阪神タイガース / セ・リーグ / 試合レビュー

阪神9-7ヤクルト|高寺望夢の決勝2ラン、勝率15.5%から生還した延長11回の総力戦

阪神
9 - 7
ヤクルト
2026年9月22日 | 神宮球場 | 延長11回、阪神が9-7で勝利。初回4点・2回までに6点も伊藤将司が2回38球で降板し再び総力戦に。8回無死一、二塁は無得点、10回裏1死満塁で勝率参考値15.5%まで低下する中セベリーノが連続三振。大山悠輔がつなぎ高寺望夢が決勝2ラン、工藤泰成が締めて3連勝、マジック8
高寺望夢
11回 決勝3号2ラン
打球速度164.2km/h・飛距離118.9m
10回裏1死満塁
勝率15.5%
セベリーノの連続三振で47.4%まで回復
2日間
22イニング・396球
延べ18投手登板、前日DeNA戦から総力戦が継続
30 SEC REVIEW

30秒で分かる、高寺が決め・元山が回し・セベリーノが救った試合

  1. 01
    高寺望夢の11回決勝2ランで3連勝、マジック8

    延長11回9-7。ただし最後だけ切り取ると、この試合の本質を見落とす。

  2. 02
    10回裏1死満塁、勝率15.5%からセベリーノが連続三振

    田中陽翔・鈴木叶を連続で切り、47.4%まで戻して11回の決勝点へつないだ。

  3. 03
    元山飛優が5打数3安打・4出塁で下位打線をつなぎ続けた

    「自分が返す」よりも「イニングを終わらせず次へ渡す」役割を4度果たした。

  4. 04
    2日間で22イニング・396球、投手陣総動員の代償は大きい

    石井大智3連投、工藤泰成は前日32球からの連投。翌日は打線の援護が最優先課題。

前日9月21日、阪神は延長11回・4時間20分・8投手189球の末に大山悠輔のサヨナラ本塁打で3-2。普通なら翌日は先発に長いイニングを求め、ブルペンをできる限り休ませたい。しかも阪神は初回に4点、2回までに6点。「今日は少し楽に勝てるかもしれない」と思わせる入りだった。ところが先発・伊藤将司は2回38球で降板し、前日投げた救援陣が次々とマウンドへ。6-2は6-4、7-4は7-6、そして7-7。8回には無死一、二塁で森下翔太・佐藤輝明・大山悠輔という理想の形を作りながら無得点。10回裏にはドリスが緊急降板して1死満塁、勝率参考値は15.5%まで落ちた。そこからセベリーノが連続三振。11回、大山がつなぎ高寺望夢が決勝2ラン。最後は前日2イニング32球を投げた工藤泰成が160km/h台の直球で締めた。2日間で22イニング、8時間50分、延べ18投手登板、396球。この記事では、高寺の一発だけでは見えない「なぜ阪神はこの2試合連続の総力戦を乗り切ったのか」を、得点経過、元山飛優の存在、ヤクルト救援陣の修正、勝率の推移、投手運用の順に整理する。

01先に結論

この試合の表の主役は高寺望夢。11回表、大山悠輔が先頭安打で出塁し代走・植田海。バントも十分考えられる場面で強攻し、甘く入った直球を捉えた決勝2ランだった。ただし試合全体を動かした「裏の主役」を一人挙げるなら、元山飛優。3安打1四球1盗塁、下位打線で何度もイニングを終わらせず、近本光司から始まる回を作った。そして勝敗そのものを救った最大の場面は、10回裏1死満塁で勝率参考値15.5%からのセベリーノ。田中陽翔・鈴木叶を連続三振に取り、47.4%付近まで試合を戻して11回表の決勝点へつないだ。

「高寺が決めた」「元山が回した」「セベリーノが救った」。この3本柱で見ると、試合全体が非常にわかりやすい。

02得点経過を時系列で振り返る

1回表、近本光司の中前安打・中野拓夢の右翼線二塁打から森下翔太の2点二塁打、佐藤輝明の36号2ランでいきなり4-0。前日が延長11回の総力戦だっただけに「今日は早めに試合を決めブルペンを休ませたい」という理想に近い入りだった。しかし1回裏、長岡秀樹の四球のあと増田珠に2ランを浴び4-2。伊藤将司はその後も制球が安定せず、その回の3アウトはすべて遊ゴロ(元山飛優の守備、オスナの強い打球も含む)で救われた。2回表、森下の死球・佐藤の適時二塁打・大山の犠牲フライで6-2。ところが4回裏、神宮僚介が2ランを浴び6-4。6回表は近本の三塁打・中野の犠牲フライで7-4としたが、6回裏に及川雅貴が2アウト後フルカウントから西村瑠伊斗に左中間2点二塁打を許し7-6。7回裏は岡留英貴が丸山和郁に同点本塁打を浴び7-7となった(岡留はその回3奪三振、今季10試合目で初失点)。

