オリックス2026ドラフト完全版|2位が最大の分岐点、“投手ドラフトではない”理由
30秒で分かる、オリックスの2026ドラフト戦略
- 01最大の穴は「先発の人数」ではなく、近い将来の一軍先発投球回
宮城大弥・山下舜平大は2026年にトミー・ジョン手術。能力不足ではなく稼働量の問題。
- 021位本線は鈴木泰成(候補DB総合1位92.1)
需要だけで持ち上げたのではなく、候補価値1位と最大需要「早期一軍型SP」が一致した。
- 03最大の分岐点は2位
渡辺和大クラスが残れば投手2連打も合理的。藤澤涼介が同程度の評価帯なら複数需要を加点して野手へ。
- 04「投手ドラフト」ではない
同程度の評価なら上位は投手を先に考える。ただし2位・3位まで野手探索を止めない。
2026年のオリックスを見ると、まず気になるのは長打不足だ。チーム本塁打は94本、長打率は.358。「それならドラ1は野手では?」と考えたくなる。一方で投手陣を見ると、九里亜蓮、エスピノーザらが多くの一軍投球回を背負い、宮城大弥と山下舜平大は2026年にトミー・ジョン手術を受けた。では今年も投手ドラフトなのか。答えは、そこまで単純ではない。91人の編成を全部並べ、2026年ドラフト候補を評価し、さらに過去1203人のドラフト入団選手をWARで検証すると、今回一番重要なのは「1位で投手か野手か」よりも、「2位で誰が残っているか」だった。この記事では「誰を取るか」だけでなく、「誰を、何位で、どういう条件なら取るか」まで逆算する。
01先に結論
オリックスの2026ドラフトは、「投手を何人取るか」ではない。1位で近い将来の先発投球回を確保しつつ、2位・3位まで次世代中軸・長打・CF候補を探し続けるドラフトにしたい。一般論としては「同程度の評価なら上位では投手を先に考える。ただし2位・3位まで野手探索を止めない」。これは「投手なら何でも野手より先」という意味ではない。
1位の本線は早期一軍型SPとしての鈴木泰成。そして最大の分岐点は2位だ。渡辺和大クラスの高評価投手が残れば投手2連打も合理的。一方、藤澤涼介のような野手が投手BPAと同程度の評価帯まで来れば、CF+右打ち+長打という複数需要を加点して野手へ切り替える。「投手固定」でも「野手は後でいい」でもない。残存BPA×球団需要×指名効率で、その場の盤面を更新する。
02まず91人の編成を全部並べる
総ロースターは91人。支配下70人・育成21人、投手51人・野手40人。投手は先発系25・救援系26、野手は捕手8・二遊間12・一三塁6・中堅系6・両翼DH8。25歳以下は39人(投手23・野手16)。下の盤面は、年齢×実際の用途で91人を並べたもの。記号は現在までのWAR実績、★は将来性で、2つの軸は混ぜていない。「その他」は戦力外候補やダメな選手という意味ではなく、現時点のWAR実績で主力・一軍WAR戦力に分類されないというだけ。盤面上の区分は主力8人・一軍WAR戦力11人・★有力候補19人。2026年WARは62人に掲載があり、掲載のない29人は0ではなくNAとして扱っている。
| 年齢 | 捕手 | 二遊間 | 一・三塁 | 中堅系 | 両翼・DH | 人数 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 19 | 野上士耀 | 中西創大[育] | 窪田洋祐 | 3 | ||
| 20 | 今坂幸暉[育] | 1 | ||||
| 21 | 堀柊那★ | 横山聖哉★ | 2 | |||
| 22 | 内藤鵬★ | 1 | ||||
| 23 | 清水武蔵[育] | 寺本聖一[育] | 池田陵真、三方陽登[育] | 4 | ||
| 24 | ◎紅林弘太郎 | 麦谷祐介★、元謙太[育] | 来田涼斗★ | 4 | ||
| 25 | ◎太田椋 | 1 | ||||
| 26 | 村上喬一朗[育]、田島光祐[育] | 宜保翔、河野聡太[育] | 山中稜真★ | 杉澤龍 | 6 | |
| 27 | 福永奨 | 野口智哉、大里昂生[育] | ○渡部遼人 | 4 | ||
| 28 | シーモア | 1 | ||||
| 29 | 平沼翔太、廣岡大志 | 2 | ||||
