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【ドジャース3連覇への道・後編】今季1勝5敗のブレーブスをどう倒す?初戦スクーバル、大谷・山本・佐々木で勝ち筋を徹底分析

※本記事にはアフィリエイト広告(PR)を含みます。

今季の直接対決
1勝5敗
ただし6試合の小サンプル。短期決戦の投手運用は別物
Game1先発(正式発表)
スクーバル ERA2.72
左腕。MLB公式のProbable Pitchersに表示済み
ブレーブス打線の対左OPS
.696
対右投手は.730。オルソンら左打者が中軸
30 SEC REVIEW

30秒で分かる、ブレーブス戦の勝ち筋

  1. 01
    1勝5敗は「天敵」の証明ではない

    今季の直接対決は6試合だけの小サンプル。短期決戦では投手運用・故障・休養・ロスターがレギュラーシーズンと別物になる。

  2. 02
    Game1スクーバルは「格上」ではなく「刺さり方」

    ブレーブス打線は対右OPS .730に対して対左OPS .696。オルソン、ハリスII、ボールドウィンら左打者が中軸にいる。

  3. 03
    大谷は身体が戻った。打撃はこれから答え合わせ

    身体面は好材料。一方、復帰後最後の5試合は21打数5安打・8三振。95mph以上への対応は初戦から確認する。

  4. 04
    鍵は27アウトと打席を「一番強い形」に配ること

    先発が4回で降板すれば残り15アウト。トライネン不在のブルペンを「9回だからクローザー」ではなく打順×レバレッジで使う。

この記事の情報について

本記事は2026年10月3日午前時点の情報で書いています。正式に発表されているのはNLDS Game1のドジャース先発がタリク・スクーバルであることまでで、Game2以降の先発、山本由伸の登板日、セールのGame2登板はいずれも発表前です。本文で「可能性」「分析案」と書いている部分は、公式発表ではなく筆者の整理です。大谷翔平の95mph以上への成績比較は8月31日時点の期間比較、佐々木朗希の救援成績は3試合3回の小サンプルです。登板予定や登板順は発表時点の情報で変わります。

01今季1勝5敗。本当に「天敵」なのか

100勝62敗。それでも、ブレーブスには1勝5敗。ドジャースの3連覇への最初の相手は、レギュラーシーズンで最も嫌な印象を残したアトランタになった。だが、「今年5回負けたから相性が悪い」だけでは、短期決戦の分析にならない。前編では、2026年ドジャースの100勝が本物だったのかを分解し、「100勝はかなり本物。ただし10月は“強さの総量”より“強い戦力をどこに配るか”が重要になる」と結論づけた。後編では、この考え方を実際のNLDS・ブレーブス戦へ当てはめる。

DETAIL DATAシリーズ前提(2026年10月3日午前時点)
項目ドジャースブレーブス
レギュラーシーズン100勝62敗94勝68敗
今季の直接対決1勝5敗5勝1敗
Game1先発スクーバル(MLB公式に表示)TBD(ホームズ、リッチー、左腕オープナーなどが候補と報道)
ワイルドカード免除フィリーズに2勝1敗
Game1のセール―登板不可(WC最終戦で救援21球)

直接対決は6試合のみの小サンプル。短期決戦では現在の投手運用・故障・休養・ロスター・役割変更がレギュラーシーズン時と違う。ブレーブスのGame1先発はTBDで、候補は報道段階。

6試合は小サンプル

今季のレギュラーシーズン、ブレーブス側から見れば5勝1敗、ドジャース側から見れば1勝5敗。第一印象は「天敵」だ。ただし、これは6試合だけの話。「今季ドジャースが苦戦した相手」と書くのは正しいが、「ブレーブスはドジャースより強い」「相性で負ける」は言いすぎになる。6試合で決めつけるのは早い。

現在の投手運用は別物

もう一つ大きいのは、短期決戦では現在の投手運用、故障、休養、ロスター、役割変更が、レギュラーシーズン時と違うことだ。6試合を戦ったときのブレーブスと、ワイルドカードを勝ち抜いた直後のブレーブスは同じチームではない。だから「1勝5敗」から始めるのではなく、「いまのブレーブスはどう勝つチームか」から見ていく。