03伊藤将司2回38球降板をどう見るか

この日の先発・伊藤将司は2回38球3安打2失点で降板。前日に救援陣を大量投入している以上、多少内容が悪くても長く投げてもらいたい状況だったが、初回から高めに浮く球が多く強い打球も続いた。球速そのものは落ちておらず、むしろ2回の方が直球系の球速は出ていた。問題は高さや制球、打者のタイミングを外し切れていないことだった。この内容で引っ張り、6-2が6-5、6-6になってから交代する方が危険という判断には理解できる面がある。ただし規定9回まではまだ7イニング残っており、結果的に延長11回となって救援陣が9イニングを担当することになった。「投手を休ませたい」「でも今日の試合は落とせない」という9月の優勝争いの矛盾が、最もよく表れた試合だった。

※伊藤将司は2回38球で降板したが、打順の関係で3回表(2死走者なし)では打者として打席に立ち、その裏の守備から神宮僚介に継投した。

04元山飛優は本当に「ラストピース」だったのか

今日の元山飛優は5打数3安打1四球1盗塁4出塁、打点は0。それでも試合への影響は非常に大きい。初回は2死から安打→盗塁→坂本誠志郎が四球で投手まで打順を回し、5回も2死から内野安打→坂本の四球で代打まで回した。7回は高寺の送りバントが二塁封殺という嫌なアウトの直後に3本目の安打で流れを切らず、9回も四球でまた勝ち越し走者になった。

TODAY'S KEY PLAYER

元山飛優

5打数3安打・1四球・1盗塁・4出塁。下位打線を「終わらせない」役割を4度果たした

5打数3安打1四球・1盗塁・4出塁・打点0
遊ゴロ3個初回、伊藤将司が苦しむ中の遊撃守備
4度イニングを終わらせず次へ渡した回数(初・5・7・9回)

初回は2死から安打→盗塁→坂本の四球で投手まで打順を回した。5回も2死から内野安打→坂本四球で代打まで回し、7回は高寺の送りバント併殺という嫌なアウトの直後に3本目の安打。9回も四球でまた勝ち越し走者になった。「自分が返す」よりも「イニングを終わらせず、次へ渡す」役割を何度も果たした。

阪神の上位には近本・中野・森下・佐藤・大山という得点能力の高い打者がいる。下位に必要なのは20本塁打の遊撃手ではなく、守れて、出塁できて、走れて、上位へ打順を戻せる選手。今日の元山はその理想にかなり近かった。

「優勝へのラストピース」と呼ぶのは今日1試合だけでは大げさだが、シーズン終盤で存在感が急激に大きくなっているのは間違いない。

しかも今日は守備でも、伊藤が苦しむ初回をショートで支えた。「優勝へのラストピースは元山だったのでは?」今日の試合だけで断定する話ではない。しかし下位打線の出塁、遊撃守備、走塁、上位へのつなぎという、阪神がシーズン終盤に必要としている機能を、元山が複数満たしているのは興味深い。

05近本光司と中野拓夢が作った好循環

今日の近本光司は5打数3安打1四球4出塁、中野拓夢も2安打1四球・犠牲フライ・送りバントと数字以上に仕事をしている。今日の阪神打線では「下位がつなぐ→次の回を近本から→近本が出る→中野が進める、または自分も出る→森下・佐藤・大山」という循環が何度も発生した。特に6回、近本が三塁打・中野が犠牲フライで7-4。その後ヤクルトが2点を返して7-6まで迫られたため、この1点がなければ同点になっていた。今日の近本・中野の1点は、後から価値が膨らんだ1点だった。10回表にもまた近本が先頭安打、中野の送りバントで1死二塁と最高の打順を作ったが、森下が三ゴロ・佐藤が二ゴロで無得点。この無得点が、次の10回裏をさらに重くした。

068回無死一、二塁、最高の形を作ったのに無得点だった

阪神は1、2回で6得点を奪い松本健吾を早々に攻略したが、ヤクルトが救援陣へ入ると景色が変わった。7回から10回まで無得点。特に象徴的だったのが8回、近本の四球のあと中野の送りバントを捕手が処理しきれず無死一、二塁。勝率参考値は8回表開始47.6%から近本の四球で54.1%、無死一、二塁で68.4%まで大きく阪神側へ傾いた。森下・佐藤・大山という、これ以上ない打順だった。

