阪神1-4DeNA|なぜDeNAだけ勝ち切れない? 甲子園8試合15得点で見えた「打線分断」の正体
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30秒で分かる2連敗の正体
- 01阪神はDeNAに2-3、1-4で連敗
村上は7回3失点で試合を壊さなかったが打線は5安打2得点。大竹は2回0/3・3失点、打線は5安打1得点に終わった。
- 02対DeNA通算は五分でも、甲子園に限れば8試合3勝5敗
総得点はわずか15、平均1.88得点。DeNA先発は8戦すべて2自責点以下、防御率換算1.85で抑え込まれている。
- 03森下.111・佐藤.107でも4本塁打――「消された」のではなく「孤立」
2人合計55打数6安打で本塁打4本、しかも4本すべてがソロ。長打が得点の連鎖から切り離されている。
- 04大竹の3失点は「投手への四球」だけが問題ではない
7番・8番を出し、9番投手でも切れず、満塁のまま1番へ返したことが本質。救援陣は試合を立て直したが、打線が拾えなかった。
NPB公式成績は2026年9月6日終了時点を基準とします。甲子園DeNA戦8試合の集計は各試合公式ボックススコアからの手集計です。9月8日時点の優勝争いに関する追記のみ、当日の結果を反映しています。
01阪神、DeNAに2-3、1-4で連敗
阪神にとって、かなり嫌な2日間になった。9月5日は先発の村上頌樹が7回6安打3失点と試合を壊さなかったにもかかわらず、打線が5安打2得点に終わり2-3で敗戦。DeNA先発・尾形は5回2/3、5安打2失点。阪神は4回に森下翔太の32号ソロ、5回に中野拓夢の内野ゴロで1点を返したが、DeNAは初回の宮﨑敏郎2点二塁打、3回の筒香嘉智ソロ本塁打で先行していた。
翌6日は先発・大竹耕太郎が2回0/3、49球、13打者、6安打、2四球、3失点で早々に降板し、今度は1-4で敗れた。DeNA先発・竹田は5回1/3、4安打、1死球、3失点。阪神は4回に佐藤輝明の35号ソロのみで、DeNAは2回の押し出し四球と度会隆輝の2点適時打、7回のエンカーナシオン適時二塁打で加点した。2試合合計で阪神は10安打3得点。
同じ週末に巨人は広島に3連勝。最大5ゲームあった差は一時2.5ゲームまで縮まり、阪神の優勝マジック18は足踏みした。ただ、この2連敗を「先発が悪かった」「打線が冷えた」で片づけると本質を見失う。2026年の阪神はDeNAに10勝10敗。さらに甲子園に限れば3勝5敗で、8試合の総得点はわずか15点、平均1.88得点しか取れていない。今回の2連敗には、今季ずっと続いている「DeNA戦で阪神打線が分断される問題」が、そのまま表れていた。
02大竹の3失点は「投手への四球」だけが問題ではない
大竹は2026年9月6日終了時点で16試合5勝9敗、88回2/3、防御率3.05。勝敗だけ見ると悪く見えるが防御率は悪くなく、「今季ずっと壊れている投手」という評価は適切ではない。だからこそ9月6日の2回0/3、6安打、2四球、3失点は、通常の大竹とは違う大きな崩れ方だった。
- 5番・筒香から始まった2回右前打で出塁6番井上を三振に取っており、ここで終われば無失点だった。↓
- 7番宮下、8番松尾が連続で出塁二死からとはいえ満塁に。下位打線を切れなかった。↓
- 9番投手・竹田へ押し出し四球なお二死満塁のまま、走者を減らせず1点を献上。↓
- 1番・度会隆輝に2点適時打満塁のまま1番まで打順が返り、この回だけで3失点。
「投手への押し出し四球」が象徴的だが、本質は7番から9番まで誰一人切れなかったこと。
3回も牧の二塁打とエンカーナシオンの四球で無死一・二塁とされ降板。自責点は3で確定した。
さらに3回も牧の二塁打、エンカーナシオンへの四球で無死一・二塁として降板。神宮僚介が後続を止めたため、大竹の失点は3で止まった。「大竹が3点取られた」ではなく、「下位から投手、1番まで打順を切れなかった」と書く方が分析として正確だ。
03それでも投手陣全体が崩れたわけではない