| 30 | ○宗佑磨、香月一也[育]、○頓宮裕真 | 中川圭太 | 4 | |||
| 31 | ◎若月健矢、○森友哉、石川亮 | 3 | ||||
| 32 | ○西川龍馬 | 1 | ||||
| 33 | 大城滉二 | 1 | ||||
| 35 | ○杉本裕太郎 | 1 | ||||
| 36 | ○西野真弘 | 1 | ||||
| 計 | 8 | 12 | 6 | 6 | 8 | 40 |
| 年齢 | 右・先発系 | 左・先発系 | 右・救援系 | 左・救援系 | 人数 |
|---|---|---|---|---|---|
| 19 | 藤川敦也★、森陽樹★、上原堆我[育] | 佐藤龍月★ | 4 | ||
| 20 | 山口廉王★、陳睦衡★、乾健斗[育] | 3 | |||
| 21 | 宮國凌空★、河内康介[育]★ | 東松快征★、寿賀弘都[育] | 4 | ||
| 22 | 齋藤響介★ | 1 | |||
| 23 | 髙谷舟、マシュー[育] | 渡邉一生[育] | 3 | ||
| 24 | 山下舜平大★ | ○寺西成騎★、片山楽生、川瀬堅斗 | 4 | ||
| 25 | ◎宮城大弥、佐藤一磨 | 吉田輝星、前佑囲斗[育] | 4 | ||
| 26 | ◎曽谷龍平 | ○椋木蓮、東山玲士、入山海斗、才木海翔、権田琉成★、芦田丈飛[育] | 7 | ||
| 27 | 東晃平、髙島泰都★ | 古田島成龍、本田仁海 | 4 | ||
| 28 | ◎エスピノーザ | 山﨑颯一郎、小木田敦也[育]、宇田川優希[育] | 4 | ||
| 29 | ○ジェリー | 横山楓、博志 | 富山凌雅 | 4 | |
| 30 | ○田嶋大樹 | 1 | |||
| 31 | 山岡泰輔 | 1 | |||
| 33 | ◎マチャド、ペルドモ | 2 | |||
| 34 | 阿部翔太 | 1 | |||
| 35 | ◎九里亜蓮 | 山田修義 | 2 | ||
| 37 | 岩嵜翔 | 1 | |||
| 42 | 平野佳寿 | 1 | |||
| 計 | 17 | 8 | 24 | 2 | 51 |
※出典はオリックス2026編成ドック(監査修正版、rule_version 2026_v2)。スマホでは表を横にスクロールできます。◎=主力(野手・先発は直近3年のうち2年でWAR1.5以上、または2025年+2026年WAR合計4.0以上。救援は直近3年のうち2年でWAR0.5以上、または2025・2026年が両年プラスかつ合計1.5以上)、○=一軍WAR戦力(主力未満で、2026年WAR0.7以上、または2025年WAR1.0以上、または2024年WAR1.5以上)、無印=その他。★=有力候補(若さ/プロ年数・二軍実績・一軍接続・球団投資・育成レーンの5条件のうち原則2項目以上)、[育]=育成契約。空欄は該当者なし。名簿は2026年9月18日、2026年WARは9月23日時点。2024〜25年は「ぼーのの日記」totalのpWAR、2026年は提供版WAR。
03最大の穴は「先発の人数」ではない
最大の穴は「先発の人数」ではなく、「近い将来の一軍先発投球回」だ。主な先発候補の2026年一軍総投球回は、九里亜蓮157回2/3、エスピノーザ141回1/3、ジェリー112回、髙島泰都96回2/3、曽谷龍平78回1/3、田嶋大樹62回2/3。問いは「2027年に誰が一軍先発投球回を供給するのか?」である。
※先発登板時だけの投球回ではなく、個人投手成績の一軍総投球回。九里とエスピノーザの2人が140回を超えて多くの投球回を背負っている。※成績は主に2026年9月24日時点の元資料の値。
宮城大弥は2026年に左肘、山下舜平大は右肘のトミー・ジョン手術を受けた。宮城は盤面上も主力に分類される投手で、能力不足ではない。問題は稼働量だ。「いないもの」とするのも極端、「2027年開幕から年間ローテ確定」とするのも極端。必要なのは宮城・山下の代役ではなく、別の時間軸から一軍先発投球回を供給できる投手。これを「早期一軍型SP」として需要Aに置いた。
042025年に投手を取ったのに、なぜまた先発?