02ブレーブスはワイルドカードをどう勝ったのか

ブレーブスの強みを「5勝1敗」だけで終わらせない。シーズンの救援ERAは3.44でリーグ上位クラス。打線にはバットスピードの速い打者が多く、投手戦でロースコアへ持ち込み、長打で一気に点を取れる。怖さを並べるなら、一発、その前の四球、強い救援、そして役割変更を恐れない投手運用の4つだ。

3本塁打6点

ワイルドカード第3戦、ブレーブスは6得点。すべて本塁打絡みだった。1回はアクーニャの四球、オルソンの四球のあとにハリスIIの3ラン。4回はライリーの四球のあとにアルビーズの2ラン。7回はオルソンのソロ。3本塁打だから3点、ではない。実際は3+2+1=6点。

本当に怖いのはその前の四球

ここから出てくる攻略テーマは「ホームランを絶対打たれるな」ではない。「ホームランの前に走者をためるな」だ。一発をゼロにするのは難しい。しかし一発を3点にするか1点にするかは、四球と出塁で変えられる。ハリスIIの3ラン、アルビーズの2ランの前には、いずれも四球で走者が置かれていた。

セールを救援投入した理由

読者が疑問を持ちやすいのが、「次のNLDSがあるのに、なぜクリス・セールをワイルドカードで救援させたのか」だろう。事実を並べる。セールはワイルドカードGame1に先発し、最初の19アウトを記録。最終戦では、試合前に本人が監督へ救援可能と申し出た。首脳陣はフィリーズの上位打線が来る終盤で使うプランを作り、実際には最後の4アウトを担当した(21球)。監督は、NLDSを考えるより、まず目の前のWinner-take-allを終わらせることを優先した。セール本人も「翌日でも投げる」という趣旨の強い意欲を示した。結果はシリーズ突破。

代償は、NLDS Game1でセールが登板できないこと。Game2が最短候補だが、監督はワイルドカード直後の時点でGame2登板について「分からない」と話している。これは無意味なリリーフ起用ではない。「次シリーズより、まず今日を絶対取る」という短期決戦特有の戦力集中、前編のキーワードで言えば「戦力圧縮」の実例だ。ブレーブスのGame1先発は10月3日午前時点でTBD。グラント・ホームズ、J.R.リッチー、左腕オープナーなどが候補として報じられている。ただし「エース不在で楽勝」とは書かない。ワイルドカード第3戦では6投手で27アウトを取り、総力戦でも勝っているチームだ。それでも、アトランタはエースを使えず、ドジャースはスクーバルを投入する。ドジャース側としては、取りたい条件が揃ったGame1になる。

03なぜGame1は山本ではなくスクーバルなのか

後編の動画を作った時点では、山本由伸のGame1先発が有力という情報があった。その後、ドジャースはNLDS Game1の先発にタリク・スクーバルを選び、MLB公式のProbable Pitchersにもスクーバルが表示されている。本記事はこの最新情報を軸に書く。「なぜ山本ではない?」というより、「なぜスクーバルがGame1に最も合うと判断されたのか」を見る方が面白い。

ブレーブス打線の対左OPS .696

Game1起用の大きな理由は、ブレーブス打線の左右別成績にある。2026年のOPSは、対右投手が.730、対左投手が.696。左投手に対して数字を落としている。

左打者中心への刺さり方

ブレーブスの中心打者には、マット・オルソン、マイケル・ハリスII、ドレイク・ボールドウィンなど左打者がいる。ワイルドカード第3戦で本塁打を打ったハリスIIとオルソンも、この左打者たちだ。したがってGame1は、「山本よりスクーバルの方が格上」という意味ではなく、「ブレーブス打線への刺さり方を考えた配置」と見るのが自然だ。単純なエース順位ではない。

