森下128.6m弾と才木“巨人戦10連勝” 阪神が昨日の悪夢を断ち切った4対1勝利
この試合は、スコアだけ見れば阪神の4対1勝利です。しかし中身は、決して楽な勝ち方ではありませんでした。両軍ともに6安打、失策0。ヒット数は同じです。それでも阪神が4点、巨人が1点。差を生んだのは、森下翔太の初回128.6m弾、大山悠輔の4回タイムリー二塁打、6回の押し出しと最低限、そして才木浩人の7回無失点でした。一方で、巨人のキャベッジには5回に天井直撃の大飛球、8回に岩崎優から本塁打を打たれています。4対1でも、楽勝ではありません。今日の勝利の本質は、完勝ではなく「踏みとどまった勝利」です。森下が昨日の重い空気を一振りで壊し、才木が7回をゼロで投げ切り、ドリスが最後を締めた。まだ完全体ではない阪神が、完全体になるまで首位圏に居続けるための大きな1勝でした。
昨日の負け方が、あまりにも重かった。阪神は前日の巨人戦で3対1とリードしながら7回に逆転を許し、髙橋遥人の開幕からの連勝は10でストップしました。首位攻防で勝てるはずだった試合を落としたこともあり、単なる1敗以上に重い敗戦でした。だからこそ、2026年7月8日の巨人戦は初回から特別な空気がありました。前の試合は 阪神3-4巨人|勝って語りたかった首位決戦。佐藤逆転打&前川3戦連発でも落とした痛すぎる理由 をどうぞ。
01昨日の逆転負けが重すぎた
阪神は前日の巨人戦で、3対1とリードしながら7回に逆転を許しました。髙橋遥人の開幕からの連勝は10でストップ。首位攻防で勝てるはずだった試合を落としたこともあり、単なる1敗以上に重い敗戦でした。だからこそ、7月8日の巨人戦は、初回から特別な空気がありました。昨日の負けを引きずるのか。それとも、今日の初回で流れを断ち切れるのか。その重さを一振りで変えたのが、森下翔太でした。
| 回 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 | 安 | 失 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 阪神 | 1 | 0 | 0 | 1 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 4 | 6 | 0 |
| 巨人 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 | 6 | 0 |
勝利投手:才木浩人 / 敗戦投手:西舘勇陽 / セーブ:ドリス(12勝目のセーブ)
02森下翔太の128.6m弾が試合の空気を変えた
1回表、2アウト走者なし。相手先発・西舘勇陽の初球、152キロのストレートを森下が完璧に捉えました。NPB+表示では、打球速度177.0km/h、角度29.0度、飛距離128.6m。打球は東京ドームの左翼上段、バルコニー席まで届く特大ホームランでした。
これは、単に1点を先に取ったというだけではありません。前日の逆転負けで重くなった空気を、東京ドームの上の席まで吹き飛ばすような一発でした。藤川監督も試合後、森下のホームランを大きかったと見ており、「すべてのボールに強く振っていくことで、相手にプレッシャーを与えている」という趣旨のコメントを残しています。今の森下は、初球から怖い打者です。相手バッテリーからすると、カウントを取りにいく1球すら甘く入れられません。
この一発は森下にとって21号。さらに通算50度目の決勝打となり、2リーグ制後に入団した選手では、4年目までの通算決勝打数としてプロ野球最多記録になったと報じられています。試合の流れだけでなく、記録の面でも大きな一発でした。
03両軍6安打で4対1になった理由
この試合の面白いところは、安打数です。阪神は6安打。巨人も6安打。失策は両軍0。つまり、阪神が一方的に打ちまくった試合ではありません。それでもスコアは巨人1対4阪神。差を生んだのは、安打の数ではなく、安打の質と得点の取り方でした。
