阪神、マジック点灯お預け…9安打1得点の拙攻と下村が6回に崩れた理由【8月20日ヤクルト戦分析】
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30秒で分かる試合
- 019安打で1得点、「打てない」より「返せない」試合
高橋奎二から6回までに8安打を放ちながら、得点は坂本のソロ本塁打のみ。得点圏の主要7打席はすべて0安打だった。
- 02森下は4度出塁、佐藤は4打数無安打
森下翔太は3安打+失策で4打席すべて出塁。その直後に打席へ入った佐藤輝明は一度も森下を生還させられなかった。
- 03下村は5回まで1失点、崩れたのは6回2死から
5回終了時点では十分試合を作っていた。盗塁・フルカウント四球・フルカウントの2点二塁打で一気に崩れた。
- 04巨人勝利でゲーム差3、マジック点灯はお預け
阪神が勝ち巨人が敗れればマジック29点灯だったが、結果は逆。ゲーム差は4.0から3.0へ縮んだ。
得点圏打席の内訳は公開された試合経過にもとづき整理しています。佐藤輝明選手の4打席のうち得点圏だったのは1回のみで、3・5・7回は森下選手が一塁にいた場面です。「4度すべて得点圏で凡退」という表現は使いません。下村海翔投手の6回4失点についても、最後の1失点は降板後に湯浅投手が打たれて継承走者が生還したものであり、区別して記載します。
01先に結論――「打てなかった」より「つながらなかった」
阪神はこの試合、9安打を放っている。相手先発・高橋奎二からも6回までに8安打。それでも得点は坂本誠志郎のソロ本塁打による1点だけだった。敗因を一言で言えば「走者は出した。しかし得点圏で一本が出なかった」。
特に象徴的なのが3番・森下翔太と4番・佐藤輝明の関係。森下は4打席すべて出塁したが、直後に打席へ入った佐藤は4打数0安打で一度も森下を生還させられなかった。ただし敗戦を佐藤一人に押しつけるのは雑で、1回・4回・6回とチーム全体が得点圏の好機を逃している。投手では下村海翔が5回2/3、6安打4失点で敗戦投手になったが、5回終了時点では1失点。課題は「5回までの好投を、6回まで完結させられなかったこと」にある。
02試合の流れ
- 1回0-0
1死一・三塁まで作るも大山二ゴロ。好機は初回からあった。
- 2回裏1-0
坂本誠志郎が7号ソロで先制。
- 3回表1-1
8番・武岡龍世に同点ソロを許す。
- 6回表1-4
2死から盗塁・四球・2点二塁打で3失点。下村降板。
- 6回裏1-4
直後の無死一・二塁も坂本三振、元山捕邪飛で無得点。
- 9回裏1-4
元山が出塁するも後続が倒れ試合終了。
読みどころ1回・4回・6回と好機はあった。得点差以上に「取れる場面で取れなかった」ことがこの試合の本質。
1回裏、近本の先頭打者ヒットから森下も出塁し1死一・二塁としたが、佐藤・大山が倒れて無得点。2回裏に坂本の7号ソロで先制するも、3回表に8番・武岡龍世に同点ソロを許す。均衡が破れたのは6回表、2死から一気に3点を失う場面だった。
今日の阪神で唯一ホームを踏んだのも、唯一の打点を挙げたのも坂本誠志郎。しかしその坂本自身、この試合を象徴するもう一つの顔も持っていた。
坂本誠志郎
7号ソロで先制も、6回の反撃機は逃した
2回、1死走者なしから左中間へ7号ソロ。今日の阪神で唯一ホームを踏んだ打者、唯一の打点も坂本だった。
一方で6回、1-4の直後に作った無死一・二塁の反撃機では見逃し三振。「唯一の得点を生み出した打者」であり「最大の反撃機で一本が出なかった打者」でもある。
単純なヒーロー・戦犯論にはしない。
03森下3安打でも0得点、佐藤との間で分断
森下は第1打席左前安打、第2打席中前安打、第3打席右前安打、そして第4打席は捕手の失策で出塁。4打席すべて塁に出た。左・中・右へ3方向に安打を打っており、状態はかなり良かったと見ていい。
結論森下が4度出塁していたのに、直後の佐藤は一度も生還させられなかった。ただし得点圏だったのは1回のみで、3・5・7回は森下が一塁にいた場面。
敗戦を佐藤一人に背負わせる整理はしない。1回は大山、4回・6回は他の打者も得点圏で凡退している。
結論高橋から6回までに8安打していた阪神だが、7回以降は3イニングで1安打のみ。先発を降ろせば楽になるどころか、救援陣に完全に締められた。
阪神側から見れば「高橋を攻略できなかった」より「高橋からこれだけ走者を出しながら攻略し切れなかった」という表現の方が試合内容に合う。
