選手、球団、ファンを誹謗中傷する目的はありません。