【阪神4-3ヤクルト】0-3から7回一挙4得点で逆転!佐藤・大山の一打と160キロリリーフで守り切る
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この試合で最も大きかったのは、阪神打線が好調だったことではありません。打線が本当にかみ合ったのは7回の一度だけで、1回・3回・4回・8回にも走者を出しながら得点できず、10安打を放って4点にとどまりました。それでも7回、元山飛優・森下翔太・近本光司が簡単に打席を終わらせず、3人で合計18球を投げさせて満塁を作り、そこから中野拓夢の犠牲フライ、佐藤輝明のライト線タイムリーツーベース、大山悠輔の逆転2点タイムリーが生まれました。そして4-3となった後は追加点を取れず、木下里都・工藤泰成・ドリスが1点も失えない状況を最後まで耐え抜きました。「打ち勝った試合」ではなく、たった一度の好機で必要な4点を取り切り、たった1点のリードを全員で守った試合でした。
2026年7月31日、神宮球場で行われた東京ヤクルトスワローズ対阪神タイガース。試合時間は3時間55分、両軍合わせて21安打・7四球・11投手・合計343球という長丁場でしたが、延長戦はありませんでした。前半戦最終戦の村上頌樹の完封から中4日、後半戦初戦は序盤から落ち着かない試合でした。リーグトップの24本塁打を放っていた森下翔太が今季初のベンチスタート、先発の才木浩人は後半戦最初の一球を先頭打者本塁打にされ、6回まで0-3。それでも7回、控えと主力が一つずつ役割を果たし一挙4得点で逆転。木下里都が最高160.3キロ、工藤泰成が161.3キロを計測し、最後はドリスがダブルプレーで締めました。強かったというより、よく耐えた。阪神の後半戦は「ほんまによく勝った」と言いたくなる4-3の逆転勝利から始まりました。
01試合概要 ── 0-3から7回だけの逆転で後半戦初戦を制す
明治神宮野球場 / 観客数29,328人 / 試合時間3時間55分 / 勝:門別啓人 / 敗:丸山翔大 / セーブ:ドリス / ホールド:木下里都・工藤泰成
| 回 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 阪神 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 4 | 0 | 0 | 4 |
| ヤクルト | 1 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 |
初回、ヤクルト先発の奥川恭伸に対し阪神は佐藤輝明のフォアボールと大山悠輔のヒットでツーアウト一、二塁とするも後続が倒れ無得点。その裏、才木浩人は後半戦最初の一球を長岡秀樹にライトスタンドへ運ばれ、さらに丸山和郁・古賀優大・赤羽由紘に連打を浴びワンアウト満塁まで追い込まれました。武岡龍世を三振、モンテルをショートゴロに打ち取り1点で凌ぎましたが、2回にも丸山・古賀のタイムリーで2点を追加され0-3。阪神打線は3回・4回にも走者を出しながら奥川を攻略できず、6回まで無得点が続きました。
試合が動いたのは7回。代打・福島圭音の凡退の後、元山飛優・森下翔太・近本光司が3人で合計18球を投げさせて満塁を作り、中野拓夢の犠牲フライ、佐藤輝明のタイムリーツーベース、大山悠輔の2点タイムリーで一挙4点。この回だけで0-3を4-3へひっくり返しました。その後は門別啓人、木下里都、工藤泰成、ドリスの継投で3回1/3を無失点に抑え、阪神は4-3で後半戦初戦を制し、巨人と51勝40敗・引き分け1つの同率首位を守りました。
02森下がまさかのベンチスタート、ガルシアの初スタメン
この試合は、始まる前から落ち着きませんでした。前半戦91試合すべてに出場し、リーグトップの24本塁打を放っていた森下翔太が、今季初めてスタメンから外れたのです。