| 回 | 場面 | スコア |
|---|---|---|
| 1回表 | 森下翔太、左本塁打で先制 | 0-1 |
| 4回表 | 佐藤輝明が四球で出塁、大山悠輔の左翼線タイムリー二塁打 | 0-2 |
| 6回表 | 中野・森下・大山でつなぎ、前川右京の押し出し四球 | 0-3 |
| 6回表 | 熊谷敬宥の遊ゴロの間に1点 | 0-4 |
| 8回裏 | キャベッジ、岩崎優から左本塁打 | 1-4(試合終了) |
本塁打、長打、四球、走塁、最低限。この全部が入っています。派手な猛攻ではありません。でも、勝つために必要な点の取り方はできていました。
| 項目 | 阪神 | 巨人 |
|---|---|---|
| 安打 | 6 | 6 |
| 失策 | 0 | 0 |
| 四球 | 5 | 4 |
| 本塁打 | 森下1本 | キャベッジ1本 |
| 得点 | 4 | 1 |
阪神は本塁打、長打、四球、最低限で得点化。巨人は走者を出すも決定打不足でした。
04大山悠輔の8球勝負、124.4km/hカーブ対応が見事
4回表の大山の打席は、かなり見応えがありました。佐藤が四球で出て、1アウト一塁。大山は西舘と8球勝負になります。
| 球目 | 球種 | 球速 | 結果 |
|---|---|---|---|
| 1 | フォーシーム | 150.3km/h | ボール |
| 2 | スライダー | 130.5km/h | ファウル |
| 3 | フォーシーム | 149.3km/h | ファウル |
| 4 | フォーク | 134.5km/h | ボール |
| 5 | スライダー | 133.7km/h | ファウル |
| 6 | スライダー | 132.4km/h | ファウル |
| 7 | フォーシーム | 150.2km/h | ファウル |
| 8 | カーブ | 124.4km/h | 左翼線タイムリー二塁打 |
西舘は、ストレート、スライダー、フォークを見せた後、最後に124.4km/hのカーブを選びました。タイミングを外しにきた球です。しかし大山は前に突っ込みませんでした。しっかり残して、左翼線へ運びます。NPB+表示では、打球速度157.6km/h、飛距離61.6m、角度13.0度。対応しながら、強く打てている打球です。森下の一発で試合の空気を変え、大山の二塁打で試合を阪神側に引き寄せた。この2点目は、昨日の流れを考えてもかなり大きな追加点でした。
05前川の押し出しと熊谷の最低限、6回の2点が大きい
6回表の攻撃も、今日の阪神らしさが出ています。先頭の中野がライト前ヒット。森下が四球。佐藤はショートフライに倒れますが、大山がレフト前ヒットで満塁。ここで前川が押し出し四球を選び、3点目。さらに熊谷のショートゴロの間に4点目。
大きな長打で一気に畳みかけた回ではありません。ただ、四球を選び、つなぎ、最低限で点を取った。これが、両軍6安打でも4対1になった理由です。なお阪神は8回表にも大山四球、前川四球、熊谷左安で1死満塁を作りましたが、梅野の二直、岡城の二ゴロで追加点はなりませんでした。ここで追加点が取れていれば、8回裏のキャベッジ弾の不安はかなり薄くなっていたはずで、勝ったが攻撃面にも詰めの甘さは残ります。
06キャベッジの天井打と8回弾、4対1でも楽勝ではなかった
阪神が勝った試合ですが、巨人側で一番怖かったのはキャベッジでした。5回裏、2対0、2アウト二塁。キャベッジの打球はライト方向へ高く上がります。NPB+表示では、打球速度172.0km/h、角度51.0度、飛距離89.6m。ただし、この飛距離89.6mは、天井に当たって失速した後の結果込みと見るべきです。打球は東京ドームの天井に当たり、森下が捕球してライトフライになりました。
