阪神0-2DeNA|CSファイナル第1戦はなぜ7安打で0点だったのか――木浪代打・9回犠打・主軸16打数無安打を検証
30秒で分かる、7安打で0点だったCSファイナル第1戦
- 01阪神7安打、DeNA3安打。それでも0-2で完封負け
DeNAは宮﨑の先制打と佐野のソロ、2本の得点打で勝った。阪神は5度の得点機をすべて逃した。
- 02得点圏8打数0安打、1〜4番は合計16打数0安打
7安打はすべて5番以降の打順枠。出塁はできていたが、返す打者とつながらなかった。
- 03村上6回2失点、救援3人は無安打無失点
投手陣は試合を壊していない。平良は5回2/3無失点で、DeNAは5投手の継投で完封した。
- 04木浪代打と9回の犠打は、どちらも単純に正誤を決められない
6回の代打には根拠と反証がそろう。7回にも無死一・二塁から3者凡退しており、敗因を一つの采配に閉じ込めない。
得点ゼロ、安打7本。DeNAは3安打で2点。数字の見た目は奇妙だが、勝ち負けを決めたのは安打の総数ではなかった。10月14日のCSファイナル第1戦、阪神は村上頌樹が6回2失点、救援3人が無安打無失点と投手陣は踏ん張った。しかし2回・5回・6回と走者を得点圏へ進め、7回と9回には無死一・二塁を作りながら、最後まで1点が入らなかった。足りなかったのは安打ではなく、走者を得点に変える打順のつながりだった。この記事では、5度の得点機、村上と平良拳太郎の投げ合い、6回の元山飛優への代打・木浪聖也、2点差の9回の犠打、上位4人の状態を分けて整理し、10月15日の第2戦・髙橋遥人vs尾形崇斗の注目点までまとめる。
🎥 動画版:【阪神CS】7安打で完封負け…藤川采配は正しかった?代打・木浪と9回犠打、髙橋遥人の第2戦を徹底分析(YouTube)
※本記事は10月15日・第2戦開始前の時点で作成した第1戦の分析です。第2戦の結果は含みません。
01先に結論、阪神に足りなかったのは「得点になる打順のつながり」
DeNAの3安打のうち2本が得点打になった。阪神の7安打は1本も得点に結びつかなかった。得点圏は8打数0安打。報道では残塁は11に達した。そして近本光司、中野拓夢、森下翔太、佐藤輝明の1〜4番が合計16打数無安打に終わった。
相手投手の好投は正当に評価したい。ただし「平良が良すぎたから仕方ない」で片付けるのも違う。平良の降板後、阪神はDeNA救援4人から4安打を放っている。出塁はできた。返す打者とのつながりが作れなかったのである。試合後、藤川球児監督も好機での一本が出なかった点を挙げ、第2戦へ切り替える姿勢を示した。試合の中心はまさにそこにある。
6回の代打・木浪や9回の犠打は重要な論点だ。しかし敗因を一つの采配に閉じ込めると、むしろ本質を見落とす。
02試合の記録
| 項目 | 記録 |
|---|---|
| 日時 | 2026年10月14日(水)18:01開始、21:12終了(3時間11分) |
| 球場 | 阪神甲子園球場 |
| 試合 | CSファイナルステージ第1戦 |
| 最終スコア | 阪神0-2DeNA |
| 安打 | 阪神7、DeNA3 |
| 失策 | 両軍1 |
| 勝利投手 | 平良拳太郎 |
| 敗戦投手 | 村上頌樹 |
| セーブ | レイノルズ |
| 入場者数 | 42,645人 |
| シリーズ | 1勝1敗(阪神の優勝アドバンテージ1勝を含む) |
| 回 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 | 安 | 失 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| DeNA | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 2 | 3 | 1 |
| 阪神 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 7 | 1 |
※阪神0点7安打1失策、DeNA2点3安打1失策。DeNAの得点は1回の宮﨑敏郎の適時打と、6回の佐野恵太のソロ本塁打。出典:NPB公式の試合結果・投打成績。
03安打では上回ったのに、なぜ負けた?