GAME 1 STARTER

タリク・スクーバル

左腕。ブレーブス打線への「刺さり方」で選ばれたGame1先発

186奪三振(2026年)
2.61ドジャース加入後ERA(10先発)
96.8mph4シーム平均球速

2026年は12勝7敗。ドジャース加入後は10先発で5勝2敗。4シーム平均96.8mphにチェンジアップ(xwOBA .231)を組み合わせ、K-BB%は25%超。158回2/3を投げてWHIP .96と、能力と稼働量の両方がそろっている。

ブレーブス打線は対右投手OPS .730に対して対左投手OPS .696。マット・オルソン、マイケル・ハリスII、ドレイク・ボールドウィンら左打者が中軸にいる。「山本よりスクーバルの方が格上」という意味ではなく、Atlanta打線への刺さり方を考えた配置と見るのが自然。

Game1は現地10月3日・ロサンゼルス(日本時間10月4日朝5時)。MLB公式のProbable Pitchersに表示済み。

スクーバルの速球+チェンジアップ

スクーバル自身の数字も確認する。2026年は12勝7敗、ERA2.72、186奪三振。ドジャース加入後は10先発で5勝2敗、ERA2.61。4シームの平均球速は96.8mph、チェンジアップのxwOBAは.231、K-BB%は25%超。速球で押し、左打者にも右打者にもチェンジアップで空振りを取れる。これを対左OPS .696の打線へ、しかもセールが投げられないGame1にぶつける。シリーズの入り方としては、ドジャースが選べる中で最も条件のそろった配置と言える。

044本柱をどう配るか

今回のNLDSで見る順番は、スクーバル、山本、スネル、グラスノー。これは能力の序列ではなく、Game1からのシリーズ設計順だ。全員強い。しかし「強さの種類」と「2026年の稼働量」が違う。ERAだけで並べると見落とす部分なので、投球回を一緒に見る。

図1 | 4本柱の2026年レギュラーシーズン投球回 ERAが近くても稼働量は大きく違う
0回 50回 100回 150回 200回 158回2/3 185回 42回2/3 74回 スクーバル 山本由伸 スネル グラスノー

※ERAはスクーバル2.72・山本2.53・スネル1.90・グラスノー3.53。ERAだけで序列化せず稼働量を併記する。スネルはERAが最も良い一方、投球回は42回2/3で4人の中で最も少ない。

スクーバル

ERA2.72、158回2/3、186奪三振、WHIP .96。主武器はチェンジアップ(xwOBA .231)。能力と稼働量の両方がそろっているのが、Game1を任せられる前提になっている。

山本由伸

ERA2.53、185回、182奪三振、WHIP .87。主武器はスプリットで、xwOBAは.208。4シームのxwOBAは.331。スプリットの使用率は26.6%で最多球種級だ。山本の特徴は、スプリットを「追い込んだ後だけの決め球」として使わないこと。初球や早いカウントでも使う。つまり「4シームで入って最後に落とす」という単純な配球ではなく、スプリット自体を配球の入口にできる。ブレーブス戦では、打者ごとにストライクを取る球から変えられるのが強みになる。

NLDSでの山本は、1先発になる可能性が高い。メジャーでは中4日以下で先発した経験がないためだ。もしGame2にスネルを起用するなら、Game3山本の可能性がある。ただしGame2以降は正式発表前で、確定ではない。2025年のワールドシリーズではGame6先発、翌Game7救援という特殊起用があったが、それを2026年NLDSの通常プランとしては扱わない。

スネル

2026年は4勝1敗、ERA1.90、42回2/3、55奪三振。カーブのxwOBAは.139、カーブのWhiffは48%級、スライダーのWhiffは50%超級。96mph前後の速球を見せて、カーブとスライダーで空振りを取る。注意点は投球回42回2/3。能力と稼働量は別だ。「ERA1.90だから7回まで当然」ではなく、球数、球質、状態を見て4〜5回での交代もありうる。ただしその場合、ブルペンには残り15アウトが回ってくる。