2025年の上位指名は、1位藤川敦也(高卒右投手)、2位森陽樹(高卒右投手)、3位佐藤龍月(高卒左投手)、5位髙谷舟(大卒右投手)。上位の高卒3人は未来のローテの核だ。一方、2026年に欲しいのは来年〜近未来の一軍先発投球回。同じ「投手」でも補強の意味は重複しない。
救援は最大の穴ではない。マチャドは35セーブ・防御率1.20、椋木蓮は33ホールド・防御率1.75、山﨑颯一郎は25ホールド・防御率2.21。救援は継続的な補充が必要だが、1位・2位の最優先ではない。
05野手最大需要は「次世代中軸・長打」
2026年のチーム打撃は打率.245・本塁打94本・長打率.358。本塁打94はパ・リーグ最少だ。ただし最初から「右打ちの外野手」に限定しない。まずは「次世代中軸・長打」をA-需要に置き、右打ち・CF・外野まで満たせれば加点する。
CFは人数の穴ではなく能力の穴だ。渡部遼人は252打席・打率.226・長打率.295、麦谷祐介は90打席・打率.155・長打率.226。「守れる人がいない」のではなく、「攻守で固定できる不動のレギュラーが未確立」。よって需要はB+。捕手は若月健矢・森友哉・堀柊那・野上士耀、二遊間は太田椋・紅林弘太郎・野口智哉・横山聖哉・宜保翔がいて、現在の穴は比較的小さい。上位を穴埋め目的で固定する必要は薄いが、圧倒的なBPA(その時点で残っている中で最も高く評価する選手)なら別になる。
| 機能 | 評価 | 理由 |
|---|---|---|
| 早期一軍型SP | A | 最優先。人数ではなく近い将来の一軍先発投球回 |
| 次世代中軸・長打 | A- | 野手最大需要。本塁打94はパ・リーグ最少 |
| CF | B+ | 人数穴ではなく能力穴 |
| 両翼・DH | B+ | 右の長打なら加点 |
| 右・左先発 | B+ | A需要の内訳。左右は二次条件 |
| 一・三塁 | B- | 内部候補の成長待ち |
| 左救援 | B- | 中位以下で補充 |
| 捕手 | C+ | 上位固定しない |
| 右救援 | C+ | 勝ちパターンは機能 |
| 二遊間 | C | 低優先 |
需要は現時点の暫定優先度。需要Aだから必ず1位で取るという意味ではなく、実際の指名は候補価値と掛け合わせて判断する。
06NPB1203人のWAR研究を重ねる
対象は2008〜2023年のドラフト入団選手1203人。主な比較は2008〜2017年入団の、ドラフト翌年から固定5年間のNPB STATS系WAR。異なるWAR系列は混ぜていない。上位1〜3位で1年目にWARがプラスになった割合は投手38.9%・野手20.4%で、早い戦力化は投手寄り。一方、上位1〜3位で5年WAR10以上に届いた割合は投手5.4%・野手13.1%で、大当たりは野手寄りだった。3位以降で5年WAR10以上は投手2/280・野手9/236で、大当たり投手は後ろの順位ではかなり少ない。
※主比較は2008〜2017年入団、翌年から固定5年、NPB STATS系WAR。早い戦力化(1年目WAR>0)は投手が上、大当たり(5年WAR10以上)は野手が上。2〜3位大社の3.4%・17.2%は本文の分数(3/88・10/58)から算出した値。歴史的な観察であり、2026年の特定の候補が成功する確率ではない。
だから一般論としては、同程度の評価なら上位では投手を先に考える。ただしこれは「投手なら何でも野手より先」ではなく、実際の指名は球団事情で変わる。
07なぜ2〜3位まで野手探索を止めないのか
2位終了後にも、後に5年WAR10以上になる野手が残っていた年は10年中8年。該当は大島洋平(2009年5位)・秋山翔吾(2010年3位)・鈴木大地(2011年3位)・田中広輔(2013年3位)・外崎修汰(2014年3位)・茂木栄五郎(2015年3位)・源田壮亮(2016年3位)・糸原健斗(2016年5位)・塩見泰隆(2017年4位)の9人。9人中6人がドラ3で、9人全員が大学・社会人ルートだった。「野手は待てる」ではない。正確には「大当たり野手はドラ1で全部売り切れていたわけではなく、2位終了後にも残っていた年が多かった」ということ。