DECISION FLOW8回無死一、二塁、最高の形を作ったのに無得点だった
  1. 近本光司が四球で出塁し勝率54.1%へ8回表開始47.6%から上昇。
  2. 中野拓夢の送りバントを捕手が処理しきれず無死一、二塁・勝率68.4%森下・佐藤・大山という最高の打順に。
  3. しかし星知弥が低め・フォークを使い分け無得点に抑えた阪神が理想の形を作ったうえで、ヤクルトが抑えた。

8回の無得点は阪神打線の拙攻ではない。近本の出塁、中野のバントでの相手ミスまでは完璧に近い形を作った。そのうえで星知弥の投球が上回った。

勝率(参考値)は8回表開始47.6%→近本四球54.1%→無死一、二塁68.4%。この後8回裏の危機で29.6%まで落ちる。

星知弥は森下には内外の低めを使い分け最後は落差のあるフォーク、佐藤にはフロントドア気味の内角低めからほぼ同じ高さのボール球、大山にも甘い球を残さなかった。4回にも丸山翔大が森下・佐藤を連続三振に取っており、中盤以降ヤクルト救援陣は「ゾーンの端でストライク→似た軌道でボール球へ」という配球で阪神中軸に難しい球を振らせる形を作った。阪神がチャンスを作れなかったのではない。最高の形を作ったうえで、ヤクルトが抑え込んだ。

0710回裏1死満塁、セベリーノが救った最大の危機

8回裏、この日4安打目の岩田幸宏が先頭出塁し勝率は29.6%まで低下したが、次打者の投手ライナーに一塁走者が飛び出し併殺、44.6%まで回復(この回を無失点で終えたのが通算600試合登板の岩崎優)。9回は元山の四球・坂本の送りバント・伏見の投ゴロで勝ち越せず、その裏はアキレス腱断裂から復帰間もない石井大智が3連投で無失点。そして10回裏、ドリスが山田哲人を三振に取ったあと丸山和郁の安打・赤羽由紘の四球のあと岩田への打席でコントロールが乱れ緊急降板(藤川監督は試合後「少し体の疲労」と説明)。セベリーノが引き継ぎ、結果は四球で1死満塁(※公式記録上の与四球はドリスに記録)。この時点で阪神の勝率参考値は15.5%、今日最大の危機だった。

DECISION FLOW10回裏1死満塁、セベリーノが最大の危機を救った
  1. ドリスが山田哲人を三振に取ったあとコントロールが乱れ緊急降板藤川監督は試合後「少し体の疲労」と説明。
  2. セベリーノが引き継ぎ四球で1死満塁・勝率15.5%※公式記録上の与四球はドリスに記録。
  3. 田中陽翔・鈴木叶を連続三振で47.4%まで回復アキレス腱断裂から復帰の石井大智に続き、この日の勝利投手に。

1死満塁、勝率15.5%からの連続三振。今日の試合だけでも「セベリーノを獲得しておいてよかった」と思わせる場面だった。

勝率(参考値)は15.5%→田中三振後32.7%→連続三振で47.4%まで回復。

普通なら押し出しでも不思議ではない場面から、田中陽翔・鈴木叶を連続三振。ドリスが突然降板した場面で、もう一枚、試合を壊さない投手がいた。シーズン終盤の選手層とは、こういうところに表れる。

08大山がつなぎ、高寺望夢が決めた

11回表、先頭の大山悠輔。前日は延長11回にサヨナラ本塁打を放ったばかりだが、今日は違う仕事だった。左前安打で出塁し、勝率は54.9%。自分で試合を終わらせるのではなく、勝ち越し走者として次へ渡した。代走・植田海が入り、終盤の1点を取りに行くカードを迷わず切った。

今日の高寺望夢は、結果だけを見ると11回まで苦しかった。いい当たりを好捕され、別の打席では大きな飛球があと少しで届かず、送りバントも球勢は殺したが捕手の前で二塁封殺。前川右京の状態が100%ではなく急きょスタメンに入った背景もあった。「今日は持っていない」そんな日だった。

TODAY'S KEY PLAYER

高寺望夢

延長11回、決勝3号2ラン。11回まで「持っていない日」を最後にひっくり返した

決勝3号2ラン打球速度164.2km/h
118.9m飛距離・角度26度
11回まで0安打好捕・大飛球・送りバント二塁封殺

この日の高寺は11回まで結果に恵まれなかった。いい当たりを好捕され、別の打席では大きな飛球があと少しで届かず、送りバントも捕手前で二塁封殺。前川右京の状態が万全ではなかったこともあり急きょスタメンに入った背景もあった。それでも11回、大山の出塁を受けて代走・植田海が入り、バントも十分考えられる場面で強攻。3球目、甘く入った直球を見逃さなかった。

