【阪神2-4巨人】あと一球から悪夢…才木130球の熱投を消したダルベック勝負と延長10回の一発
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この試合は「才木がかわいそうだった」で終わらせるべきではありません。才木浩人の8回までの投球は疑いなくエース級でしたが、9回の最後については才木本人、梅野隆太郎とのバッテリー、ベンチの全員に責任があります。同時に、才木を1-0のまま9回まで投げさせた打線の責任も大きいものでした。
阪神は8安打を放ちながら2得点、タイムリーはゼロ。巨人は6安打でも、ダルベックと小濱佑斗の2本の2ランホームランで4点を奪いました。阪神は塁をつなぎながら一点ずつ取り、巨人は一振りで二点を奪う。最後に出たのは、両チームの「決め切る力」の差でした。
2026年7月24日、阪神甲子園球場で行われた阪神タイガース対読売ジャイアンツ15回戦は、首位攻防戦の初戦。延長10回の末に阪神が2対4で敗れました。才木浩人が8回まで巨人打線を2安打に抑える圧巻の投球を見せながら、9回二死三塁でボビー・ダルベックに逆転2ランを浴び、9回裏に絶対守護神ライデル・マルティネスから同点に追いついたものの、延長10回に岩崎優がルーキー・小濱佑斗のプロ初本塁打を浴びて力尽きた一戦です。
01試合概要 ── 延長10回、あと一球からの敗戦
阪神甲子園球場 / 観客数42,647人 / 試合時間3時間37分 / 阪神8安打 / 巨人6安打 / 勝:ライデル・マルティネス / 敗:岩崎優 / セーブ:田中瑛斗
| 回 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 計 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 巨人 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 2 | 4 |
| 阪神 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 2 |
2回、才木の送りバントを巨人が処理できずエラーで先制。1-0のまま試合は9回へ進みましたが、二死三塁でダルベックに逆転2ランを浴び1対2。その裏、福島圭音の代打ヒット・近本光司のフォアボール・中野拓夢のヒットで一死満塁を作り、森下翔太の犠牲フライで2対2の同点。しかし延長10回、岩崎優が小濱佑斗にプロ初本塁打となる勝ち越し2ランを浴び、阪神は2対4で敗れました。
阪神の継投は才木浩人-岩崎優。巨人は今村信貴以下を経てマルティネス-田中瑛斗という継投でした。両チームの得点はすべて長打が絡み、阪神のタイムリーはゼロという対照的な一戦になりました。
028回までの才木浩人は首位攻防戦のエースだった
才木の最終成績は9回130球、被安打4、与四球1、13奪三振、2失点。数字だけでも十分にすごいものですが、8回終了時点ではさらに圧倒的でした。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 被安打 | 2 |
| 奪三振 | 12 |
| 失点 | 0 |
| 7回の内容 | わずか8球で三者凡退 |
| ダルベックへの対戦 | 2三振・ライトフライに抑制 |
序盤はストレートで空振りと見逃しを奪い、フォーク・スライダーを織り交ぜて巨人打線に狙い球を絞らせませんでした。ここで重要なのは、9回の被弾だけを理由に、それまでの投球まで否定しないことです。才木は首位攻防戦という重い舞台で、8回まで巨人をほぼ完全に封じていました。
03続投は理解できる、しかし9回は同じ才木ではなかった
結果を見たあとなら「9回は岩崎に代えるべきだった」と言うのは簡単ですが、8回までの才木は被安打2・12奪三振・無失点。1-0の試合でエースに完封を託す判断自体は理解できます。問題は、9回を任せたことそのものよりも、9回に入ってからの状態変化をどう見たかです。
| 確認点 | 内容 |
|---|---|
| 8回の球数 | 25球 |
| 8回終了時 | 113球 |
| 9回先頭へのフォーク | 132.6km/h、落ち切らずライト前ヒット |
| 初回の直球平均 | 151.3km/h |
| 9回の直球平均 | 147.8km/h |
| 最終球 | 134.7km/hのフォークが甘く入り被本塁打 |
放送画面の投球データでは、9回のストレート平均が初回から3km/h以上落ちていました。最高球速だけなら150km/hを超えていても、平均球速と変化球の精度を見ると疲労の兆候は出ていました。続投を決めたとしても、先頭打者を出した時点、送りバントで二塁へ進まれた時点、あるいはダルベックを迎えた時点で、もう一度状態を見直す余地はありました。エースに任せることと、最後まで何も変えないことは同じではありません。