2〜3位の大学・社会人に絞ると、5年WAR10以上は投手3/88=3.4%、野手10/58=17.2%で、オッズ比は5.90。ただし「2026年の野手が投手より5.9倍成功する」という意味ではない。過去のこの条件で大きな差が観察されたということだ。結論として、即戦力投手が欲しいという理由だけで、2〜3位の有力野手を候補から消さない。
082026候補価値を固定する
候補DBの総合点は独自評価で、成功確率ではない。球団ごとの適合度(FIT)とも別軸で、FITは候補価値・編成需要・内部競合・指名帯の4つから見た「候補価値とオリックス編成事情の噛み合い」を表す(S=候補価値×最大需要が強く一致、A+=BPAと需要が非常に強く一致、A=十分に合う、B+=条件付き有力)。9月19日時点の上位15人は次のとおり。上位15人のうち野手は渡部海と榊原七斗、二刀流が菰田陽生で、残る12人は投手。
| 順位 | 候補 | 位置 | 所属 | 総合 | 想定 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 鈴木泰成 | 投手 | 青学大 | 92.1 | 1位 |
| 2 | 米沢友翔 | 投手 | 関西大 | 90.2 | 外れ1位 |
| 3 | 織田翔希 | 投手 | 横浜高 | 89.7 | 1位 |
| 4 | 渡辺和大 | 投手 | 慶大 | 89.6 | 2位 |
| 5 | 渡部海 | 捕手 | 青学大 | 89.2 | 1位 |
| 6 | 猪俣駿太 | 投手 | 東北福祉大 | 88.8 | 2位 |
| 7 | 宮原廉 | 投手 | 近畿大 | 88.6 | 外れ1位 |
| 8 | 星野世那 | 投手 | 大商大 | 87.4 | 2位 |
| 9 | 菰田陽生 | 二刀流 | 山梨学院 | 87.3 | 1位 |
| 10 | 仲井慎 | 投手 | 駒澤大 | 87.2 | 2位 |
| 11 | 有馬伽久 | 投手 | 立命館大 | 87.1 | 1位 |
| 12 | 榊原七斗 | 外野 | 明治大 | 86.9 | 外れ1位 |
| 13 | 沢山優介 | 投手 | ヤマハ | 86.9 | 外れ1〜2位 |
| 14 | 角田楓斗 | 投手 | 富士大 | 86.5 | 外れ1位 |
| 15 | 馬場拓海 | 投手 | 日体大 | 86.4 | 2位 |
※総合点・想定指名帯は本企画の候補DBによる独自評価で、公式ランキングでも成功確率でもない。
091位本線・鈴木泰成
青山学院大の右投右打、187cm・92kg、最速155km/h。候補DB総合1位の92.1で、オリックスとのFITはS。需要だけで持ち上げたわけではない。候補価値1位と、最大需要A「早期一軍型SP」が一致している。
鈴木泰成
青山学院大・右投右打・187cm92kg。候補価値1位と最大需要「早期一軍型SP」が一致
需要だけで持ち上げたわけではない。候補DB総合1位という候補価値そのものと、オリックス最大需要Aの「早期一軍型SP」が一致している。
確認したい点は、肘を含む耐久性、秋の出力の再現性、SP1級まで伸びるか。9月24日には8回1失点。
能力6項目は球速94・直球質95・変化球90・制球91・奪三振92・先発適性91(独自評価)。
10外れ1位・米沢友翔と、野手1位候補・菰田陽生
関西大の米沢友翔は左投左打、最速154km/h、総合90.2でFIT S。左腕だからではなく、候補価値2位と早期SP需要で外れ1位の第一候補になる。ただし条件がある。米沢が未指名で、状態評価も維持しているなら第一候補。鈴木を外したら自動的に米沢、ではない。
米沢友翔
関西大・左投左打。未指名かつ状態評価を維持していれば外れ1位の第一候補
左腕だからではなく、候補価値2位と早期SP需要で外れ1位の第一候補になる。