「難しい球を追いかけるのではなく、自分の球を仕留める」。この試合を通してヤクルト救援陣に苦しめられてきた阪神打線への答えを、最後に高寺が見せた。

11回裏開始時の勝率(参考値)は94.2%。

相手投手はストレートを続け、3球目、甘く入った直球を高寺は逃さなかった。決勝3号2ラン、阪神9-7。11回裏開始時の勝率参考値は94.2%まで一気に上がった。

09工藤泰成、前日32球の翌日に162.1km/h。2日間396球の重さ

最後のマウンドは工藤泰成。前日は2イニング32球無失点4奪三振、そこから翌日また延長11回、当然のように工藤が出てきた。18球、最速162.1km/h、難敵・西村瑠伊斗を三振に取り無失点、今季11セーブ目。昨日32球投げた投手が翌日に160km/h台を連発する頼もしさがある一方、この2日間の負荷は明らかに重い。

DETAIL DATA今日の10投手・207球
投手球数内容
伊藤将司2回38球3安打2失点で降板(3回表は打者として打席に立ち、その裏から交代)
神宮僚介2回30球2失点
木下里都1回20球無失点
及川雅貴1回25球2失点
岡留英貴1回23球1失点(その回3奪三振・今季10試合目で初失点)
岩崎優1回9球無失点(通算600試合登板)
石井大智1回19球無失点(3連投)
ドリス0回1/313球無失点(緊急降板)
セベリーノ0回2/312球2奪三振無失点(勝利投手)
工藤泰成1回18球2奪三振無失点(11セーブ目、前日32球の翌日)

計10投手・207球。伊藤が2回で降板したため3回から11回まで救援陣が9イニングを担当した。

図1 | 2日間(9/21+9/22)連投7投手の球数
0 15 30 45 60 51 44 41 39 26 36 50 神宮 僚介 木下 里都 及川 雅貴 岡留 英貴 ドリス 石井 大智 工藤 泰成
2日間の合計球数 単位:球

※この7人だけで287球、阪神投手陣全体では2日間396球。工藤泰成(強調)は前日32球からの連投で、翌日18球でも最速162.1km/hを記録した。

10勝率で見るジェットコースター

今回使用する勝率はGreg Stoll Win Expectancy Finderの歴史的データ(RetrosheetをもとにしたMLB 1903〜2025年の状況別勝率)を参考にした値で、NPB専用のデータではなく、選手個人の能力、神宮球場の特性、投手疲労、NPBの12回引き分け制は反映していない。延長戦は標本数が小さく参考値として扱う。試合開始時点で阪神は約46%(ビジターにつき50%ではない)、1回表4-0の時点で約80.8%まで上昇。その後は8回表開始47.6%→無死一、二塁68.4%→8回裏岩田出塁で29.6%→10回裏1死満塁で15.5%→セベリーノの連続三振で47.4%→11回大山先頭安打で54.9%→高寺の決勝2ラン後は94.2%という推移をたどった。

図2 | 勝率(参考値)の推移
0% 25% 50% 75% 100% 47.6% 68.4% 29.6% 15.5% 32.7% 47.4% 54.9% 94.2% 8回開始 無死一二塁 岩田出塁 1死満塁 田中三振 連続三振 大山安打 高寺2ラン
阪神の勝率(参考値)

※Greg Stoll Win Expectancy FinderによるMLBの歴史的状況別勝率を参考にした値で、NPB専用データではない。選手個人の能力、神宮球場の特性、投手疲労、NPBの12回引き分け制は反映していない。延長戦は標本数が小さく参考値。

優勢→吐き出す→また勝機→逃す→最大の危機→生還→最後に決める、というジェットコースター型の試合だった。何度も相手側へ傾き、何度も阪神側へ戻した。だからこそ、最後の94.2%が強烈だった。

11藤川監督の采配をどう見るか

この2日間の投手運用はかなり攻めている。先発を早く切る、連投する、回跨ぎもする。石井大智は3連投、工藤泰成は前日32球から連投。負担が大きいことは間違いない。ただしシーズン終盤の0.5〜1.5ゲーム差の優勝争いでは、1敗の意味が春や夏とは違う。前日の藤川監督も多くの救援投手を使った試合について「いい形で終わらせなければ意味合いが変わる」という趣旨のコメントをしていた。今日も同じで、投手を大量投入して負ければコストだけが残る。勝ったから明日につながった。ただし、だからといって連投を無条件に美化する必要もない。「勝つために必要なギアアップ」と「投手のコンディション管理」の境界をどう取るかは、この先の優勝争いで最大のテーマになる。