グラスノー

2026年はERA3.53、74回、98奪三振。カーブのxwOBAは.178、スライダーは.228、カーブのWhiffは53%級。ERAだけ見るより、変化球の空振り能力が強い投手だ。ブレーブス戦では、速球待ちの打者と変化球を追う打者を見ながら組み立てることになる。ただし球種相性だけで登板順を決めない。健康状態、調整、前戦までの消耗が優先される。

Game1〜Game5の条件付き設計

日程は、Game1が現地10月3日ロサンゼルス(日本時間10月4日朝5時)、Game2が10月4日ロサンゼルス、Game3が10月6日アトランタ、Game4が10月7日アトランタ(必要な場合のみ)、Game5が10月9日ロサンゼルス(必要な場合のみ)。休養日の位置が、先発の再登板、救援の連投、Game5の再登板に直結する。

DECISION FLOW5戦制の最新組み立て(Game2以降は分析案)
  1. Game1(現地10/3・ロサンゼルス)はスクーバル。これだけが正式発表MLB公式のProbable Pitchersに表示。対左OPS .696のブレーブス打線へ左腕をぶつける。
  2. Game2(現地10/4・ロサンゼルス)は未確定。スネルの可能性正式発表前。ERA1.90でも投球回は42回2/3。球数・球質・状態を見て早い交代もありうる。
  3. Game3(現地10/6・アトランタ)はGame2がスネルなら、山本の可能性山本はメジャーで中4日以下の先発経験がなく、NLDSでは1先発になる可能性が高い。確定ではない。
  4. Game4(現地10/7・アトランタ、必要な場合)はグラスノーを含む残りの先発陣前3戦の投球数とブルペンの消耗を反映して決まる。球種相性だけで登板順は決めない。
  5. Game5(現地10/9・ロサンゼルス、必要な場合)はスクーバル再登板が自然な選択肢Game1がスクーバルになったことで生まれる選択肢。確定ではない。

正式に決まっているのはGame1スクーバルだけ。Game2以降は発表前の分析案で、休養日・前の試合の球数・ブルペンの消耗で変わる。

旧案の「山本Game1→Game5」は最新情報で置き換わっており、本記事では使わない。

繰り返しになるが、正式に決まっているのはGame1スクーバルだけだ。Game1がスクーバルになったことで、必要になったGame5ではスクーバルの再登板が自然な選択肢になる。これも確定ではなく、Game1の球数、Game2〜4の消耗、相手の状態で変わる。

05大谷翔平は万全なのか

身体面は好材料

身体面は好材料だ。MLB公式では身体状態は良好という報道があり、球団側も健康面の大きな懸念はないとしている。直前の練習では山本との実戦形式に参加し、良いスイングという評価だった。「身体が悪いままポストシーズンへ」ではない。

復帰後5試合の打撃

ただし、健康と打撃の完全復活は別だ。復帰後最後の5試合は21打数5安打で打率.238、8三振、1四球。監督の評価も、打撃には多少の「錆び」があるという趣旨だった。年間のxwOBAは.397で打球品質は超一流。だからこそ、身体が戻ったことと、打撃が実戦で戻ることは、分けて確認する必要がある。

95mph以上への期間別低下

前編でも触れた高球速への対応をもう一度見る。95mph以上の球に対するwOBAは、6月13日まで.394、6月14日以降は.219。Whiff%は21.2から29.6へ上がった。ただし、これは8月31日記事時点の期間比較で、9月まで含む最終値ではない。方向性として「高品質な速球への対応が夏場に落ちた」ことは言えるが、いまの状態をそのまま表した数字ではない。

初戦で見るポイント

  • ゾーン内の速い球を強く振れるか:身体の好材料が打席に表れているかの最初のチェック。
  • 高め・外寄りを追わないか:ゾーン管理が戻っていれば、復帰後の8三振は一時的なものと読める。
  • 甘い球を一発で仕留めるか:年間xwOBA .397の打球品質を、初戦から出せるか。