04最大の論点「なぜダルベックと勝負したのか」
9回表、二死三塁。阪神が1-0でリードし、一塁は空いていました。打席はダルベック。7月7日時点で対阪神戦5本塁打・13打点を記録し、すでに「阪神キラー」と呼ばれる実績がありました。
| 経過 | 結果 |
|---|---|
| 0ボール2ストライクまで追い込む | 優位 |
| ファウルで粘られる | 目が慣れ始める |
| 高めのストレート2球 | 見送り、2ボール2ストライク |
| 最後は134.7km/hのフォーク | 左中間へ逆転2ラン |
ダルベックを歩かせれば一塁に逆転の走者を置くことになり、次打者の大城卓三に長打を打たれるリスクもあります。才木がこの日ダルベックを前三打席で2三振とライトフライに抑えていたことを踏まえれば、敬遠しなかったことだけを結果論で断罪するのは乱暴です。ただし、敬遠しないことと、ストライクゾーンで勝負することは別です。一塁が空いている以上、ボール球だけで誘い歩かせても構わない攻め方ができました。「勝負するか、敬遠するか」の二択ではなく、「打ち取れればよい、歩かせてもよい」という配球が可能だったにもかかわらず、抜け始めていたフォークをゾーンへ残したことが問題でした。
責任は梅野の配球判断、才木本人が要求されたフォークを低く投げ切れなかったこと、そして130球に近づいた才木の状態把握や介入が不足していたベンチ、それぞれに分けて考えるべきです。「才木はあれだけ投げたのだから責められない」という感情は分かりますが、最後の一球まで含めてエースであり、最後の配球まで含めてバッテリーです。
05そもそも打線が、才木を1点で投げさせ続けた
ダルベックの逆転弾はこの試合の最も強烈な場面でしたが、阪神が負けた根本原因を考えるなら打線の責任は外せません。阪神は8安打を放ち巨人の6安打より多かったものの、得点は2点。しかもタイムリーは一本もありませんでした。
| 回 | 状況 | 結果 |
|---|---|---|
| 1回 | 一死一・三塁 | 佐藤・大山ともにファウルフライ |
| 2回 | 一死一・三塁 | 相手エラーで1点、近本・中野続かず |
| 3回 | 一死一塁 | 大山がダブルプレー |
| 6回 | 二死満塁 | 才木の打席(続投優先) |
| 8回 | 二死二塁 | 髙寺が三振 |
| 9回 | 二死二・三塁(同点後) | 佐藤が空振り三振 |
元山飛優が4打数3安打、福島圭音が代打で結果を残した一方、近本・大山・髙寺はノーヒット。才木が一発を浴びた直接の責任はバッテリーにありますが、才木に「130球を投げて1-0を守り切れ」と要求する展開を作ったのは打線でした。あと一点あれば、ダルベックの一発は同点止まりだったはずです。
069回裏、マルティネスから追いついた反撃
あと一球から逆転された直後、阪神打線の前に立ちはだかったのは巨人の絶対守護神マルティネスでした。先頭のガルシアが初球をサードゴロで簡単に一死。そこから流れを変えたのが代打の福島圭音でした。追い込まれながら154.7km/hのツーシームをセンター前へ強く打ち返し、打球速度157.7km/h・打球角度3度。長打ではありませんが、球界屈指の守護神の速球に押し込まれず強い打球を返したことに価値がありました。
続く近本はきわどい球を見極めてフォアボード。焦りやすい場面で振らず、次の中野へつなぎました。一死一・二塁で迎えた中野は、7球すべてが速球系という巨人バッテリーの配球の中でファウルで粘り、最後は155.9km/hのフォーシームをライト前へ運んで満塁。一死満塁で森下は、初球の155.5km/hに空振りしたあと、三球目に同じ155.5km/hをライトへ運んで犠牲フライ。打席の中で同じ球速へ修正し、最低限の一打で2対2の同点に追いつきました。
07佐藤輝明の問題は最後のスプリッターではない
森下の犠牲フライのあと、公式記録では二死二・三塁。打席は佐藤輝明でした。最後は150km/hのスプリッターを空振りし、三振に倒れています。この最後の球は低いコースへしっかり投げ切られたマルティネスの勝ち球であり、あの一球だけを見て「佐藤が打てなかった」と批判するのは違います。
最後の150km/hのスプリッターは投手が投げ切った球でした。問題はそれ以前にあり、打てるカウントでゾーンに来た球を一振りで仕留められず、最後に最も難しい球を投げさせてしまったことです。ヒットとフォアボールで二度出塁しており、まったく見えていないわけではありませんが、勝負どころで甘い球を決める状態には見えませんでした。「最後の難しい球を打てなかった」のではなく、「最後の難しい球を投げられる前に決められなかった」。この打席には現在の佐藤の不調が凝縮されていました。