今日だけ切り取れば、森下がこれだけ4番の前に走者として存在したのに、一度も得点につながらなかった。ただし1回は大山も後続で倒れており、4回・6回にも別の打者が得点圏で凡退している。「今日の敗戦を一人に背負わせるべきではない。しかし3番が4度出塁して4番が4打数無安打という並びは、9安打1得点という試合を象徴している」というのが最も適切な整理だろう。
04得点圏では0安打、4回のセーフティスクイズも不発
試合経過から確認できる主要な得点圏打席は7つ。1回1死一・二塁の佐藤(右飛)、2死一・三塁の大山(二ゴロ)。4回1死一・三塁の元山(一ゴロ)、2死一・二塁の下村(空振り三振)。6回無死一・二塁の坂本(見逃し三振)、1死一・二塁の元山(捕邪飛)、2死一・二塁の中野(遊直)。この主要7打席はすべて0安打で、ホームラン以外の8安打がひとつも得点につながっていない。
4回、大山の四球と坂本の中前打で1死一・三塁を作った場面では、元山がセーフティスクイズを試みたが一ゴロで不発。1-1の接戦、打者は8番元山、次打者は投手・下村という状況を考えれば、1点を取りにいく作戦自体には理解できる部分がある。「作戦が間違っていたと断定するより、こうした1点を取りにいく場面で結果を出せなかったことが後々響いた」と見る方が適切だ。
05下村海翔は本当に悪かったのか
下村の最終成績は5回2/3、101球、打者24人、6安打、1本塁打、1四球、5奪三振、4失点4自責点。数字だけ見れば「6回途中4失点」だが、内容を見ると印象が変わる。1回・2回・5回は三者凡退、3回は武岡ソロで1失点のみ、4回は1死一・三塁を無失点で切っている。5回終了時点で1失点、奪った5三振はすべて5回まで。前回プロ初勝利を挙げた下村が、初の中6日という条件で、5回まではかなり安定していた。
066回、「あと一人」が取れなかった
6回表、先頭の岩田に左前打を許すも、宮本を中飛、増田を遊ゴロに打ち取り2死一塁。ここまで来れば下村としては「あと一人」だった。
- 先頭・岩田左前打無死一塁からスタート↓
- 2死まで順調に宮本中飛、増田遊ゴロ2死一塁。あと一人の場面↓
- 増田が盗塁2死二塁走者を勧められる↓
- 西村とフルカウントの末四球2死一・二塁↓
- 内山とのフルカウントで2点二塁打下村降板。代わった湯浅も継承走者を生還させ1-4。
先頭から2死までは取れていた。「あと一人」が取れなかった局面から一気に崩れた。
6回の記録上の失点は下村の責任走者3人。うち1人は下村降板後、湯浅が松本直に打たれて生還したもの。
重要なのは「6回に打ち込まれ続けた」わけではないこと。先頭打者は出したが、その後2アウトまでは取っている。今日の下村の課題は、球数が100球へ近づく中で、イニングの最後のアウトを取り切れなかったこと。先発投手として次の段階へ進むなら、こういう場面で「6回を投げ切る」能力が必要になる。一方で、5回までの内容を無視して「まだ一軍で厳しい」と結論づけるような内容でもない。「5回までの再現性は収穫。6回2死からの締め方が課題」が最もしっくりくる評価だ。
1-4となった直後の6回裏、大山・前川の連打で無死一・二塁と反撃の形を作ったが、坂本が見逃し三振、元山が捕邪飛、代打・中野も遊直に倒れ無得点。3点差になった直後にここで1点でも返して2点差にしておけば、7回以降の空気は変わっていた。この回を境に、阪神打線の反撃ムードは大きくしぼんだ。
07高橋奎二を打っても、救援陣にさらに苦しんだ
高橋奎二は6回108球、8安打、1本塁打、1四球、5奪三振、1失点。数字だけ見ると被安打8で、決して阪神打線を寄せ付けなかったわけではない。むしろ毎回のように走者を背負いながら、ホームランによる1点だけで耐えた。「圧倒的な投球」というより「走者を背負っても決定打を許さなかった投球」と見る方が正確だ。
7回裏には森下の打球を相手捕手が失策、この日4度目の出塁を果たしたが、続く佐藤が初球を左飛に倒れ3アウト。森下が4打席すべて出塁し、その後の佐藤が4打席すべて凡退という構図が完成した瞬間だった。
高橋を降ろした後のヤクルト救援陣は、7回ウォルターズ無安打無失点、8回リランソ無安打無失点、9回清水昇1安打無失点。高橋から6回までに8安打していた阪神だが、7回以降は3イニングで1安打のみ。先発を降ろせば楽になるどころか、ヤクルト救援陣に完全に試合を締められた。
さらに深掘り:阪神救援陣は最後まで踏ん張った
7回以降、追加点はゼロ
6回途中に4点目を失って以降、阪神投手陣はヤクルトを追加点ゼロに抑えた。7回は桐敷拓馬が1回無安打無失点1奪三振、8回はセベリーノが1回無安打無失点1奪三振、9回は神宮僚介が味方失策で走者を背負いながらも1回無安打無失点2奪三振。