DeNAの3安打は宮﨑が2本、佐野が1本。1回は村上が1死から牧秀悟と佐野に連続四球を与え、宮﨑の左前適時打で先制された。6回は2死走者なしから佐野が右中間へソロ本塁打。3本しか安打を打っていないチームが、2本の得点打で勝利をつかんだ。
一方の阪神は、大山悠輔2安打、坂本誠志郎2安打、元山1安打、代打・前川右京1安打、木浪1安打の計7安打。打順枠で数えると、1〜4番が16打数0安打、5〜9番が18打数7安打だった。7番の枠は元山と木浪で2安打、9番の枠は代打前川の1安打。上位4人が沈黙する一方、下位打順は走者を出し、攻撃をつないでいた。「全打線がまったく打てなかった」のではない。「出塁できていたのに、返す役の打者が機能しなかった」のだ。
※NPB公式の投打成績を打順枠ごとに合計。1〜4番は近本4打数(1四球)、中野5打数、森下3打数(1四球)、佐藤4打数。7番の枠は元山と代打木浪、9番の枠は代打前川・代打伏見を含む。
- 2回裏2死一・二塁
大山の左前安打、元山の右前安打。坂本が空振り三振。
- 5回裏2死一・二塁
牧の失策と近本の四球。中野が外角低めのシンカーを打って二ゴロ。
- 6回裏2死一・二塁
大山が平良の初球を左中間二塁打、岩田への継投後に髙寺が四球。元山の代打・木浪が空振り三振。
- 7回裏無死一・二塁
坂本と代打前川の連打。近本が空振り三振、中野が中飛、森下が見逃し三振。
- 9回裏1死二・三塁
木浪・坂本の連打で無死一・二塁、代打伏見の犠打で1死二・三塁。近本が遊飛、中野が二ゴロで試合終了。
読みどころ安打だけでなく、相手の失策と四球でも走者は出た。それを返す一本が、最後まで出なかった。
出典: NPB公式の試合経過。7回は無死一・二塁から始まり、中野の中飛で二塁走者が三塁へ進んで2死一・三塁となった。
この5度の得点機のうち、得点圏で打数になった打席は合計8。いずれも無安打だった。6回の髙寺望夢の四球と、9回の伏見寅威の犠打は打数に入らない。
| 打席 | 得点圏の状況 | 結果 |
|---|---|---|
| 2回・坂本 | 2死一・二塁 | 空振り三振 |
| 5回・中野 | 2死一・二塁 | 二ゴロ |
| 6回・木浪 | 2死一・二塁 | 空振り三振 |
| 7回・近本 | 無死一・二塁 | 空振り三振 |
| 7回・中野 | 1死一・二塁 | 中飛 |
| 7回・森下 | 2死一・三塁 | 見逃し三振 |
| 9回・近本 | 1死二・三塁 | 遊飛 |
| 9回・中野 | 2死二・三塁 | 二ゴロ |
ただし、これは1試合の結果だ。「阪神には生まれつき得点圏の勝負弱さがある」と長期の能力にすり替えてはいけない。一方で、この試合の敗因を説明する材料としては重い。
04村上の6回2失点はどう評価すべきか
村上頌樹は6回93球、被安打3、与四球2、5奪三振、2失点。初回の連続四球と宮﨑への適時打は反省点だが、2回から5回までは無失点で立て直した。6回の佐野の一発は、2死走者なし、カウント2-0からの3球目。初回は四球で走者をためての失点、6回は早いカウントでの長打。同じ1点でも、失い方は違う。
結論被安打3・与四球2は2人とも同じ。違ったのは、その走者が得点になったかどうか。村上が打ち込まれた試合ではない。
出典: NPB公式の投手成績。球数は村上93球、平良88球。被安打・与四球が同じでも、相手打順や球種・配球、交代時の状況は違うため「投球内容が同じ」とは言えない。