9月6日の大竹降板後、阪神は神宮、岡留、セベリーノ、岩崎、及川と継投。神宮は3回、無安打、1四球、1死球、4奪三振、無失点。大竹が2死も取れず残した走者を、後続はしっかり返さなかった。その後の追加失点は7回の1点のみに抑えている。
9月5日も村上が7回3失点で踏ん張った。2試合を合わせると「阪神投手陣全体が崩壊した」とは言えない。むしろ今回の2連敗で重く見るべきなのは、救援陣が試合をつないでも打線が拾えなかったことだ。
ここで一つ反論しておきたい論点がある。「9月に入って阪神打線全体が完全に落ちた」という見方だ。9月の得点は9/1が6点、9/2が3点、9/3が7点で、9/1〜3のヤクルト3連戦だけで計16得点を記録している。
9月全体で打線が落ちたのではなく、DeNA戦に入った2試合だけが急停止している
より正確なのは「DeNA戦に入った途端、2点・1点と急停止した」という表現。今回の問題は「9月全体の不振」より「DeNA戦での得点不足」にある。
04本当に異常なのは「甲子園のDeNA戦」
9月6日終了時点で、阪神の対DeNA成績は10勝10敗。阪神が首位を走るシーズンで、DeNAには20試合を終えて五分。しかし甲子園に限れば3勝5敗。単なる「この2日だけの負け」ではなく、シーズン全体でDeNAだけ勝ち切れていないことが今回の背景にある。残りは甲子園2試合、横浜3試合の計5試合を残す。
| 日付 | 阪神 | DeNA | 勝敗 |
|---|---|---|---|
| 5/8 | 1 | 10 | 敗 |
| 5/9 | 1 | 3 | 敗 |
| 5/10 | 3 | 0 | 勝 |
| 7/20 | 0 | 7 | 敗 |
| 7/21 | 2 | 1 | 勝(延長11回) |
| 7/22 | 5 | 4 | 勝 |
| 9/5 | 2 | 3 | 敗 |
| 9/6 | 1 | 4 | 敗 |
| 合計 | 15 | 32 | 3勝5敗 |
平均得点は15÷8=1.875点。「DeNAに弱い」という抽象的な言い方ではなく、甲子園では平均1.88点しか取れていない、とすると異常さが伝わる。
「阪神はDeNAに弱い」という抽象的な言い方ではなく、「甲子園のDeNA戦では平均1.88点しか取れていない」とすると、異常さが伝わりやすい。
05DeNA先発8試合、防御率換算1.85
甲子園8試合のDeNA先発は、平良(2試合)・篠木(2試合)・石田裕・藤浪・尾形・竹田と多岐にわたる。
金色は今回の2連敗(9/5尾形・9/6竹田)。投手のタイプは異なるのに、8試合すべてが自責点2以下に収まっている
DeNA先発陣
43回2/3を投げて自責点はわずか9、8試合すべて2自責点以下
平良・篠木・石田裕・藤浪・尾形・竹田と投手タイプは同じではない。「特定の投手タイプに弱い」と単純化するのは危険で、DeNAバッテリー全体として対策が機能している可能性の方が自然な仮説になる。
球種別・コース別データまで完全集計していないため、「外角攻めが原因」といった断定はしない。
8試合すべて2自責点以下という結果は、残り試合で追う価値のある傾向。
投手のタイプは同じではない。平良のようなタイプもいれば、藤浪、尾形のような球威型もいる。したがって、「特定の投手タイプに弱い」と単純化するのは危険だ。むしろ、「DeNAバッテリー全体として阪神打線への対策が機能しているのではないか」という仮説の方が自然だろう。
06森下.111、佐藤.107――それでも4本塁打
NPB公式各試合のボックススコアから8試合を手集計した。
結論2人合計55打数6安打、本塁打4本。長打を消されたのではない。長打が、点につながる前後関係から切り離されている。
6安打中4本がホームランで、いずれもソロ本塁打だった。
ここが非常に面白い。6安打しかないのに、4本がホームラン。DeNAは森下・佐藤の一発そのものを完全に消してはいない。それでも大量点にならない。表現としては「長打を消されたのではない」「長打を孤立させられている」が一番強い。
07佐藤を歩かせても、代償を払わせられるか
甲子園DeNA戦では、佐藤が危険な状況で申告敬遠される場面が複数あった。5月9日は森下の二塁打の後に佐藤敬遠→前川勝負→三振で無得点。5月10日も2死二塁で佐藤敬遠→前川勝負→中飛で無得点。7月21日も2死二塁で佐藤敬遠→大山勝負→三振で無得点。DeNAからすると「佐藤を必ず打ち取らなければいけない」わけではない。危険な場面では歩かせ、後ろでアウトを取ればいい。