森下はオールスター第1戦前のホームランダービーに出場し、万波中正との対戦で9本、準決勝の佐藤輝明戦で4本を記録。その後本戦には4番・センターで出場しましたが3回の守備から途中交代し、翌日の第2戦は「下半身のコンディション不良」で欠場しました。ここで注意したいのは、ホームラン競争が直接の原因だと断定できる情報は出ていないという点です。短時間に全力スイングを繰り返した直後の交代・欠場だけに負担との関係を疑う声が出るのは自然ですが、もともとの疲労が表面化した可能性や、本戦の走塁・守備で違和感が出た可能性も残ります。確認できているのは、森下が下半身のコンディション不良で球宴第2戦を欠場し、後半戦初戦ではベンチスタートになったという事実までです。それでも出場選手登録は外れず、試合展開によっては起用できる状態でベンチ入りしました。
代わって5番・レフトに入ったのが、新加入のガルシアです。一軍初スタメンでいきなり5番という重要な役割を任されました。初回、ツーアウト一、二塁で回ってきた最初の好機は空振り三振。4回もノーアウト一、二塁のチャンスで結果を残せず、最終成績は3打数ノーヒット、フォアボール1つ、三振2つに終わりました。初スタメンの一試合だけで判断する必要はありませんが、森下の代役を一人で務めるのが簡単ではないことも、改めて見えました。森下が持つ価値は24本塁打という長打力だけでなく、中軸で毎日打席に立つ安定感、走塁、守備、強肩、相手投手に与える圧力まで含みます。ガルシア一人に「森下の代わり」を求めるのではなく、高寺、元山、福島らを含め、打順と守備を組み合わせながら穴を埋めていく必要があるでしょう。実際、この日の逆転劇はガルシアの一発ではなく、元山から始まり森下がつなぎ、近本・中野・佐藤・大山へと続くものでした。
03才木、初球先頭打者弾から116球 ── 投げすぎなのか
先発の才木浩人は、後半戦最初の一球を長岡秀樹にライトスタンドへ運ばれました。初球先頭打者本塁打。さらに1回は丸山和郁・古賀優大・赤羽由紘に連打を浴びワンアウト満塁まで追い込まれましたが、武岡龍世を空振り三振、モンテルをショートゴロに打ち取り失点を1点に止めました。大量失点になってもおかしくない立ち上がりでした。
2回もツーアウト走者なしから長岡のヒット、内山壮真へのフォアボール、丸山のレフト前タイムリー、古賀のライト前タイムリーで0-3。3点とも、流れを止められそうなところから失った点でした。ただし才木はそのまま崩れず、3回・4回を三者凡退、5回には丸山・古賀・赤羽から三者連続三振。序盤の才木と中盤の才木は別人のようでした。最終成績は5回2/3、116球、被安打9・奪三振6・与四球1・3失点。決して良い内容ではありませんが、9安打を打たれながら3点で止め、味方が逆転できる範囲に試合を残しました。悪いなりに試合を壊さなかったことは評価すべきでしょう。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 投球回 / 球数 | 5回2/3 / 116球 |
| 被安打 / 奪三振 / 与四球 | 9 / 6 / 1 |
| 失点 | 3(先頭打者本塁打を含む) |
気になるのは投球内容だけでなく負荷です。才木は完投級の登板が続いた後で今回も116球、6回には岩田幸宏との打席が19球に及び球数が一気に増えました。今日つかまった原因を疲労だと断定することはできません。球速表示を見る限り終盤も150キロ前後を維持し、5回には三者連続三振を奪っており、単純に球威が消えていたわけでもないからです。一方で、球速が出ているから疲れていないとも言い切れません。投手の疲労は平均球速だけでなく、細かな制球、変化球の再現性、立ち上がりの体の動き、登板後の回復速度にも表れます。「エースだから任せる」は理解できますが、「投げられる」と「投げさせ続けてよい」は同じではありません。今後の優勝争いを考えると、才木が一試合を投げ切ることより、9月まで高い状態を維持することの方が重要になります。
04門別が止めた追加点、6回まで奥川を攻略できなかった打線
6回、才木はツーアウトまで進めましたが、岩田との19球の勝負の末にレフト前ヒットを許しました。ここで門別啓人へ交代。ツーアウト一、三塁、さらに岩田が二塁を盗み二、三塁となり、1本出れば4点差、あるいは5点差まで広がる場面でした。門別は長岡をサードへのファウルフライに打ち取り、投球はわずか5球。成績上は3分の1イニングを抑えただけに見えますが、ここで追加点を許していれば7回の4得点でも追いつけていません。この試合の勝利投手は門別となりましたが、記録以上に、逆転可能な3点差のまま7回へつないだことが大きな仕事でした。