対する平良拳太郎は5回2/3、88球、被安打3、与四球2、6奪三振、無失点。許した安打と四球の数は村上と同じだが、失点に結びつけなかった。カットボールやシンカーなど変化する球でコースを突き、5回2死一・二塁では中野を外角低めのシンカーで二ゴロに仕留めている。速球に力負けしたというより、異なる変化とコースへの対応を求められた試合だった。
先発同士の出来だけを比べれば、村上が一方的に打ち込まれた試合ではない。むしろ「6回2失点で勝てなかった」という援護不足の構図が、ここでも繰り返された。
| 投手 | 投球回 | 球数 | 被安打 | 与四球 | 奪三振 | 失点 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 村上頌樹(阪神) | 6 | 93 | 3 | 2 | 5 | 2 |
| 及川雅貴(阪神) | 1 | 15 | 0 | 0 | 1 | 0 |
| セベリーノ(阪神) | 1 | 17 | 0 | 2(うち敬遠1) | 0 | 0 |
| 神宮僚介(阪神) | 1 | 14 | 0 | 0 | 1 | 0 |
| 平良拳太郎(DeNA) | 5回2/3 | 88 | 3 | 2 | 6 | 0 |
| 岩田将貴(DeNA) | 1/3 | 10 | 0 | 1 | 1 | 0 |
| 伊勢大夢(DeNA) | 1 | 20 | 2 | 0 | 2 | 0 |
| 浜地真澄(DeNA) | 1 | 12 | 0 | 0 | 1 | 0 |
| レイノルズ(DeNA) | 1 | 19 | 2 | 0 | 0 | 0 |
※阪神の救援は計3回46球、被安打0、無失点。DeNAの救援は計3回1/3、61球、被安打4、無失点。
05相川監督の継投、平良を88球で降ろした
6回裏、2死走者なしから大山が平良の初球を左中間へ二塁打。相川亮二監督はここで平良を降ろし、左の岩田将貴を投入した。岩田は髙寺に四球を与えたが、代打・木浪を空振り三振に抑えた。7回は伊勢大夢が先頭から2安打を許しながら無失点、8回は浜地真澄が三者凡退、9回はレイノルズが連打を浴びても最後まで失点を防いだ。
DeNAの救援4投手は3回1/3で計4安打を許した。それでも得点はゼロ。継投の「危なげなさ」ではなく、「ピンチを切った」ことが勝因になった。平良を含めた5投手の継投による完封である。
阪神にとっての問題は、平良を降ろさせた後に攻撃の流れをつかめなかったことだ。長いシーズンなら次の試合の得点機に期待できても、短期決戦ではそうはいかない。
06元山への代打・木浪、どの数字を信じるかで評価が分かれる
6回裏、2死一・二塁。岩田への継投の後、藤川監督は元山飛優に代えて代打・木浪聖也を送った。元山はこの試合すでに1安打。木浪は1ボール2ストライクから空振り三振に倒れた。この判断が注目されたが、対立する数字を並べると、簡単に「正解」「失敗」とは決められないことが分かる。
| 指標 | 元山飛優 | 木浪聖也 | 読み方 |
|---|---|---|---|
| OPS | .577 | .508 | 打撃全体では元山が上 |
| 四球率 | 10.2%(19/186) | 5.5%(9/163) | 割合は打席数が分母 |
| 三振率 | 20.4%(38/186) | 25.2%(41/163) | 三振回避も元山が上 |
| 対左投手打率 | .163(43打数7安打) | .321(53打数17安打) | 左投手に絞ると木浪が逆転。ただし少数標本 |
| 9月20日の対岩田 | 1死二塁から四球 | 2死一・二塁から適時内野安打 | 1打席ずつで再現性は低い |