鈴木を外したら自動的に米沢、ではない。既に指名されている、再抽選で外れた、秋の状態評価が落ちた場合は、宮原廉・有馬伽久や野手も含めて残存BPAを再比較する。
能力6項目は球速92・直球質91・変化球89・制球90・奪三振91・先発適性92(独自評価)。
有馬伽久(総合87.1)は三振力など魅力があるが、制球78・先発適性84で、鈴木92.1・米沢90.2と比べると現時点の最初のカードではない。「オリックスっぽい」という球団イメージだけで繰り上げない。
野手の1位候補は菰田陽生。山梨学院、195cm・102kg、高校通算39本塁打、投手としても最速152km/h。総合87.3で、能力はミート84・パワー100・選球80・走力75・守備78・肩97。右の次世代中軸として、長打A-需要に強く一致する。ただし18歳で、2027年の一軍先発投球回という最大の穴とは時間軸が違う。現時点では鈴木を上に置く。
11最大の勝負は2位
9月20日時点でオリックスはパ・リーグ4位、63勝70敗2分。2026年の正式な選択手順は未公表だが、前年方式なら2巡目は全体17〜18番目前後になる。これは渡辺が残る確率ではなく、前年方式と現在順位を前提にした推定だ。
2位で比較する主な残存BPA候補は、渡辺和大89.6・猪俣駿太88.8・宮原廉88.6・星野世那87.4・仲井慎87.2・榊原七斗86.9・沢山優介86.9・藤澤涼介85.8。これは抜粋で、ここにない高評価候補も排除しない。「渡辺がいなければ藤澤」ではない。まず残存候補の価値を並べ、同程度なら最大需要のSPや複数需要への適合を加点する。
慶應義塾大の渡辺和大は左投左打、総合89.6でFIT S、候補DB全体4位。能力は球速86・直球質88・変化球91・制球92・奪三振92・先発適性94、春は防御率1.28・65奪三振。東京ガスの藤澤涼介は右投右打、187cm・90kg、総合85.8でFIT A+。ミート82・パワー87・選球81・走力96・守備85・肩87で、CF(B+)・長打(A-)・右打ちという複数需要に同時に刺さる。
結論渡辺が2位まで残れば、鈴木→渡辺の投手2連打を「投手を2人欲しいから」ではなく「高い候補価値が残ったから」で正当化できる。藤澤は投手BPAと同程度の評価帯に来たときに、CF(B+)・長打(A-)・右打ちという複数需要を加点して野手へ切り替える。
藤澤が残っている=自動的に藤澤、ではない。まず残存候補の価値を並べる。
12榊原七斗との比較、3位も野手固定ではない
明治大の榊原七斗は左投左打、総合86.9でFIT A-。ミート87・パワー74・選球87・走力92・守備91・肩88。藤澤と比べると、守備は榊原91・藤澤85、走力は藤澤96・榊原92。両者とも俊足で、センター守備をより高く見るなら榊原、右の長打まで含む複数需要なら藤澤という違いになる。
3位前後の野手では黒田義信84.6・柴崎聖人84.3・春山陽登80.8・佐藤悠太80.2がいる。1・2位で先発を確保できた場合は有力野手を重点的に比較し、同程度なら右の長打を加点する。ただし「3位=野手固定」ではない。突出した投手が残っていれば再比較する。
133つの指名シミュレーション
避けたいのは、「オリックスっぽい」「右の長打が欲しい」だけで候補価値を飛び越えること。正しい順序は候補価値→球団需要→内部競合→指名帯。「穴に合う選手」ではなく、「価値が高く、その穴にも合う選手」を上位で取る。そのうえで、盤面の残り方に応じて3つの型を用意しておく。
- A|条件付き理想形1位鈴木→2位渡辺→3位は野手を重点比較条件は渡辺が2位まで残ること。3位も野手固定ではない。↓
- B|野手回収型1位鈴木→2位藤澤→3位は残存BPA条件は藤澤が投手BPAを含む他候補と同程度の評価帯にいること。↓
- C|外れ1位型米沢が未指名+状態維持なら第一候補使えなければ宮原・有馬・野手を含む残存BPAを再比較する。↓