阪神打線も6回まで全く走者を出せなかったわけではありません。1回は佐藤のフォアボールと大山のヒットでツーアウト一、二塁、3回は中野のヒットと佐藤のフォアボールでツーアウト一、二塁、4回はガルシアのフォアボールと高寺のヒットでノーアウト一、二塁とチャンスを作りました。特に4回はノーアウト一、二塁から梅野がファーストへのファウルフライ、元山がレフトフライ、才木が見逃し三振と走者を進めることすらできませんでした。奥川は6回99球、被安打4・奪三振6・与四球3でゼロに抑え、阪神は走者を出していても最後の一本が出ない、得点圏で打線が切れる展開が6回まで続きました。森下がいない中で打順全体の圧力が落ちたようにも見えた、後半戦初戦をそのまま落としかねない内容でした。
057回、元山・森下・近本の18球から始まった逆転劇
ヤクルトは7回から、6回無失点の奥川に代えて丸山翔大を投入しました。阪神は先頭の代打・福島圭音がファーストゴロでワンアウト走者なし。ここで打席に入ったのが元山飛優でした。
元山は1ボール2ストライクに追い込まれながら、スプリッターと151.9キロの直球を連続でファウル。そして6球目、138.7キロのスプリッターをレフト前へ運びました。打球速度149.7キロ、打球角度8度、飛距離51.8メートル。追い込まれた後、決め球を2度しのぎ、最後は再び投じられたスプリッターを仕留めました。派手な逆転打ではありませんが、このヒットがなければ森下の代打起用も、近本のヒットも、中野・佐藤・大山へ続く流れも始まっていません。
元山のヒットでワンアウト一塁、門別の打順で森下が代打に送られました。長打を求められる選手であり欠場への不安もある中、復帰打席で強く振りにいっても不思議ではありませんでしたが、森下は無理に勝負を急がず、6球を使いフルカウントからフォアボール。ワンアウト一、二塁としました。安打ではありませんが、後ろは近本・中野・佐藤・大山、森下が塁に出れば打線の中心へつながります。さらに森下は佐藤のタイムリーツーベースで二塁からホームへ生還し、7回裏からライトの守備にも入りました。少なくとも、代打だけでなく走塁と守備までこなせる状態だったことは確認できましたが、これで完全回復と判断するのは早く、連日のスタメンや全力走塁に問題がないかは翌日以降も見ていく必要があります。
続く近本も簡単には終わりませんでした。1ボール2ストライクからスプリッターをファウル、次の低いスプリッターを見極め、6球目のスプリッターをレフト前へ運びワンアウト満塁。元山が6球、森下が6球、近本が6球。3人で合計18球を丸山に投げさせました。阪神打線が突然初球から連打を始めたわけではなく、前半の3人が追い込まれても打席を終わらせず、決め球をファウルにし、ボール球を見極め、投手に負荷をかけた末に、中野・佐藤・大山がストライクを仕留める。粘る打者と決める打者の役割がきれいに分かれた攻撃でした。
06中野の犠牲フライ、佐藤のファースト強襲、大山の逆転打
ワンアウト満塁で中野拓夢。2球目、150.2キロの直球をライトへ打ち上げ犠牲フライとなり元山が生還、阪神は3-1としました。打球速度159.5キロ、打球角度17度、飛距離88.4メートル。「満塁で犠牲フライ」とだけ書けば最低限の仕事に見えますが、150キロの直球をしっかり捉え外野の深い位置まで運んだ内容は弱くありません。まず1点を返したことで、続く佐藤・大山の一打が逆転へつながりました。一方でアウトカウントは二つになり、逆転劇の本当の勝負はツーアウトからでした。
佐藤輝明に対し、丸山は4球連続でスプリッターを投じました。1球目空振り、2球目ボール、3球目ファウル、4球目、141.9キロのスプリッターを佐藤が捉えました。打球速度167.7キロ、打球角度4度。打球はファーストを強襲するように襲い、その横を抜けてライト線へ転がりました。森下が二塁から生還し3-2、近本は三塁、佐藤は二塁へ進みました。角度4度が示す通り打ち上げた打球ではなく、低めの変化球にバットを合わせ止められない速度でライト線を破ったのです。この場面で必要だったのは、ホームランではなく次の大山へつなぐ強烈な一打でした。