3連覇への意味はこうだ。大谷がゾーンを支配できれば、ベッツ、フリーマンら後続への配球も変わる。大谷一人の状態ではなく、打線全体の攻められ方へ波及する。これが「大谷は身体が戻った。打撃はこれから答え合わせ」の中身になる。

06セール攻略 速球待ちだけでは足りない

スライダー xwOBA .215

セールがGame1に投げられなくても、シリーズのどこかで必ず相手にすることになる。セールの主武器はスライダー。被xwOBAは.215、使用率は39.9%、Whiffは38.2%。4シームの被xwOBAは.299。「左腕だから速球を狙えばよい」ではない。使用率39.9%で最も多く投げられるスライダーが、そのまま最も打ちにくい球になっている。

ゾーン管理

攻略の視点は3つ。1つ目は、セールが何でストライクを取るか。2つ目は、追い込んだ後に何で終わらせるか。3つ目は、打者のゾーンが広がっていないか。打者側で言えば、ゾーン外のスライダーを追わない。ただし、ストライクを取りに来る球を逃さない。この2つを同時に満たすゾーン管理が、速球待ちより重要になる。

左右別打順

対右投手の基本的な分析案として、1番大谷(DH)、2番ベッツ(SS)、3番フリーマン(1B)、4番スミス(C)、5番マンシー(3B)、6番パヘス(CF)、7番タッカー(RF)、8番テオスカー(LF)、9番エドマン(2B)を置く。これは公式オーダーではなく分析案だ。左腕が相手のときは、2026年の対左OPSが参考になる。

図2 | ドジャース主力5人の対左投手OPS(2026年レギュラーシーズン)
.000 .250 .500 .750 1.000 .907 .902 .847 .674 .605 テオスカー パヘス マンシー フリーマン スミス

※スミスは83打席の小サンプル。左腕ならテオスカー、パヘスを上位へという選択肢はあるが、単年の左右別成績だけで打順を固定しない。過去の傾向、現在の状態、相手のスライダー、救援交代まで見る。

0727アウトをどう取るか

野球は9回、27アウト。先発が6回(18アウト)まで投げれば、救援は残り9アウト。先発が4回(12アウト)で降板すれば、救援は残り15アウトになる。当たり前の算数だが、短期決戦の采配はここから組み立てる。

COMPARE27アウト設計 先発を早く代えると、誰が残りを取るのか
先発が6回まで投げたとき
6先発の投球回
18先発が取るアウト
9救援に残るアウト
先発が4回で降板したとき
4先発の投球回
12先発が取るアウト
15救援に残るアウト

結論「スネルは4回で早く替えればいい」だけでは采配にならない。問題はその後の15アウトを誰が取るのか。早く代える判断と、代えた後のバックアップはセットで考える。

制約: 3打者最低ルール、連投、翌日の試合、延長(ポストシーズンは自動走者なし)、ABSチャレンジ。トライネン(右肩炎症)はポストシーズン欠場。

6回なら残り9、4回なら残り15

スネルの項で「4〜5回での交代もありうる」と書いた。しかし「スネルは4回で早く替えればいい」だけでは采配にならない。問題は、その後の15アウトを誰が取るのかだ。早く代える判断と、代えた後のバックアップはセットで考える。制約も多い。3打者最低ルール、連投、翌日の試合、延長(ポストシーズンは自動走者なし)、ABSチャレンジ。

トライネン欠場

ここで大きいのが、ブレイク・トライネンの欠場だ。右肩炎症で2026年のポストシーズンを欠場、復帰見込みは2027年。27アウトを考えるとき、有力なカードが1枚減っている。「戦力圧縮」は、良い選手だけ使えばいいという話ではない。一人抜ければ、残った投手への重要アウトの集中がさらに強くなる。

ブルペンの主要候補は、タナー・スコット(ERA2.69、63回2/3、82奪三振、WHIP .99、25セーブ)、アレックス・ベシア(ERA2.64、58回、74奪三振、WHIP 1.07)、エドガルド・エンリケス(ERA2.85、60回、71奪三振、WHIP 1.03)。エンリケスは9月末にILから復帰したが、復帰が自動的に高レバレッジ固定を意味するわけではない。回復状態、登録、連投を確認する必要がある。