結論DeNAの「佐藤を避けて後ろで勝負する」という逃げ道を大山が塞いだ試合では、阪神がビッグイニングを作れている。
甲子園DeNA戦8試合のうち、大山が佐藤敬遠の代償を払わせた場面が際立つのはこの1試合。
阪神側の課題は「佐藤を歩かせた代償を5番以下が払わせられるか」。DeNAの「佐藤を避けて後ろ勝負」という逃げ道を大山が塞いだ試合では、阪神がビッグイニングを作れている。7月21日と22日の対比は、この構造を最も分かりやすく示している。
さらに深掘り:9月5日の森下、9月6日の佐藤に共通する構造
「走者なしではホームラン、走者ありの同点機ではアウト」
9月5日、森下は4回に尾形からソロ本塁打。これだけ見れば仕事をしている。しかし5回、阪神が1点差に迫り2死三塁で再び森下の打席となった場面では三振。結果として本塁打が「1点」で止まった。DeNA側にとっては「一発は食らったが、最も痛い打席では抑えた」ことになる。
9月6日の佐藤も同じ構造だった。4回に35号ソロを放ったが、9回は森下死球→佐藤三振→大山二塁打で1死二・三塁まで作りながら、ディベイニー三ゴロ、坂本三振で試合終了。「佐藤が打てない」だけではない。「佐藤が打っても一点で終わる」「佐藤がダメなら後ろも返せない」という打線全体の問題がここに表れている。
08阪神は「点」、DeNAは「線」
今回の2連敗を短く表現するなら、これに尽きる。阪神は森下ソロ、佐藤ソロ、大山二塁打など個々の強い打球は出ている。しかし前後がつながらない。一方、9月6日2回のDeNAは、筒香の安打から井上の三振を挟み、宮下・松尾の連打、投手・竹田への押し出し四球、そして1番・度会の2点適時打まで、下位から投手を経由して1番まで打順がつながった(詳しくは02節参照)。この3点は「主軸の一発」ではなく「打順を切らせなかった得点」だ。
阪神には点があった。DeNAには線があった。強打者を並べるだけでは打線にならない。DeNAは阪神の強打者を一人ずつ孤立させた——今回の2連敗を象徴する対比だ。
ただし公平のために書いておくと、DeNAの得点効率も完璧だったわけではない。9月6日は11安打5四球1死球で4得点。初回は度会の二塁打、蝦名の送りバントで1死三塁としながら牧、エンカーナシオンで得点できず、3回も牧の二塁打とエンカーナシオンの四球で無死一・二塁を作りながら無得点、6回も無死一・二塁を作りながら無得点だった。「DeNAは少ないチャンスを完璧に生かした」のではなく、「チャンスを何度も潰したが、それでも次のチャンスを作り続けた」が正しい。阪神は得点圏で一本出なかっただけでなく、そもそもDeNAほど出塁の回数を作れていなかった。
09牧への2試合連続死球は軽く扱えない
この論点は勝敗分析とは独立して扱いたい。9月5日、DeNA牧秀悟が死球を受けた。9月6日は5回1死、阪神2番手・神宮僚介の145km/h直球が牧の右手首付近に直撃。牧は強く痛がり一度ベンチで治療、いったんプレーを続けたが直後の守備から交代し、試合後は西宮市内の病院を受診した。
9月8日、相川監督は「骨折ではなかった」と説明。痛みは残っているが、牧はグラウンドでアップやノック、室内で打撃練習も行い、本人も「思ったより動けている」趣旨のコメントを残している。ここは「骨折ではなかったので問題なし」ではない。2試合連続で同じ主力打者、2日目は145km/hが手首付近という危険性は別問題だ。
一方で阪神側も9月6日に坂本誠志郎、森下翔太が死球を受けている。「阪神だけが危険な野球をしている」「DeNAだけが被害者」と単純化するのも不適切だ。「死球の総数」と「危険部位への死球」は別問題として整理したい。故意だったとする根拠は確認できず、神宮は死球直後に帽子を取って謝罪している。岡田彰布顧問は9月6日の解説で、死球数だけを数えることへの違和感を示し、強いチームは攻められるという趣旨を話しているが、記事ではこの程度の要約にとどめる。
10優勝争いはどうなった?