佐藤のツーベースを受け、ヤクルトは丸山から阪口皓亮へ交代。投手交代で一度流れを切り大山との勝負に入りました。初球152.7キロの直球を大山は見逃してストライク、2球目も直球、今度は154.0キロ。大山はこれをライト前へ打ち返しました。打球速度166.4キロ、打球角度12度、飛距離76.8メートル。三塁の近本、二塁の佐藤が生還し、阪神は4-3と逆転しました。ツーアウト、投手交代直後、初球を見逃して追い込まれかねない状況で相手は154キロの直球。そこで差し込まれず、無理に引っ張らず、逆方向へ166.4キロの打球を返しました。この試合で最も重い一打でした。
| 打者 | 結果 | 役割 |
|---|---|---|
| 福島圭音 | ファーストゴロ | 先頭は凡退 |
| 元山飛優 | レフト前ヒット | 6球粘って逆転の入口 |
| 森下翔太 | フォアボール | 無理に振らず次へつなぐ |
| 近本光司 | レフト前ヒット | 満塁を作る |
| 中野拓夢 | ライトへの犠牲フライ | まず1点(3-1) |
| 佐藤輝明 | ライト線タイムリーツーベース | 1点差へ(3-2) |
| 大山悠輔 | ライト前2点タイムリー | 逆転(4-3) |
| ガルシア | 見逃し三振 | 攻撃終了 |
| 選手 | 結果 | 打球速度 | 角度 | ポイント |
|---|---|---|---|---|
| 元山 | レフト前ヒット | 149.7km/h | 8度 | 追い込まれてからスプリッターを攻略 |
| 近本 | レフト前ヒット | 122.3km/h | 19度 | 6球目を逆方向へ運ぶ |
| 中野 | ライト犠牲フライ | 159.5km/h | 17度 | 150.2キロの直球を強く捉える |
| 佐藤 | ライト線ツーベース | 167.7km/h | 4度 | ファースト強襲の低い打球 |
| 大山 | ライト前ヒット | 166.4km/h | 12度 | 154.0キロを逆方向へ |
打者8人、ヒット4本、フォアボール1つ、犠牲フライ1本で4得点。しかもホームランはありません。「つないだ」という言葉だけでは少し足りません。粘る打席と、強く仕留める打球が、一つのイニングで完全にかみ合いました。
07近本は5回の自打球で途中交代、守備を総入れ替え
逆転直後、近本は7回裏のセンター守備に就きませんでした。報道では、近本は5回の打席で自打球を右足に当て、痛がる様子を見せていたとされています。その後も7回にヒットを放ち、大山のタイムリーで逆転のホームを踏みましたが、守備からは退きました。ここは時系列を間違えないようにしたい点です。自打球を当てたのは7回の打席ではなく、5回の打席です。
7回の攻撃後、阪神は大幅に守備を変更しました。森下がライト、高寺がライトからセンター、福島がレフト、坂本誠志郎がキャッチャー。近本・ガルシア・梅野はベンチへ下がり、木下が近本の打順に入りマウンドへ上がりました。森下が守備に入れたことは一定の安心材料でしたが、今度は近本の状態が心配になります。後半戦初戦から、主力外野手2人に不安が出た形です。近本の右足の状態、翌日のスタメンや試合前練習、球団や監督の説明には注目したいところです。
08木下160.3キロ・工藤161.3キロ、最後はドリス
逆転直後の7回裏、木下里都が登板。計測表示での最高球速は160.3キロでした。先頭の内山を見逃し三振、丸山をショートゴロに打ち取り簡単にツーアウトを奪いましたが、古賀にフォアボール、赤羽にセンター前ヒットを許し一、二塁。逆転した直後に同点の走者を得点圏へ置きました。ここで宮本丈をショートゴロ。1イニング18球、被安打1・与四球1・奪三振1・失点なし。圧倒して三者凡退ではありませんが、逆転直後の重い1イニングをゼロで終えたことが重要でした。
8回裏は工藤泰成。計測表示での最高球速は161.3キロ、直球の平均も158キロ台でした。先頭打者のファウルフライで大山にエラーが記録される場面がありましたが、モンテルから空振り三振。続く代打サンタナにレフト前ヒットを許し代走・盗塁で得点圏へ進まれ一打同点の場面を作られましたが、最後は長岡をショートフライに打ち取りました。1イニング25球、被安打1・奪三振1・与四球なし・失点なし。木下と工藤は、走者を出しながらもミスやヒットが出て崩れず最後のアウトを取りました。同じ160キロ右腕でも木下は直球とツーシームで押し、工藤は高速直球にカットボールとフォークを組み合わせる。阪神の7回・8回に、力で押し切れる新しい選択肢が見えました。