OPSはNPB公式成績、対左投手打率は左右別の外部データ。四球率・三振率は打席数を分母にした独自計算。対左投手打率は左投手全体の成績で、岩田将貴との相性そのものではない。
打撃全体の出塁や三振回避では元山が良い。一方、左投手という条件に絞れば木浪が大きく上回る。だから木浪への代打には説明できる根拠がある。
しかし相手は岩田だった。変則フォームで左打者への起用が期待される投手ながら、2026年レギュラーシーズンの被打率は対左.314(70打数22安打)、対右.179(39打数7安打)と、役割のイメージとは逆の数字が出ていた。左右の打数が少なく、起用場面の偏りも含む数字なので、右に強く左に弱い投手と決めつけることはできない。対左打者の球種はスライダー44.3%、ツーシーム31.1%、ストレート24.6%で、前の2つで約4分の3を占める。左投手全体への打率.321が、そのまま岩田を打つ確率になるわけではない。岩田は10月11日のCSファーストステージで左打者3人を凡退させ、取材に対して球種の使い方を見直したと説明している。ただし3打席で「完全に修正された」とまでは言えない。
さらに9月20日の7回、岩田との対戦では、木浪が2死一・二塁から三塁への適時内野安打を放つ前に、元山も1死二塁から四球を選んでいた。岩田に結果を残していたのは木浪だけではない。
結局、木浪の代打は説明できる勝負手だが、元山の続投より明確に優秀だったとは証明できないというのが妥当な評価だろう。木浪は直後の7回の守備で失策も記録したが、9回には安打で出塁した。結果の良い場面も悪い場面も、判断した時点の合理性とは分けて考えたい。
077回の無死一・二塁、上位3人で得点できなかった
6回の代打より重かったと感じる人もいるだろう。7回裏、坂本の中前打と、代打・前川が伊勢の初球を左前へ運ぶ連打で無死一・二塁。打順は近本、中野、森下に回った。近本は0ボール2ストライクから空振り三振。中野はフルカウントから中飛で、二塁走者は三塁へ進んだ。2死一・三塁で森下は見逃し三振。
一見すると「森下はなぜ振らなかった」と批判したくなる。しかし伊勢が最後に投じた外角低めの直球は、放送解説で質の高い1球と評価されていた。見逃したという結果から、消極性や故障を断定すべきではない。狙い球や投球の見え方は、本人の説明なしには確定できない。
ただし、打撃の不安そのものは消えない。この試合の森下は1回遊ゴロ、4回四球、6回遊飛、7回見逃し三振。CS前最後の公式戦6試合では13打数2安打、長打0の一方で9四球を選び、出塁率は.500だった。選球眼が崩れたわけではないが、強い打球で走者を返す役割には課題が残る。大事なのは森下を「絶不調」とひとまとめにすることではなく、出塁能力と、長打・打球の質を別々に観察することだ。
089回の送りバント、成功した作戦が得点を生むとは限らない
9回裏、木浪の左前安打と坂本の二塁内野安打で無死一・二塁。坂本には代走・福島。藤川監督は9番に伏見を代打に送り、伏見は初球で一塁前へ犠打を決めて1死二・三塁とした。しかし近本は遊飛、中野は初球を打って二ゴロ。試合はそのまま終わった。
- 木浪の左前安打、坂本の二塁内野安打無死一・二塁、2点ビハインド坂本には代走福島。打順は9番。↓
- 代打伏見が初球で一塁前へ犠打1死二・三塁一本の適時打で同点を狙える配置。そのかわり残りアウトは2つになった。↓
- 近本がレイノルズの球を打ち上げる遊飛で2死2死二・三塁で中野に回る。↓