つまり打線には7回、8回、9回と反撃の時間が残されていた。投手陣が完全に試合を壊したわけではない。だからこそ、攻撃側がもう1本、もう2本つなげられなかったことが悔やまれる試合だった。
08近本光司、通算1000試合出場
敗戦の中で忘れてはいけない記録がある。近本光司が公式戦通算1000試合出場を達成した。プロ8年目での大台。この日は1番・中堅で先発し、初回の第1打席で右前安打を放っている。試合結果は残念だったが、阪神のリードオフマンとして長くチームを支えてきた近本にとって大きな節目の日となった。
さらに深掘り:髙寺望夢5打数無安打、2番打者の課題
中野拓夢がスタメンを外れ、2番二塁には髙寺望夢が入った。結果は5打数0安打(1回は近本が出塁した直後に右飛、その後も一ゴロ・三振・右飛・一ゴロ)。今日は森下が3安打したため2番が出なくても3番までは機能したが、近本-中野-森下という普段の上位打線と比べると、2番の出塁がなかったことは打線の厚みを下げた。一方で1試合だけで髙寺を評価するのも早い。中野の状態を含め、今後の二塁起用は引き続き注目ポイントだ。
09巨人が勝利、ゲーム差は3.0へ
試合前は、阪神が勝利または引き分け、かつ巨人が敗れれば優勝マジック29が点灯する可能性があった。しかし結果は逆で、阪神は1-4で敗れ、巨人はDeNAに6-3で勝利。マジック点灯はお預けとなった。
試合前は阪神61勝46敗1分、巨人57勝50敗2分でゲーム差4.0だったが、8月20日の結果を反映すると阪神61勝47敗1分、巨人58勝50敗2分でゲーム差は3.0へ縮小。「マジックが点かなかった」という心理的な残念さより、巨人とのゲーム差が1つ縮んだことの方が重要だ。まだ阪神が首位であることに変わりはないが、「点灯目前=もう優勝は時間の問題」と油断できる状況ではない。
同日の横浜ではDeNA3-6巨人。巨人は大城卓三の4打数4安打3打点、中山礼都の2ランで10安打6得点。DeNA先発は元阪神・藤浪晋太郎で、2回1/3、63球、4安打、4四球、3奪三振、3失点。「元阪神・藤浪が巨人を止めればマジック点灯へ」という構図もあったが、現実には巨人が藤浪から3点を奪いそのまま勝利した。
10ヤクルト3連戦は2勝1敗、それでも失点は上回った
8月18日は阪神3-2ヤクルト(大山のサヨナラ本塁打)、19日は阪神2-1ヤクルト(延長10回、大山のサヨナラ犠飛)、そして20日は阪神1-4ヤクルト。カード成績は阪神2勝1敗だが、3試合合計得点は阪神6、ヤクルト7。得失点ではヤクルトを下回りながらカードには勝ち越している。
18日・19日は接戦の終盤を取り切った。20日はその「勝負どころの一本」が出なかった。この3連戦は「阪神が圧倒したカード」ではなく「接戦を2つものにし、最後は得点効率の差で落としたカード」と見るのが適切だ。今日の敗戦だけを見て「急に打線が壊れた」と考えるより、「最初から薄い得点差で戦っており、今日は最後の一本が出ない側に回った」と見る方が自然だろう。
11次戦へのポイント
- 佐藤輝明:今日4打数無安打。単日で不調認定はしないが、森下が出塁した後の4番として次戦どう返すか。
- 下村海翔の次回登板:5回までは十分。次は6回以降、100球前後でどう投げ切るか。
- 巨人とのゲーム差:4.0から3.0へ。ここからは阪神の結果だけでなく巨人の動きも毎日確認する必要がある。
12評価の限界
「9安打も出ているなら、そのうち点は入る。心配しすぎでは?」── その通り。単日の得点圏成績はかなりブレる。今日0本だったからといって、今後も得点圏で打てないとは限らない。むしろ9安打できていること自体は、打線の状態が最悪ではない証拠だ。
「4失点した下村が敗因では?」── 最終的に4失点している以上、責任がないとは言えない。ただし5回までは1失点。しかも4点目は下村降板後、継承走者が湯浅の被安打で生還したもの。投球全体を「4失点だからダメ」で切るのは内容を見ていない。
「佐藤が打っていれば勝てたのでは?」── 今日の4番として結果が出なかったのは事実。森下が4度出塁していただけに責任は大きい。一方、1回は大山、4回は元山と下村、6回は坂本・元山・中野も得点圏で凡退しており、チーム全体の問題でもある。
「セーフティスクイズは消極的だったのでは?」── 議論になる場面。ただし1-1、1死一・三塁、8番打者、次が投手という状況。1点を取りにいく意図は理解できる。結果だけで作戦そのものを全否定するのは避けたい。
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