9回はドリス。先頭の内山を見逃し三振、丸山にはフォアボール。一発が出れば逆転される状況で古賀との勝負となり、最後は154.2キロのツーシームでセカンドゴロ、中野・元山・大山と渡るダブルプレーで試合終了となりました。木下と工藤が160キロを超える速球で押し、最後はドリスが動くツーシームで打たせて二つのアウトを取る。球速だけを並べた継投ではなく、若い速球派の後に経験豊富なドリスが違う形で締める継投は、相手打線から見ても終盤に投球タイプが変わる厄介さがあります。ドリスは1イニング16球、無安打・与四球1・奪三振1・失点なしでセーブを記録しました。
| 投手 | 投球回 | 球数 | 被安打 | 奪三振 | 与四球 | 失点 | 役割 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 才木浩人 | 5回2/3 | 116 | 9 | 6 | 1 | 3 | 先発 |
| 門別啓人 | 1/3 | 5 | 0 | 0 | 0 | 0 | 勝利投手 |
| 木下里都 | 1 | 18 | 1 | 1 | 1 | 0 | ホールド |
| 工藤泰成 | 1 | 25 | 1 | 1 | 0 | 0 | ホールド |
| ドリス | 1 | 16 | 0 | 1 | 1 | 0 | セーブ |
才木の後を受けた4人の投手で3回1/3をゼロに抑えました。打線が逆転した直後から、最後までリードはわずか1点。誰か一人が失点すれば試合は振り出しに戻る状況で、門別が追加点を防ぎ、木下と工藤が走者を出しながら耐え、ドリスが締める。4人の役割がつながった継投でした。
098回の好機を逃した課題と、それでも大きいこの勝利の価値
8回表、阪神は追加点の絶好機を作りました。高寺のサードへのバントヒット、福島の送りバント、元山のレフト前ヒットでワンアウト一、三塁。ここで森下がレフトフライに倒れ三塁走者はホームへ帰れず、元山が二塁を盗み二、三塁まで広げたものの代打・糸原健斗が空振り三振。追加点は入らず、7回に逆転したとはいえ得点できたのはその一度だけ。8回のチャンスまで逃し、リリーフ陣には「1点も失えない」状況が残りました。この試合を難しくしたのはヤクルトの反撃だけでなく、阪神自身が追加点を取れず最後まで自分たちを楽にできなかったことです。
阪神は10安打を放ちながら4得点、得点したのは7回だけで、1回・3回・4回・8回のチャンスを逃しました。ガルシアは初スタメンでノーヒット、近本は途中交代、森下の状態も完全には分からず、才木は116球を投げ、リリーフ陣も走者を出し続けました。「阪神は盤石だ」と言える試合ではなく、むしろ危ない部分がいくつも見えた試合でした。
それでも、課題が多かったからこそこの勝利には価値があります。先発が序盤に3点を失い、中軸の森下がスタメンを外れ、打線は6回まで無得点、近本も途中交代、8回の追加点機を逃し、守備でもエラーが出た。それでも勝ちました。元山という控え選手が逆転の入口を作り、森下は無理に決めにいかずフォアボールでつなぎ、近本は自打球を受けた後もヒットを放ち、中野が1点を返し、佐藤と大山がツーアウトから強烈な打球を続け、門別・木下・工藤・ドリスが1点差を守りました。主力一人の活躍で押し切ったのではなく、状態が悪い選手、控え選手、若いリリーフ、ベテランが、それぞれ小さな役割を果たして勝った試合です。長いシーズンの後半戦では、こうした勝ち方が必要になります。
10同率首位を守った後半戦初戦
同日の巨人はDeNAに6-0で勝利しました。阪神が敗れていれば、後半戦初日に首位争いで後れを取る可能性がありました。阪神は51勝40敗・引き分け1つ、巨人は51勝40敗・引き分け2つ。勝敗数は同じで、同率首位が続きました。
7月31日の一試合だけで優勝が決まるわけではありません。それでも、同じ日にライバルが勝っている状況で0-3の試合を落とさず、1点差で取り切った価値は小さくありません。完全な試合で1勝するのも、苦しい試合で1勝するのも、順位表では同じ1勝です。しかし、チームに残る感触は違います。後半戦初戦から「主力が万全でなくても勝てた」「3点差でも試合を戻せた」「若いリリーフで1点を守れた」という経験を得たことは、今後の戦いにつながります。
11反対意見・別の見方