3打者最低

短期決戦では、9回が最重要とは限らない。例えば8回にアクーニャ、オルソン、ライリーが並ぶ。そこが最も勝敗を左右する場面なら、一番良い救援を8回に使う選択肢がある。候補を整理すると、左の主軸にはスコットとベシア、右打者帯にはエンリケス、高レバレッジには佐々木も候補になる。3打者最低ルールがある以上、次の1人だけでなく、次の3人まで見て投手を選ぶ。「誰がクローザー?」という問いを一度捨てることが、27アウト設計の出発点になる。

08佐々木朗希を100マイルだけで使わない

4シーム xwOBA .407

佐々木朗希の2026年の4シームは、xwOBA .407、被wOBA .432、Hard-Hitは56%級。年間では、4シームが最も打たれた球種の一つだった。「100マイルで押せばいい」という見方は、この数字と合わない。

スプリット .257

一方、スプリットはxwOBA .257、Whiffは36.5%。年間で結果が良かったのはこちらだ。使い方の軸は、速球を見せて、年間で結果の良かったスプリットやスライダーを生かすこと。球速だけに頼らず、組み合わせで重要アウトを取る。これが2026年の佐々木の役割になる。

HIGH LEVERAGE OPTION

佐々木朗希

100マイルだけに頼らず、スプリットを軸に重要アウトを取る救援候補

.4074シームxwOBA(2026年)
.257スプリットxwOBA
36.5%スプリットWhiff率

年間では4シームが最も打たれた球種の一つ(被wOBA .432、Hard-Hit 56%級)。一方でスプリットはxwOBA .257、Whiff率36.5%と結果が良く、決め球候補になる。速球を見せて、年間で結果の良かったスプリット/スライダーを生かすのが使い方の軸。

救援復帰初戦の4シーム平均は98.7mph。救援で球速・Stuffが改善した兆候は言ってよい。ただし救援は3試合3回の非常に小さいサンプルで、「完全復活」「100マイルに戻ったから無双」とは言えない。

高レバレッジの候補。8回にアクーニャ、オルソン、ライリーが並ぶなら、9回より8回の方が重要になりうる。

小サンプルの救援好材料

救援復帰初戦の4シーム平均は98.7mph。救援で球速やStuffが改善した兆候があるのは好材料で、ここまでは言ってよい。ただし救援は3試合3回。非常に小さいサンプルだ。「完全復活」「100マイルに戻ったから無双」は言いすぎになる。

ここで日本人3人の役割を整理しておく。大谷の役割は「打つ」。高品質な球を見極め、甘い球を仕留める。山本の役割は「外す」。速球と多彩な変化球で打者の狙いを外す。佐々木の役割は「組み合わせる」。球速だけに頼らず、スプリットなどを組み合わせて重要アウトを取る。「日本人3人すごい」では終わらない。3人は全く違う局面で3連覇に関わる。

092024年と2025年は勝ち方が真逆だった

2024年 役割を壊して勝った

2024年のNLDS Game4、ドジャースは先発不足からブルペンゲームを選び、8投手で9回無失点、8-0で勝った。ワールドシリーズGame5では、先発のウォーカー・ビューラーを9回の救援へ回した。打線も、相手と状態に合わせてエドマンを4番に置くなど可変運用だった。教訓は、弱い4番手を無理に作るより、27アウトを最適な投手へ分配すること。

2025年 先発集中

2025年は逆だった。NLCS終了時点で、先発がポストシーズン投球回の69.9%を担った。2024年のポストシーズン全体では42.2%で、集計範囲が違うため厳密な年比較ではないが、運用の方向が違うことは分かる。先発へ集中し、佐々木は高レバレッジの救援、山本はワールドシリーズGame6に先発して翌Game7で救援した。