08延長10回、岩崎優が浴びた小濱佑斗のプロ初本塁打
9回裏に追いつき、甲子園の空気は完全に阪神へ戻りました。しかし延長10回、岩崎がその流れを止められませんでした。先頭のキャベッジにショートへの内野安打、佐々木俊輔の送りバントで一死二塁。打席は途中出場のルーキー、小濱佑斗でした。1ボール1ストライクから、小濱がレフトスタンドへ勝ち越し2ランホームラン。プロ初本塁打でした。
巨人の4得点はすべて2本のホームラン(9回ダルベックの逆転2ラン、10回小濱の勝ち越し2ラン)によるもの。阪神は8安打を積み重ね、相手のエラーと犠牲フライで2点でした。野球は安打数を競う競技ではなく、どれだけ塁へ出ても走者を返せなければ得点にはなりません。9回裏に福島・近本・中野・森下とつないでようやく奪った一点を、巨人は小濱の一振りで二点に変えました。
10回裏、2点を追う阪神は元山がこの日3本目のヒットで出塁したものの、髙寺がセカンドゴロ、代打の立石正広が見逃し三振で試合終了。岩崎は長く阪神の終盤を支えてきた投手であり、一試合の失敗ですべてを否定する必要はありませんが、追いついた直後の延長で先頭打者を出し、送りバントのあとにホームランを打たれたのは事実です。敗投手は岩崎であり、10回の2失点は勝負を直接分けました。
09反対意見・別の見方
8回まで圧倒していた才木を代えるのは無理だった:才木は8回まで無失点で12個の三振を奪っており、完封を託すだけの内容でした。ただし問題は続投の是非だけでなく、9回先頭にヒットを打たれ、送りバントで走者を進められ、阪神戦に強いダルベックを迎える途中で、間を取る・配球方針を変える・歩かせる可能性を含めて攻めるなどの選択肢が残っていた点にあります。
敬遠して大城に打たれたら同じだった:その可能性はありますが、ダルベックにストライクを投げる必要はなく、歩かせてもよいボール球中心の勝負はできました。敬遠か真っ向勝負かという極端な二択ではありません。
梅野の配球だけを責めるのは違う:その通りです。最後の球が要求どおりの高さだったのか、才木が投げ損じたのかは外部からは断定できません。バッテリーは共同作業であり、ベンチも含めて責任を考える必要があります。
9回裏に追いついた打線は責められない:マルティネスから追いついた反発力は見事でしたが、8回までに追加点を取れなかった責任が消えるわけではありません。追いついたことと、それまでの拙攻は分けて評価するべきです。
10今後の首位攻防戦で見るべきポイント
- ダルベックへの攻め方を変えられるか。対阪神5本塁打・13打点にこの日の逆転弾が加わり、「たまたま打たれた」では済まない。ダルベック専用の攻め方が必要になる。
- 終盤の先発投手を球数ではなく状態で見極められるか。130球だから交代、100球だから続投という単純な話ではなく、平均球速・変化球の精度・直前イニングの球数・打者との相性・走者とカウントを総合して判断する必要がある。
- 佐藤輝明と大山悠輔が勝負どころで仕留められるか。主軸が出塁するだけでは勝ち切れず、甘い一球を一振りで仕留め走者を返す仕事が求められる。
- 岩崎を含む終盤のリリーフが立て直せるか。追いついた試合を勝利へつなげるには次のイニングをゼロに抑える必要があり、次の登板での修正が首位争いを考えるうえでも重要になる。
- 福島圭音・元山飛優らの結果を起用へつなげるか。主力が苦しむ中で結果を出した選手をどう生かすかが、打線の停滞を解く材料になる可能性がある。
11まとめ ── あと一球、あと一本の差
あと一球だった。才木の完封勝利まで、首位攻防戦の初戦を取るまで、本当にあと一球だった。しかし、阪神戦に強いダルベックに対し、疲労の兆候が出ていた才木のフォークで勝負し、逆転2ランを浴びました。
その裏、阪神は絶対守護神マルティネスから追いつきました。福島が速球を強く打ち返し、近本が際どい球を見極め、中野が155.9km/hをライト前へ運び、森下が犠牲フライを打つ。首位チームの意地は見せましたが、延長10回、岩崎がルーキー小濱のプロ初本塁打を浴び、もう一度突き放されました。この敗戦は「才木がかわいそう」で終わらせるべきではありません。才木の8回までを称賛し、9回のバッテリーとベンチを検証し、追加点を取れなかった打線の責任を見て、追いついた直後に失点した岩崎の責任も見る。そして、マルティネスから追いついた反発力は次の勝利へつなげる必要があります。阪神と巨人は勝敗数で49勝39敗と並び、首位攻防戦はここからさらに重くなります。
12動画でも詳しく話しています
才木浩人の投球データ、ダルベックへの配球、9回裏の反撃、延長10回の一発まで、2人の掛け合いによるラジオ形式で詳しく振り返っています。