奥川の降板がなければ得点できなかったのではないか:7回に丸山へ継投したことで阪神打線がつながったのは事実であり、奥川が続投していれば結果は違ったかもしれません。ただし継投も試合の一部であり、その場面で粘り抜いた元山・森下・近本の打席内容まで割り引く必要はないでしょう。
打線は10安打で4点、拙攻が多すぎる:1回・3回・4回・8回の好機を逃したのは事実で、才木を116球まで引っ張った判断や、木下・工藤が走者を出したことも含め、安定した勝ちパターンとはまだ言えません。
森下と近本の状態次第では、勝利以上に大きな不安が残る:ガルシアの守備と打撃も、すぐに一軍の中軸を任せられる段階ではない可能性があります。
これらはもっともな指摘です。阪神は内容で圧倒したわけではなく、ヤクルトは11安打を放ち阪神より1本多く、リリーフ陣も三者凡退を並べたわけではありません。だからこそ、この試合を「完璧な勝利」と表現するのは違います。ただし、課題があったことと勝利の価値が大きいことは両立します。打線が一度しかかみ合わなくても、その一度で逆転できました。リリーフが走者を出しても、誰も失点しませんでした。ミスが出ても崩れませんでした。この試合は、弱点が消えた勝利ではなく、弱点を抱えたまま、それでも勝ち切った試合です。
12後半戦の注目点
阪神は10安打を放ちながら得点は7回のみ。主力・先発・リリーフのそれぞれに課題を残した試合でもあり、後半戦は毎回この形で勝てるとは限りません。以下の点が今後の焦点になります。
- 森下はスタメンに戻れるのか。代打でフォアボールを選び、走塁とライト守備もこなしたが、連日のスタメン出場や全力プレーに問題がないかは別問題。ホームラン競争との因果関係を断定せず、球団発表と起用法を見る必要がある。
- 近本の右足は大丈夫か。5回に自打球を当てた後、7回にヒットを放ち逆転のホームも踏んだが、その裏から途中交代。翌日のスタメン、試合前練習、球団や監督の説明に注目したい。
- 才木の投球負荷をどう管理するか。球速は終盤まで出ていたが116球を要した。夏場の優勝争いでエースを長く使いたいからこそ、一試合ごとの球数だけでなく登板間の回復を重視すべき。
- 木下と工藤は勝ちパターンに定着するか。160キロ超の球速は魅力だが、木下がフォアボールとヒット、工藤もヒットを許した。走者を置いた場面の制球と変化球の再現性が今後の鍵になる。
- ドリスをどの場面で使うか。最後を任せられる経験と、ツーシームでダブルプレーを取れる強みがある。若い速球派との組み合わせ次第で終盤の継投に幅が出る。
- ガルシアをどう育てながら使うか。初スタメンはノーヒットだったがフォアボールは選んだ。一軍投手への対応とレフト守備は実戦の中で見極める必要がある。森下の代役という重い見方ではなく、長打を持つ選択肢の一人として評価したい。
- 元山、高寺、福島の役割。元山は2安打1盗塁で逆転の起点、高寺は2安打で8回にバントヒット、福島は代打では倒れたが送りバントを決め守備にも入った。主力だけでなく、この層がどこまで機能するかが後半戦の鍵になる。
13まとめ ── 強かったというより、よく耐えた
後半戦初戦の阪神は、決して盤石ではありませんでした。森下がベンチスタート、才木は後半戦最初の一球を本塁打にされ2回までに3失点、打線は6回まで無得点、近本は自打球の影響で途中交代、8回の追加点機も逃し、リリーフ陣も走者を出しました。
それでも、7回だけは全員の仕事がつながりました。元山が6球粘ってヒット、森下が6球でフォアボール、近本も6球でヒット、3人で18球を投げさせ、中野が犠牲フライ、佐藤がファースト強襲からライト線タイムリーツーベース、大山が154キロをライト前へ返し逆転の2点タイムリー。逆転後は門別・木下・工藤・ドリスが3回1/3をゼロに抑えました。得点できたのは一度だけ、リードは1点だけ、それでもその一度と、その1点を最後まで守り抜きました。「強かった」と言い切るには課題が多く、「危なかった」だけで片づけるには勝負強さがありました。阪神は4-3で後半戦初戦を取り、巨人と51勝40敗・引き分け1つの同率首位を守りました。
14動画でも詳しく話しています
7回の各打席、才木の投球負荷、160キロリリーフコンビ、森下と近本の状態まで、2人の掛け合いによるラジオ形式で詳しく振り返っています。