先に結論。この試合は「最後にドリスが打たれた」で片づけられる試合ではありません。阪神は9安打を放ち、何度もチャンスを作りながら2点だけ・残塁12。森下翔太は死球を受けながら3安打1打点・勝ち越し打、佐藤輝明は先制犠飛、中野拓夢は2安打で起点になった。それでも勝てなかった理由は打線の構造です。近本光司の不在で1番の圧が弱まり、佐藤・大山の後ろの6番が機能しない。相手は佐藤を避け、大山を慎重に攻め、その後ろで止めればよかった。さらに西勇輝が4回で降板して中継ぎに負担が集中、木下里都は3連投、岩崎・ドリスまで投入して敗戦。勝てば強気の采配、負ければ酷使の裏目——その境目を分けたのは、打線のあと一本でした。
阪神はオリックスに延長10回の末、2-3でサヨナラ負けを喫しました。前日(6/13)は6-3で連敗をストップしたばかり。しかしこの日は、勝てる入口に何度も立ちながら最後の一本が出ず、勝ち継投級の投手を注ぎ込んで敗れました。6/12(村上7回2失点でも勝てない試合)から続く「チャンスで取り切れない」課題が、この3連戦の最後にもう一度出てしまった一戦です。
試合経過 ―― 作る、でも返せない。そして延長で力尽きた
GAME FLOW| 回 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 計 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 阪神 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 |
| オリックス | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 1x | 3 |
阪神 2点 9安打 12残塁 / 延長10回裏サヨナラ
| 回 | 場面 | スコア |
|---|---|---|
| 1回表 | 2死から森下が死球、佐藤の右前打で2死一二塁も大山が空振り三振で無得点 | 0-0 |
| 3回表 | 高寺死球・中野左前打・森下内野安打で1死満塁→佐藤の犠飛で先制(満塁から1点止まり) | 1-0 |
| 4回裏 | 西勇輝が先頭四球からピンチを招き、杉澤龍の同点タイムリー | 1-1 |
| 5回表 | 2死から中野二塁打→森下の勝ち越しタイムリー二塁打/佐藤敬遠・大山四球で2死満塁も嶋村が二ゴロ | 2-1 |
| 7回表 | 2死から佐藤四球・大山安打で2死一三塁→嶋村が左飛で追加点ならず | 2-1 |
| 7回裏 | 木下が杉澤に二塁打→送りバントで1死三塁→若月の内野ゴロで同点 | 2-2 |
| 8回表 | 熊谷安打・坂本送りバントで2死二塁も高寺が中飛で勝ち越せず | 2-2 |
| 9回表 | 森下がこの日3安打目の中前打も、後続倒れ無得点/9回裏は岩崎が三者凡退 | 2-2 |
| 10回表 | 福島・立石・熊谷が三者凡退で勝ち越せず | 2-2 |
| 10回裏 | ドリスが横山・西川に連打を許し、山中尭之に左越えサヨナラタイムリー | 2-3 |
1回からこの試合の空気が出ていました。走者は出る、満塁も作る、でも返せない。3回は満塁で1点、5回は勝ち越し後の満塁で追加点なし、7回も2死一三塁で無得点。「作るけど取り切れない」が延長まで続いた試合でした。
森下翔太は勝たせる仕事をした。それでも勝てなかった
MORISHITAこの試合で最も強く残ったのは、森下翔太の姿です。1回表、森下はまた死球を受けました。背中付近への死球で、今季8個目という情報もありました。内角を攻められ、踏み込み、相手に怖がられる打者は死球が増えることがあります。しかし、それにしても多すぎます。
さらに怖いのは、森下が死球を受けても普通に結果を出してしまうこと。3回は内野安打で満塁機を作り、5回は勝ち越しタイムリー二塁打、9回にも中前打でこの日3安打1打点。死球を受けた選手とは思えないほど、チームを勝たせる仕事をしました。
だからこそ、余計に重いのです。「森下が打ったから大丈夫」ではありません。森下がここまで打っても勝てなかったことが問題。森下の体を削られながら、打線全体として勝ち切れない——この構図が今の阪神の苦しさを表しています。
9安打12残塁で2点 ―― 不運だけでは片づけられない