9月6日終了時点、阪神は69勝52敗1分(貯金17)で残り21試合。巨人とのゲーム差は2.5、巨人の残りは19試合。DeNA2連敗の間に巨人が広島に3連勝し、最大5ゲームあった差が2.5まで縮まった。この時点では「一気に嫌な空気になった」のは事実だが、「阪神優勝危機」と断定するのは煽りすぎだ。阪神は依然として首位で、自力で勝ち続ければいい立場にある。
【9月8日追記】阪神-広島戦は雨天中止となったが、2位巨人が中日に0-3で敗れた。これにより阪神と巨人のゲーム差は2.5から3.0に広がり、阪神の優勝マジックは17へ減少。DeNA2連敗直後の緊張感はやや和らいだが、対DeNA戦そのものの課題が消えたわけではない。
11今後の注目点
残りDeNA5試合(甲子園2試合、横浜3試合)に向けて、追うべき点は多い。DeNA先発を序盤から崩せるか。森下、佐藤の前に走者を置けるか。佐藤を避けられた後に大山以下が返せるか。阪神先発が下位打線で確実に切れるか。そして死球問題が再燃しないか。危機になったのではない。危機になり得る負け方を2日続けた、というのが今回の2連敗の正確な位置づけだ。
12評価の限界
「たった8試合の球場別成績で相性を断定できない」── その通り。8試合はサンプルとしては大きくない。「DeNAは阪神の弱点を完全に見抜いた」と断定はしない。ただし8試合すべてDeNA先発が2自責点以下、阪神平均1.88得点という事実は、残り試合で追う価値のある傾向だ。
「森下・佐藤がたまたま不調だっただけでは」── 可能性はある。ただし5月、7月、9月と時期が分かれており、一時的な1カードだけの不調ではない。一方で球種別・コース別まで検証していないため、「DeNAが明確な攻略法を確立した」までは断定しない。
「大竹が早々に3点取られたら打線が苦しいのは当然」── 確かに0-3は重い。ただし大竹降板後、救援陣は試合をほぼ止めた。阪神には7イニング近く反撃時間があり、1得点だけだった打線側の問題も大きい。
「DeNAの攻撃も別に効率よくない」── その通り。9月6日は11安打5四球1死球で4点と、大量にチャンスを潰した。しかし阪神より多くの得点機を作ったから、チャンスを潰しても4点取れた。
「死球はお互い様」── 阪神側も坂本、森下が死球を受けているため、阪神だけを加害者にするのは不公平。ただし同じ主力打者に2試合連続、しかも2日目は145km/hが手首付近という危険性は「お互い様」の一言では消えない。
13関連記事
今回の2連敗を「村上で負けた」「大竹が打たれた」「打線が5安打しか打てなかった」で終わらせるのはもったいない。2026年シーズン全体を見ると、阪神はDeNAに10勝10敗。甲子園では3勝5敗、8試合15得点。甲子園でのDeNA先発は8試合すべて2自責点以下。森下翔太は.111、佐藤輝明は.107。しかし2人は計4本塁打を打っている。問題は「打てない」だけではない。その4本がすべてソロで、長打が得点の連鎖につながっていない。優勝争いは、2連敗直後に2.5ゲーム差まで縮まったが、9月8日に巨人が敗れ3ゲーム差、マジック17となった。現時点で「優勝危機」と煽る必要はない。ただし、このDeNA戦の得点不足が残り5試合でも続くのか、CSでDeNAと再戦する可能性まで考えると、今回見えた「甲子園で阪神打線が分断される問題」は、ただの9月の2連敗では終わらない重要テーマである。
14SOURCES / 参照データ
- NPB公式:9/5投打成績 / 9/6投打成績 / 大竹耕太郎 個人年度別成績 / 9月日程・結果。甲子園DeNA戦8試合(5/8, 5/9, 5/10, 7/20, 7/21, 7/22, 9/5, 9/6)は各試合公式ボックススコアより手集計。
- DeNA公式:9/5全イニング詳細 / 9/6全イニング詳細。
- 日刊スポーツ:対DeNA10勝10敗・甲子園3勝5敗 / 大竹3失点KO / 牧2試合連続死球 / 牧が病院受診 / 9/8巨人敗戦・マジック17。
- デイリースポーツ:9/8 牧は骨折ではなかった / 牧「思ったより全然動けている」。
※本記事のNPB公式成績は2026年9月6日終了時点、優勝争いに関する記述のみ9月8日時点を反映したスナップショットです。