- 中野が初球を打つ二ゴロで試合終了得点圏の8打数目も無安打だった。
犠打の技術的な成功と、2点差で2点以上を取る可能性が上がったかどうかは別の問い。比べたいのは平均得点ではなく、同点・逆転の確率。
打者や相手投手、走者の脚力を加えたモデルでは算定していないため、強攻した場合の確率は示さない。犠打が正解・不正解だったとは断定しない。
送りバントで得られるのは、一本の適時打で同点を狙いやすくなる配置だ。そのかわり確実にアウトを一つ渡し、残りのアウトは二つに減る。一方、伏見に打たせてアウトを使わずに攻撃を続ける道もあったが、こちらには併殺で好機が消える危険もある。
「1点だけ」が欲しい局面なら進塁には意味がある。だがこの場面は2点差で、目標は同点、さらに勝ち越しだった。したがって作戦の是非は、犠打の成功率や平均得点だけでなく、2点以上を奪う確率や、同点・逆転の確率で比べたい。
ただし今回、打者や相手投手、走者の脚力を加えたモデルで代わりの作戦の勝率を計算したわけではない。犠打が確率上の誤りだった、あるいは正解だったとは断定しない。結果が無得点だったという事実と、打つ前の判断の良し悪しも区別しておきたい。
09近本・中野・森下・佐藤、「4人まとめて不振」でいいのか
この試合の上位4人は合計16打数無安打。ただ、CS前最後の公式戦6試合の数字を並べると、状態は一様ではない。
| 選手 | 10月1〜8日の公式戦6試合 | 10月14日のCS第1戦 | 整理すべき論点 |
|---|---|---|---|
| 近本光司 | 23打数7安打/.304 | 4打数0安打、1四球 | 直近は安打が出ていた。1試合で慢性的な不調とはしない |
| 中野拓夢 | 17打数4安打/.235 | 5打数0安打 | 10月4日以降の公式戦4試合とCSを合わせて14打数無安打 |
| 森下翔太 | 13打数2安打/.154、9四球 | 3打数0安打、1四球 | 出塁はできているが、長打・適時打が出ていない |
| 佐藤輝明 | 26打数3安打/.115 | 4打数0安打 | 打撃の停滞と、途中交代の身体状況は別に考える |
※NPB公式の試合記録から集計。森下はこの6試合で9四球を選び、出塁率は.500(安打2+四球9、22打席、死球・犠飛なし)。いずれも少ない打数で、能力の低下やけがを判断できる数字ではない。
近本はCS前の6試合で3割を超えており、この試合でも四球を一つ選んだ。中野は10月4日以降の公式戦4試合で9打数0安打、CS第1戦の5打数を合わせて14打数0安打。ただしこれは10月4日以降で区切った集計で、連続無安打の起点を確定したものではない。CS開幕前、藤川監督は近本と中野の1・2番をキーマンに挙げていた。その2人が第1戦は合わせて9打数0安打だった。
佐藤は8回の打席で自打球を当て、9回の守備から交代した。藤川監督は試合後、自打球が直接の交代理由という見方を否定し、以前からあった症状が強く出たと説明した。医師の確認を受けているとの報道もある。本人は次の試合に向けて調整する旨を話したが、診断名、部位、重症度は公表されておらず、第2戦の出場可否も決めつけられない。「大丈夫だろう」とも「重傷に違いない」とも書けない。第2戦のスタメンと守備配置は、公式発表と本人の状態を確かめてから評価したい。
10救いは投手陣、及川・セベリーノ・神宮が反撃の余地を残した