ここで注意したいのは、「天井に当たらなければ本塁打だった」と断定する必要はないことです。報道でも、本塁打だったかは微妙とされています。ただ、試合の空気を一気に変えかねない打球だったのは間違いありません。2対0から2対2になっていれば、昨日の逆転負けの記憶もあり、試合の雰囲気は大きく変わっていたはずです。しかも、8回には同じキャベッジが岩崎から13号ソロを打っています。5回は天井打。8回は本塁打。キャベッジを完全に抑えた試合ではありません。阪神は、キャベッジに何度も流れを変えられかけながら、それ以上は広げさせなかった試合でした。
1回:浦田四球、ダルベック四球で2死一二塁。4回:岸田二塁打で1死二塁。5回:松本二塁打、キャベッジ天井打。7回:丸二塁打、松本四球で2死一二塁。8回:キャベッジ本塁打、泉口四球。4対1でも、巨人側に反撃の入口は複数ありました。
07才木浩人、7回無失点で巨人戦10連勝
投手陣の主役は才木浩人です。才木は7回101球、5安打、8奪三振、3四球、無失点。今季6勝目を挙げ、巨人戦は10連勝となりました。この「10連勝」は、前日の流れと重なります。昨日は髙橋遥人の開幕10連勝が止まった。その翌日に、才木が巨人戦10連勝を決めた。阪神にとっては、昨日失った流れを、今日別の10連勝で取り返したような試合でした。
ただし、才木の投球は完全無欠ではありません。1回には四球2つで2アウト一二塁。4回には岸田行倫の二塁打。5回には松本剛の二塁打からキャベッジの天井打。7回には丸佳浩のフェンス直撃二塁打と松本の四球で2アウト一二塁。それでも無失点。才木の価値は、走者を出さなかったことではなく、走者を出しても返さなかったことです。
| 球種 | 球数 | 割合 |
|---|---|---|
| フォーシーム | 62球 | 61.4% |
| フォーク | 18球 | 17.8% |
| スライダー | 16球 | 15.8% |
| カーブ | 5球 | 5.0% |
フォーシーム中心ではありますが、単なる力押しではありません。梅野隆太郎と考えながら、どこで落とすか、どこで曲げるか、どこで真っすぐを通すかを作っていた投球でした。ストレートの平均球速は序盤153.4km/hと強い入りを見せ、5〜6回は149km/h台まで落ちましたが、7回に150.8km/hへ戻しています。三者凡退で楽に積んだ7回ではなく、走者を出しても返さなかった7回でした。藤川監督の「梅野と考えながらやってくれた」というコメントともつながります。
084点差で岩崎優、最後はドリス。継投の意味と不安
4対0の8回裏、阪神は岩崎優を投入しました。普通の4点差なら、勝ちパターンを温存する選択もあります。しかし、この日は普通の4点差ではありません。前日に7回で逆転負けしている。今日こそは、絶対に試合を落としたくない。昨日の悪夢を今日に持ち越させない。そういう意味では、4点差でも岩崎を出した意図はわかります。
ただし、内容は良くありませんでした。先頭のキャベッジに13号ソロ。さらに泉口友汰に7球粘られて四球。ここはかなり嫌な空気でした。それでも岩崎は、代打・笹原操希を6-4-3の併殺に取り、流れを止めました。良かったというより、何とか踏みとどまった8回です。
8回に1点を失い、スコアは4対1。これでセーブシチュエーションになりました。9回はドリス。16球、被安打0、2奪三振、四球0、無失点。セーブは12です。球種はツーシーム11球(68.8%)、スプリッター4球(25.0%)、スライダー1球(6.2%)。ストレート系は最速153.4km/h、平均152.1km/h。岩崎で少しざわついた試合を、最後はドリスが静かに終わらせました。
09伊原・近本・下村・立石。完全体へ向かう阪神
この試合の最後に見ておきたいのは、阪神がまだ完全体ではないことです。明日の予告先発は、巨人が則本昂大、阪神が伊原陵人。伊原は戦列復帰後、ファームで5試合に登板し、7月3日のソフトバンク戦では4回2安打無失点。今季3勝目を目指す登板になります。