- どの型でも2位は全残存候補を比較「渡辺がいなければ藤澤」ではなく、残存候補の価値を先に並べる。
固定するのは選手名ではなく順序。候補価値→球団需要→内部競合→指名帯の順に、毎巡もう一度比較する。
A〜Cは条件付きの推奨例。独自総合点を将来WARや数学的な最適解として扱うものではない。
最終的な現時点案は、1位が鈴木泰成、外れ1位は米沢友翔が未指名で状態を維持していれば第一候補(不在なら残存BPAを再比較)、2位は渡辺和大を含む全残存BPAの比較、2〜3位は有力野手を重点比較。「投手ドラフト」ではなく、投手を先に、野手探索は止めない。
14評価の限界
「長打不足なんだから1位は野手では?」── 野手の最大需要「次世代中軸・長打」はA-で、確かに大きい。ただ、2027年の一軍先発投球回という最大の穴(A)と、候補DB1位の鈴木泰成が一致している。菰田陽生は右の中軸として長打需要に強く合うが、18歳で最大の穴とは時間軸が違う。
「OR5.90なら2〜3位は野手で決まりでは?」── 違う。過去のこの条件で大きな差が観察されたというだけで、2026年の野手が5.9倍成功するという意味ではない。3位も突出した投手が残れば再比較する。
「需要ランキングはもう確定なのでは?」── 現時点の暫定の優先度だ。過去1203人のWAR研究と、現役選手のWAR評価は別物で、全選手の故障・契約・FAの最終確認も終わっていない。ドラフト当日の盤面で答えは変わる。
15動画・関連記事
91人の編成を並べて見えてきたのは、「投手が足りない」「野手が足りない」という単純な話ではなかった。先発には人数がいる。しかし、2027年に一軍投球回を誰が供給するのかという問題がある。野手にも一軍選手はいる。しかし、次世代中軸と長打力、そしてCFの攻守両面での上限を上げたい。そこに1203人のWAR研究を重ねると、大当たり投手は後ろの順位ではかなり少なく、大当たり野手は2位終了後にも残っていた年が多かった。だから、同じくらいの評価なら投手を先に考える。しかし、そこで野手探索を止めない。「1位は誰?」だけでなく、「1位を取ったあと、2位・3位でどう動く?」まで見ると、ドラフトはもっと面白くなる。
91人の編成から1位・2位・3位まで順番に追いたい方は動画でどうぞ。動画では、オリックスファンと指標解説者の掛け合いで、WARやBPAなども初心者向けに解説しています。
16SOURCES / 参照データ
- オリックス編成:オリックス2026編成ドック 監査修正版(rule_version 2026_v2、名簿2026年9月18日・2026年WAR 9月23日時点)、NPB公式 オリックス選手一覧。
- チーム・個人成績:NPB公式 2026オリックス投手成績・打撃成績・パ・リーグチーム打撃(主に2026年9月24日時点、順位は9月20日時点)。
- ドラフト:NPB公式 2026ドラフト(2026年の正式な選択手順は未公表)。
- 過去ドラフト戦略:NPBドラフトWAR検証(2008〜2023年入団選手1203人、主比較2008〜2017年・固定5年・NPB STATS系WAR、2026年9月12日時点)。
- 2026候補:2026ドラフト候補_年齢能力評価DB(2026年9月19日時点)、OmyuTech(鈴木泰成・米沢友翔)、東京ガス 藤澤涼介。
- WAR(現役):2024〜25年は「ぼーのの日記」totalのpWAR、2026年は提供版WAR(overview_2026_top_提供版_20260923)。
- 動画版:オリックス・バファローズ 2026ドラフト完全版(本記事の分析軸の出典)。
※候補DB総合点・能力項目・想定指名帯・FITは本企画候補DBの評価値であり、公式能力値でも成功確率でもありません。A〜Cは本分析内の暫定の補強優先度です。2巡目の位置は前年方式を前提にした推定です。成績・候補評価は基準日時点のもので、ドラフト当日まで候補評価・故障・進路・指名順方式は更新されます。戦略評価には筆者の分析・見解を含みます。