阪神の救援は及川雅貴、セベリーノ、神宮僚介の3人で合計3回無安打無失点。7回は木浪の失策で出した走者を、及川が林を投ゴロ併殺に打ち取って切り抜けた。8回はセベリーノが牧への敬遠を含む2四球を出したが、佐野を二ゴロに抑えた。9回は神宮が三者凡退。4回にも、元山を含む遊撃からの併殺で村上を助けている。なお工藤、石井、岩崎らはベンチ入りしたが、この試合には登板しなかった(ブルペンでの準備の状況までは分からない)。
次の試合へ持ち越せる材料もある。大山と坂本の各2安打(ともに4打数2安打)、大山の6回の二塁打、前川の代打安打、元山の2回の安打、木浪の9回の先頭安打、そして救援陣。阪神打線が完全に崩壊したと結論づける材料にはならない。ただし肝心の1点が入らなかったことは、現実の課題として残る。
1110月15日の第2戦は髙橋遥人vs尾形崇斗
10月15日の第2戦(甲子園、18時開始)の予告先発は、阪神・髙橋遥人、DeNA・尾形崇斗。髙橋は2026年公式戦で16勝3敗、防御率1.87。尾形の7勝3敗、防御率3.29はDeNA移籍後の18登板の成績で、移籍前のソフトバンクでの成績とは区別する。
尾形崇斗(DeNA)
10月15日の第2戦、DeNAの予告先発。DeNA移籍後の成績で見る
阪神戦は5登板で先発4試合、3勝1敗。3勝のうち1勝は10月4日の救援登板で得たもので、先発に限れば2勝1敗。23回2/3で23奪三振、10四球。四球を選べば崩れる投手ではなく、三振で走者を残す力がある。
球種はストレート48.3%、スライダー19.0%、スプリット17.2%、カーブ12.3%、その他約3.2%。ストレートは平均153.5km/h、最速159km/h。いずれも2026年シーズン全体の数字で、第2戦で同じ配分になるとは限らない。
移籍前のソフトバンクでの2026年成績(10登板、0勝2敗、12回、防御率3.00)とは別に扱う。
尾形のストレートは平均約153.5km/hで、球種の約48%を占める。スライダー、スプリット、カーブも使う。直球に振り遅れず、落ちる球を追いかけず、甘い球を強い打球にすることが求められる。ただしこれはシーズン全体の数字で、第2戦に同じ配分で投げるとは限らない。
6月21日の投げ合いが示すもの
6月21日、横浜で両投手は投げ合い、阪神が2-1で勝った。髙橋は9回109球、5安打1四球1失点の完投勝利。尾形は5回94球、5安打4四球2失点だった。阪神の2点は3回表。中野が四球、森下が二飛、佐藤も四球で2死一・二塁とし、大山の中前適時打で1点、続く髙寺の右翼線適時二塁打でもう1点を加えた。重要なのは四球を選んだことだけではない。走者を置いた後に、大山と髙寺が続けて得点につなげたことだ。
2026年公式戦の対尾形は、大山が11打数4安打1本塁打、髙寺が9打数4安打、元山が6打数3安打。ただし少ない打数の相性で、打順を機械的に決めることは避けたい。過去に勝ったから次も勝つ、という予測でもない。
髙橋も「16勝だから安心」とは言えない
髙橋は同じDeNA相手に、6月21日は完投勝利、8月5日(横浜)は4回6失点だった。8月5日は自責点4、与四球0。2回、阪神が2点を先制した直後に、エンカーナシオンの安打から筒香嘉智に初球を2ラン、関根の一ゴロ失策の後に宮下に1ストライクからの2球目を2ランとされ、2-4となった。
四球さえ出さなければ安全、という投手ではない。走者を置いた直後、早いカウント、守備のミスが出た直後。第2戦はここを一つの観戦ポイントにしたい。もっとも、2打席の例から髙橋の恒常的な弱点だと断定するものではない。16勝の強さと6失点の実例を、両方見ておく必要がある。
121勝1敗になったシリーズ、突破条件はどう変わった?