この日、巨人は広島に敗戦。阪神はヤクルトに勝利し、優勝マジック8・巨人とのゲーム差1.5となった。前日も延長11回、今日も延長11回。この2勝で阪神は優勝争いを一段前へ進めた。

12評価の限界

あえて逆から見ると

「伊藤を2回で下ろすのは早すぎたのでは?」── 確かに前日のブルペン負荷を考えれば、先発を長く投げさせたい状況だった。一方、伊藤は初回から高めの球が多く強い打球も続いていた。「疲労したブルペンを休ませるために先発を引っ張る」ことと「今日の試合を壊さない」ことのどちらを優先するかは、結果だけで簡単には決められない。

「及川、石井、工藤を連投させすぎでは?」── 負荷が大きいのは事実で、特に翌日はデーゲームのため回復時間も短い。一方で優勝争い終盤の僅差ゲームであり、首脳陣は今日の勝利を最優先した。今後コンディション悪化やパフォーマンス低下が出るかまで見て評価したい。

「8回無死一、二塁は阪神打線の拙攻では?」── 無得点なので結果は失敗。ただし星知弥の投球も非常に良く、森下・佐藤・大山に甘い球をほとんど残さなかった。「阪神が勝手に凡退した」ではなく「阪神が理想の形を作ったうえで、ヤクルトが抑えた」と見る方が公平。

「元山をラストピースと呼ぶのは大げさでは?」── 今日1試合だけで断定するなら大げさ。ただし下位打線の出塁、遊撃守備、走塁、上位へのつなぎなど、阪神がシーズン終盤に必要としている機能を元山が複数満たしているのは興味深い。「本当にラストピースだったのか」という検証テーマとして扱うのが適切。

「勝率15.5%はNPBの本当の勝率なのか?」── 違う。あくまで過去の類似局面から算出した歴史的な参考値で、NPBの12回引き分け制、個々の打者・投手、球場、守備力などを完全には反映しない。「阪神が15.5%の確率でしか勝てなかった」と断定するのではなく、「過去の同様の局面ではかなり負け側に傾いていた」程度の使い方が適切。

13動画・関連記事

この試合を「高寺がホームランを打って勝った」だけで終わらせるのはもったいない。本質は、前日の総力戦を引きずったまま、また総力戦になったこと。初回4点・2回までに6点。本来なら休ませられるはずだった。ところが先発が2回で降板し中継ぎをつぎ込み、一度は同点にされ、勝ち越すチャンスを何度も逃し、10回裏には1死満塁。それでも負けなかった。元山が下位でつなぎ、近本が何度も出塁し、岩崎・石井がゼロを作り、セベリーノが最大の危機を救い、大山がつなぎ、高寺が決め、工藤が締めた。誰か一人のワンマンショーではない。「総力戦」という言葉が、これほどそのまま当てはまる試合も珍しい。翌9月23日は神宮で14時開始。前日時点では髙橋遥人の中5日登板プランが報じられていた。今度こそ打線が投手陣を休ませる番だ。

この試合は文章だけでは伝わりにくいほど勝率が何度も大きく動きました。動画では、4-0から7-7、8回無死一、二塁、10回裏1死満塁で15.5%、セベリーノの連続三振、そして高寺望夢の決勝2ランまで、勝率の推移と試合映像・データを重ねながら詳しく振り返っています。

14SOURCES / 参照データ

※本記事の数値は2026年9月22日試合終了時点のスナップショットです。勝率はGreg Stoll Win Expectancy Finderの歴史的データ(Retrosheetを基にしたMLBの状況別勝率)を参考にした参考値であり、NPBの選手能力、神宮球場の特性、投手疲労、NPB独自の延長・引き分けルールなどを完全に反映するものではありません。試合中の打者心理、投手心理、配球意図などは外部から断定できないため、確認できる事実と映像・データから考えられる範囲で分析しています。采配、配球、選手起用等に関する評価には筆者の分析・見解を含みます。

免責: 本記事はNPB公式記録、球団発表、報道、公開データ、試合映像・投球データ等をもとに独自に整理・分析したものです。勝率はGreg Stoll Win Expectancy Finderの歴史的データに基づく参考値であり、NPBの延長・引き分け制度、選手個々の能力、球場条件などを完全に反映したものではありません。采配、配球、選手起用等に関する評価には筆者の分析・見解を含みます。数値は記事作成時点の公開情報をもとに整理しています。特定の選手、監督、球団、ファンを誹謗中傷する目的はありません。