共通する「戦力集中」

2024年は弱い先発層だったから役割を壊した。2025年は強い4エースがいたから先発へ集中した。勝ち方は真逆だ。しかし共通する思想は、「その年の最強戦力へ重要局面を集中」すること。だから、成功例を2026年へそのままコピーしない。2026年は4本柱と救援を、今年の健康状態、相手打線、休養を踏まえて選ぶ。過去の勝ち方を真似するのではなく、過去と同じ「考え方」で今年の最適解を作る。

103連覇を左右する5つのチェック

  • 4本柱が健康で揃うか:能力だけでなく、スネル(42回2/3)とグラスノー(74回)の稼働量を見る。
  • 打線が相手球質へ適応するか:特に大谷。身体は好材料、打撃は実戦で確認。
  • 27アウトのバックアップ:先発4回降板なら残り15アウト。トライネン欠場も影響する。
  • 救援を打順×レバレッジで使えるか:「9回だからクローザー」で固定しない。
  • 可変性を残せるか:守備、控え、残り投手、翌日まで考える。

世界一までの道は、NLDSでブレーブスに3勝、NLCSでブルワーズ/パドレスの勝者に4勝、ワールドシリーズでア・リーグ王者に4勝。3+4+4=11勝。11勝を一度に考えない。まず3勝。「3連覇できますか?」という大きな問いを、「まずこのシリーズで3勝するには?」まで小さくする。なお、NLCSの相手がブルワーズなら、平均4シーム100.6mphのジェイコブ・ミジオロウスキーが待つ。前編で見たチームの対速球系wRC+(144→98)とは別の数字で直接はつなげられないが、高品質な球への対応が10月を通したチェックポイントであることは変わらない。

さらに深掘り:よくある質問7つ(2026年10月3日午前時点)

Q. なぜGame1は山本ではなくスクーバル?

ブレーブスは対左OPS .696で、対右の.730より低く、中軸に左打者も多い。スクーバルの速球+チェンジアップがGame1に合うと判断されたと見られる。

Q. 山本は何戦目?

正式確定ではない。Game2がスネルならGame3の可能性。NLDSでは1先発になる可能性が高い。

Q. セールはGame2?

Game2が最短候補。ワイルドカード最終戦で21球を投げたため、監督は直後の時点でGame2登板を確定していない。

Q. なぜセールを救援で使った?

Winner-take-allだったため。セール本人が救援を志願し、フィリーズ上位打線へ使うプランを作った。次シリーズより目の前の突破を優先した。

Q. 大谷は万全?

身体状態は好材料。一方、復帰後最後の5試合の打撃は21打数5安打、8三振、1四球。打撃の実戦対応は初戦から確認が必要。

Q. 佐々木は復活した?

救援で球速上昇は好材料。ただし3試合3回で小サンプル。完全復活とは断定しない。

Q. クローザーは誰?

固定の9回役ではなく、打順×レバレッジで考えるのが今回の分析案。8回に相手の中軸が並ぶなら、8回の方が高レバレッジになりうる。

11結論 まずブレーブスから3勝

100勝したドジャースにとって、NLDSの最初の相手は、レギュラーシーズンで1勝5敗だったブレーブスになった。ただし、6試合の勝敗だけで「天敵」と決めるのは早い。アトランタはワイルドカードを勝つため、セールを先発だけでなく救援でも投入した。そしてその代償として、Game1ではセールを使えない。

一方のドジャースは、Game1にスクーバルを選んだ。これは単なるエース順ではない。アトランタは右投手相手にOPS .730、左投手相手には.696。オルソン、ハリスII、ボールドウィンら左打者も打線の中心にいる。だからGame1では、スクーバルの速球とチェンジアップを最初にぶつける。山本は、シリーズ中盤の重要な1戦を担う可能性がある。

大谷は身体面では好材料。しかし打撃は、高品質な速球に対してゾーン内で強く振れるかを実戦で確認する必要がある。佐々木も同じだ。100マイルという分かりやすい武器だけを見るのではなく、年間で結果が良かったスプリットをどう生かすかが重要になる。