9 HITS, 12 LOB阪神はこの試合で9安打を放ちました。中野拓夢は2安打、森下翔太は3安打、佐藤輝明は犠飛で先制しヒット・四球・敬遠もあり、大山悠輔も安打と四球で出塁。中心部分だけ見れば、完全に沈黙した試合ではありません。それでも得点は2点、残塁は12。これはかなり重い数字です。
| イニング | 状況 | 結果 |
|---|---|---|
| 1回 | 2死一二塁 | 無得点 |
| 3回 | 1死満塁 | 犠飛で1点のみ |
| 5回 | 勝ち越し後の2死満塁 | 追加点なし |
| 7回 | 2死一三塁 | 無得点 |
| 8回 | 2死二塁 | 無得点 |
| 9回 | 森下が出塁 | 無得点 |
これだけチャンスがあって2点なら、単なる不運では片づけられません。打線のどこかが詰まっていると見るべきです。
近本光司不在の穴は、1番打者だけの問題ではない
NO CHIKAMOTO近本光司の不在は、かなり大きいです。これは「1番打者が1人いない」というだけの話ではありません。近本がいると、相手バッテリーは初回から出塁・盗塁・進塁・外野守備・カウントの作り方まで意識しなければなりません。近本が塁に出ることで中野もつなぎ役に入りやすくなり、森下・佐藤・大山に入る前に相手へ圧をかけられます。
しかし、近本がいないと、その入口の圧が弱くなります。高寺望夢を責める話ではありません。いきなり近本の代役を完全に務めろというのは重すぎます。ただ、チームとしてその穴が出ているのは事実。8回表も象徴的で、熊谷が出塁し坂本の送りバントで2死二塁、ここで1番に戻りましたが得点できませんでした。近本がいれば必ず打てたという話ではなく、相手に与える圧が明らかに違うのです。
6番打者不足が深刻 ―― 佐藤を避けられても怖くない
NO.6 PROBLEMこの試合で最も構造的に深刻だったのは、6番打者不足です。5回表、2死から中野の二塁打、森下の勝ち越しタイムリー。ここまでは完璧でした。続く佐藤は敬遠、大山は四球で2死満塁。ここで6番。しかし追加点は入りませんでした。7回表も、佐藤四球・大山安打で2死一三塁。ここでも6番に回りましたが、得点できません。
相手から見ると、佐藤輝明を避けてもいい。大山悠輔も慎重に攻めればいい。後ろで止めればいい。そういう打線になってしまっています。佐藤を敬遠されたら本来はチャンス拡大。しかし、その後ろで返せなければ相手の判断は成功になる。阪神が勝ち切るには、佐藤・大山の後ろに「避けたら痛い」と思わせる打者が必要です。
立石正広は将来の答え。ただし今すぐの答えではない
TATEISHI立石正広が6番にハマってくれれば、阪神打線はかなり変わります。長打力があり、若さもあり、打線に怖さを足せる選手。佐藤・大山の後ろに立石が入って打てるようになれば、相手バッテリーの攻め方は変わります。
ただし、今すぐ救世主扱いするのは危険です。プロの配球は甘くありません。外の変化球、落ちる球、高めの見せ球、カウント球、決め球。若い打者は球速への対応だけでなく、配球全体に慣れる必要があります。今の立石はプロの配球に苦労している段階に見え、しばらく打てなくても不思議ではありません。期待はしたい。しかし、今の6番問題をすべて立石に背負わせるのは重すぎます。
西勇輝は4回1失点でも内容が苦しい ―― 一度調整が必要では
NISHI西勇輝は4回1失点。数字だけなら大炎上ではありません。しかし内容は苦しいものでした。初回から走者を背負い、2回にも長打を許し、4回は先頭四球から同点に追いつかれた。結局、5回まで投げ切れず4回で降板しています。
先発が4回で降りると、中継ぎに大きな負担がかかります。特に今の阪神は、中継ぎ陣の状態や入れ替えが安定しているとは言いにくい。西を感情的に責める必要はありません。実績ある投手です。ただ、今の内容でローテを回し続けると後ろが持たない。一度、二軍で状態を作り直す判断は必要に見えます。
中継ぎの消耗 ―― 工藤好投、木下3連投、岩崎完璧
BULLPEN西の後を受けた工藤泰成は2回無失点とよく投げ、5回・6回を埋めて2-1のリードを保ったまま終盤に入れました。今日の投手陣では明るい材料です。本来なら、この好投を勝ちにつなげなければいけません。しかし打線が追加点を取れず、工藤が作った時間を勝利に変えられなかった。