CSファイナルは6試合制で、リーグ優勝の阪神に1勝のアドバンテージがある。先に4勝した側が日本シリーズへ進み、引き分けを除いた勝利数が同じで終わった場合は上位球団が進出する。第1戦の敗戦で通算1勝1敗となり、残りは最多5試合。引き分けのない通常のケースでは、両軍ともあと3勝が必要だ。
- 10月15日の第2戦に阪神が勝てば通算2勝1敗。残り最多4試合で2勝すれば突破。
- 10月15日の第2戦に阪神が敗れれば通算1勝2敗。残り最多4試合で3勝が必要。
引き分けがあればNPB公式の勝者決定条件が適用され、上位球団が有利になる場合がある。第3戦以降の先発として才木浩人や東克樹の名前が挙がっているが、予告先発が確定したわけではない。先発の並びや救援投手の連投の可否は、試合の結果に応じて変わり得る。
13評価の限界
「相手投手が良かったのだから仕方ない」── 確かに平良も救援陣も優れていた。しかし阪神は救援から4安打を放っている。チャンスが一つもなかったわけではない。
「木浪の代打がすべての敗因」── 代打には対左投手打率や9月20日の適時打という根拠があった。ただし元山の続投も合理的な選択だった。しかも7回と9回にも無死の好機を逃している。
「バントは成功したのだから正しい」── 技術的な成功と、2点差で2点以上を奪う可能性が上がったかどうかは別の問いだ。打者別のモデルは算定しておらず、正誤は断定しない。
「森下も佐藤も不調だから打順を全部入れ替えるべき」── 森下は直近6試合で9四球、近本は3割超。個々の問題は違う。佐藤はまず身体の状態の確認が先になる。
村上は2失点、救援は無失点でも阪神は負けた。第2戦で髙橋が好投しても、援護がゼロなら結果は変わらない。必要なのは主力全員に本塁打を求めることではなく、出塁、進塁、適時打を一つの攻撃としてつなげることだ。7安打で0点だった試合の教訓は「安打を増やせ」だけではない。「次の1点の作り方を変えられるか」である。
14この試合の勝率推移・WPA順位(ライブページ)
試合中に公開していたライブ勝率ページの、試合終了時点の記録です。勝率推移とWPA貢献順位は当ラボ推定の参考モデルによる値で、公式記録ではありません。
- 📈 この試合の記録: 10月14日 CSファイナル第1戦 DeNA戦の勝率推移・WPA順位(ライブページ)
15動画・関連記事
動画版では、7安打で0点に終わった試合の流れを追いながら、元山への代打・木浪と9回の犠打の評価、上位4人の状態、そして第2戦の髙橋遥人vs尾形崇斗の注目点を数字で整理しています。CS開幕前の動画では、レギュラーシーズンの直接対決25試合の総得点が99対98だった両球団の戦力を比較しました。
16SOURCES / 参照データ
- NPB公式(10月14日 第1戦):試合結果、投打成績、試合経過、ベンチ入り。得点圏8打数は試合経過からの集計。
- NPB公式(シリーズ・第2戦):2026 CS開催概要・勝者決定方法、予告先発、尾形崇斗 年度別成績、髙橋遥人 年度別成績。
- NPB公式(比較に使った過去の試合):6月21日 DeNA-阪神(経過)、8月5日 DeNA-阪神(経過)、9月20日 阪神-DeNA 経過、10月4日 DeNA-阪神 経過。
- 報道(二次資料):TBS NEWS DIG(11残塁、第1戦の総括)、日刊スポーツ(佐藤輝明の交代に関する藤川監督の説明)、Full-Count(岩田将貴の球種の見直し)。監督・選手・解説者のコメントは要約して掲載。
- 外部データ(二次資料):左右別成績 スポーツナビ(木浪聖也)・スポーツナビ(元山飛優)、尾形崇斗の球種 tokyudx.com、尾形崇斗の対戦打者成績 baseballdata.jp。
※本記事は10月15日・第2戦開始前の時点で作成した第1戦の分析です。第2戦の結果は含みません。四球率・三振率・得点圏打数・打順枠別の集計・直近6試合の打率は独自集計です。球種割合はシーズン全体の値で、特定の試合の配分ではありません。尾形崇斗の7勝3敗・防御率3.29はDeNA移籍後の成績です。