そして短期決戦では、先発を4回で代える判断だけでは足りない。残り15アウトを、誰にどう取らせるのか。トライネンがいない中で、スコット、ベシア、エンリケス、佐々木をどこに配置するのか。2024年は役割を壊して勝った。2025年は4エースへ集中して勝った。勝ち方は真逆だった。だが共通していたのは、一番強い戦力を一番重要な場面へ集中したこと。2026年も同じだ。

3連覇まであと11勝。でも最初から11勝は取れない。まず、ブレーブスから3勝。そのために、27アウトと打席を一番強い形へ配る。それが今回のNLDSで見るべきテーマだ。1勝5敗という「相性」の話から始めて、調べるほど見るポイントが具体的な戦力配分へ変わっていく。短期決戦の面白さは、そこにある。

12評価の限界

あえて逆から見ると

「ブレーブスに1勝5敗だから相性最悪、勝てない」── 6試合だけ。現在の投手運用もレギュラーシーズン時と違う。「今季苦戦した相手」までが正確な表現。

「Game1が山本でないのは、山本よりスクーバルが上だから」── そうは読まない。ブレーブスの対左成績(OPS .696)と左打者中心の構成が関係している。相手への刺さり方で見る。

「セールをワイルドカードで救援させる意味がない」── 違う。Winner-take-allで目の前の突破を最優先し、本人が志願し、最重要打順へ投入した。短期決戦の戦力集中の実例。

「佐々木は100mphで押せばいい」── 4シームのxwOBAは.407、スプリットは.257。年間で結果が良かったのはスプリットの方。

「先発は早く替えればよい」── 4回降板なら残り15アウト。翌日まで含めたバックアップが必要で、代える判断だけでは采配にならない。

「一番良い救援は9回に使うべき」── 8回にブレーブスの中軸が並ぶなら、8回の方が高レバレッジになりうる。9回固定は前提にしない。

加えて、Game2以降の先発、山本の登板日、セールのGame2登板は本記事公開時点で正式発表前であり、本文の「可能性」「分析案」は発表によって変わります。

13動画・前編・関連記事

今回の後編は、「2026年ドジャースの100勝が本当に実力だったのか」を検証した前編の続きです。前編では、100勝62敗、得失点差+201、期待勝利数約102勝、xwOBA .338などから、100勝の中身そのものはかなり本物だったと結論づけました。一方で、夏には打線のwRC+が平均以下まで落ち、4本柱とそれ以外の先発格差、速球系への対応などの課題も見えました。後編は、その「強い戦力をどこに配るか」という問いを、ブレーブス戦に当てはめたものです。Game1スクーバルの理由から、27アウトの配分まで掛け合いで見たい方は動画版もどうぞ。

14SOURCES / 参照データ

※本記事の成績は2026年レギュラーシーズンの値を基本とし、先発予定・登板順・故障情報は2026年10月3日午前時点の情報です。Game2以降の先発は正式発表前で、本文の「可能性」「分析案」は公式発表ではありません。大谷翔平の95mph以上への成績比較(.394→.219、Whiff% 21.2→29.6)は8月31日記事時点の期間比較で、9月・10月を含む最終値ではありません。佐々木朗希の救援成績は3試合3回の小サンプルです。

⚠ 免責: 本記事はMLB公式サイト、Baseball Savant、および公開された試合経過・報道記事などをもとに、記載した基準日時点の内容を整理・分析したものです。先発予定・登板順・ロスター・故障情報は発表時点の情報であり、公開後に変わる可能性があります。本文中の「可能性」「分析案」(Game2以降の先発、山本由伸の登板日、セールのGame2登板、対右・対左の打順、救援の起用法など)は公式発表ではなく筆者の整理であり、球団の方針を示すものではありません。期間を区切った集計値や小サンプルの成績については、確認済み事実と分析・推測を分けて記載しています。本記事の見通しは現時点のデータにもとづくものであり、シリーズの結果や個々の試合の勝敗を保証するものではありません。特定の選手、球団、ファンを誹謗中傷する目的はありません。