近本光司もファームで実戦復帰しています。7日は1番DH、8日は1番中堅で出場し、負傷後初めて守備につきました。結果は4打数無安打1三振でしたが、センターの守備に戻っていることが重要です。下村海翔もトミー・ジョン手術から戻り、7月2日の中日戦でプロ初登板初先発。5回6安打2失点で一軍のマウンドに立ちました。立石正広もファームで4番三塁として出場しています。すぐに一軍戦力と断定する段階ではありませんが、段階は踏んでいます。
阪神はまだ完成形ではありません。それでもこの位置にいる。2026年7月8日時点で阪神と巨人はともに40勝34敗。阪神は引き分け1、巨人は引き分け2で、同率首位です。完全体になるまで、一喜一憂は当然あります。昨日の逆転負けには悔しさが残る。今日も4対1とはいえ、キャベッジの天井打や8回の本塁打で不安はありました。それでも、崩れないこと。首位圏に居続けること。戻ってくるピースが戻るまで、この位置を守ること。今日の勝利は、その意味で非常に大きな1勝でした。
10反対意見・別視点
「4対1なら十分な完勝では?」── スコアだけ見ればそうですが、両軍6安打・失策0で内容は拮抗していました。キャベッジには天井打と本塁打を許しており、内容面では紙一重の試合でした。
「岩崎の8回はもっと批判すべきでは?」── 被弾と四球は事実ですが、代打・笹原を6-4-3の併殺に取り、最悪の展開は防いでいます。「不安の残る内容」ではあっても、試合を壊してはいません。
「西舘は完全に崩れたのでは?」── 5回1/3で4失点ながら、奪三振6で球種も多彩でした。崩壊ではなく、森下・大山という中軸に要所でやられた試合と見るのが正確です。
「才木は完璧だったのでは?」── 無失点は事実ですが、1回・4回・5回・7回とほぼ毎回走者を出しています。走者を出さなかったのではなく、出しても返さなかった投球でした。
11今後の注目点
- 森下翔太の一発が続くか。初回128.6m弾で通算50度目の決勝打。プロ野球最多記録級のペースを維持できるか。
- 才木浩人の巨人戦10連勝がどこまで伸びるか。走者を出しても崩れない投球術が今後も続くか。
- 大山悠輔の対応力。124.4km/hのカーブを二塁打にした4回の打席のような対応が今後も見られるか。
- 岩崎優の状態。8回のキャベッジ被弾を次回どう修正するか。
- 伊原陵人の一軍復帰。明日の予告先発でファームでの好投を一軍でも再現できるか。
- 近本光司の実戦復帰。守備に戻ったことが大きく、打撃面での復調も待たれる。
- 下村海翔・立石正広の一軍定着。段階を踏んでおり、後半戦のピースになれるか。
- 髙寺望夢の起点役。今日は5打数無安打だったが、1番としての再現性が問われる。
- 巨人・キャベッジの対阪神での怖さ。天井打と本塁打、今後も対策が急務な打者であり続けるか。
12まとめ:完勝ではない。だからこそ価値がある
阪神は巨人に4対1で勝ちました。しかし、完勝ではありません。森下翔太が初回に128.6mの特大弾を放ち、大山悠輔が4回に8球勝負からカーブを捉え、前川右京と熊谷敬宥が6回に追加点を作った。才木浩人は7回無失点で巨人戦10連勝。8回は岩崎優でざわついたものの、9回はドリスが締めました。一方で、キャベッジには5回に天井打、8回に本塁打を許しています。4対1でも楽勝ではなかった。
だからこそ、この勝利は価値があります。昨日の悪夢を引きずらなかった。まだ完全体ではない阪神が、完全体になるまで首位圏に居続けるために踏みとどまった。今日の4対1は、ただの1勝ではありません。森下の一振りと、才木の7回無失点が作った、昨日の悪夢を断ち切る大きな勝利でした。今日の阪神は、強かったというより、踏みとどまりました。
13動画でも詳しく話しています
森下翔太の128.6m弾、才木浩人の巨人戦10連勝、キャベッジの天井打、岩崎優・ドリスの終盤継投まで、流れを追って整理しています。