7回からの木下里都は2回1失点。結果だけ見れば同点に追いつかれた投手ですが、登板状況を見る必要があります。木下は12日・13日・14日と3連投。しかも13日は畠世周のアクシデントを受けて緊急登板し、そこから翌日に2イニング。これはかなり重い。若いから・勢いがあるから、で片づけるのは危険です。調子のいい投手ほど使われ、疲れ、打たれる——この悪循環に入るとチームは一気に苦しくなります。木下を責めるより、ここまで負担が寄る構造が問題です。
9回裏、岩崎優は三者凡退。文句なしの内容で延長に持ち込みました。ただ、勝っていないのに岩崎を使っている。同点の9回だから使う判断は理解できますが、10回表に阪神は三者凡退。岩崎が抑えた流れを、攻撃で生かせませんでした。
最後はドリスで力負け ―― でも敗因はそこだけではない
DORIS10回裏、ドリスが登板。先頭の横山聖哉に安打、西川龍馬にも安打、最後は山中尭之に左越えのサヨナラタイムリー。最後の絵としてはドリスで力負けです。ここは事実。
ただし、ドリスだけを敗因にするのは違います。ドリスが出るまでに、阪神は3回・5回・7回・8回・9回と何度も勝つチャンスがありました。どこかであと1点取れていれば、試合の形は変わっていたはず。最後はドリスが打たれた。しかし、そこまでに勝ち切れなかった打線こそ、この試合の本質です。
藤川監督の継投 ―― 勝てば強気、負ければ酷使
MANAGER藤川監督の継投は、勝っていれば強気の采配と評価された可能性があります。西を早めに降ろし、工藤・木下・岩崎・ドリスへつなぐ。接戦を取りに行く采配として理解はできます。しかし、結果は敗戦。勝っていないのに勝ち継投級を使い、木下は3連投、岩崎・ドリスまで投入して負けた。これは「酷使の裏目」として残ります。
ただし、采配だけを責めるのも違います。打線があと1点取っていれば、継投の見え方はまったく変わりました。勝てば強気。負ければ消耗。その境目を分けたのは、打線のあと一本でした。
今後の注目点
WHAT TO WATCH- 森下翔太の状態:死球の影響が翌日以降に出ないか。背中やスイングに違和感がないか
- 近本不在時の1番:高寺を継続するのか、打順を組み替えるのか。入口の圧をどう作るか
- 6番打者問題:佐藤を避けられた後に誰が返すのか。打線最大の課題
- 立石正広の起用:我慢して使うのか、状況を見ながらか。育成と勝利のバランス
- 西勇輝の処遇:一軍ローテ継続か、一度二軍で再調整か
- 中継ぎの連投管理:木下の3連投をどう見るか。勝ち継投と同点時の起用整理
- 藤川監督の継投方針:接戦を取りに行く姿勢は理解できるが、負けた時の消耗が大きい
まとめ ―― 課題が一気に出た、重い1敗
SUMMARY阪神はオリックスに2-3でサヨナラ負けしました。最後にドリスが打たれた試合ではありますが、本質はそこだけではありません。森下翔太は死球を受けながら3安打1打点・勝ち越し打、中野拓夢も2安打、佐藤輝明も先制犠飛。中心部分は動いていました。それでも得点は2点、残塁は12。
近本光司不在による1番の圧不足。佐藤輝明を避けられても怖くない6番打者不足。西勇輝の4回降板。木下里都の3連投。勝ち継投投入で負けた消耗。今日の敗戦には、今の阪神が抱える課題がかなり詰まっていました。勝てば強気采配、負ければ酷使の裏目。その境目を分けたのは、打線のあと一本です。次戦では、打順、6番、先発ローテ、中継ぎ運用、そして森下翔太の状態に注目したいところです。
動画でも詳しく話しています
YOUTUBE森下翔太の死球と3安打、9安打12残塁、近本不在と6番問題、木下里都3連投、そしてドリスの力負けまで、試合全体の流れを整理しています。
🎥 動画で見る|森下3安打でも勝てない、9安打12残塁・勝ち継投消耗のサヨナラ負け(YouTube)
- 📺 動画版:森下3安打、9安打12残塁、木下3連投、ドリス力負け(YouTube)
- 📄 前日の試合:阪神6-3オリックス|やっと勝利、木下里都の緊急3球火消し
- 📄 一昨日の試合:阪神1-2オリックス|村上7回2失点でも勝てない、満塁2度で1点だけ
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