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阪神9-1巨人|4発より怖かった「打席の質」 山﨑伊織を崩した6回32球と近本・森下の復調

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阪神
9 - 1
巨人
2026年8月11日(火) | 東京ドーム | 首位攻防3連戦初戦、4本塁打11安打で快勝も5回終了時点は2-1の接戦
近本光司
2戦連発2号
直近6試合OPS.956、長打が明確に復活
森下翔太
2本塁打
フォーク・スライダーを連続で仕留める
村上頌樹
8回1失点
4四球もダルベックに致命傷許さず
先に結論

この日の阪神は、単にホームランを4本打ったから強かったのではありません。山﨑伊織のカウント球は早い段階で仕留め、慎重になった6回にはボール球を振らず、追い込まれてもゾーンを広げない。「早く打つ」と「待つ」を打線全体で使い分けられていました。森下翔太は直近の小さな谷から抜け出す可能性を感じさせる2本塁打で、フォークとスライダーという異なる変化球を仕留めています。近本光司は復帰後に不足していた長打が明確に戻り始め、2試合連続本塁打だけでなくこの日の最初の2打球がともに157km/hを超えていました。投げては村上頌樹が8回3安打1失点。4四球はあったものの、危険なダルベックの前に走者を置かず、歩かせた場面でも後続を切っています。派手さの裏側に、かなり整理されたゲームプランが見えた9対1でした。

4本塁打、11安打、9得点。数字だけを見れば、阪神打線が東京ドームで豪快に打ち勝った試合でした。2026年8月11日、首位で並んで迎えた巨人との3連戦初戦。阪神は9対1で快勝し、同率首位から一歩前に出ました。近本光司が2試合連続となる2号本塁打。森下翔太は26号、27号の2本塁打。最後は佐藤輝明にも24号2ランが飛び出しています。ただ、この試合を「ホームラン4本で勝った」で終わらせると、かなり大事な部分を見落とします。本当に面白かったのは、2対1の接戦だった6回でした。佐藤輝明と大山悠輔が、ともにフルカウントから四球。前川右京は追い込まれてから149キロ台の直球を二塁打。元山飛優も1ボール2ストライクから粘ってフルカウントまで戻し、最後はフォークを2点三塁打にしています。巨人先発・山﨑伊織の球速が落ちたわけではなく、6回にも直球平均は148キロ台、最速153キロ台を計測していました。それでも阪神は山﨑を崩しています。今回は試合経過だけでなく、球速・打球速度・カウント推移という数字も使いながら、この9対1を整理していきます。

01試合概要 ── 5回まで2-1、6回に試合を動かした

試合の要点
項目内容
最終スコア阪神9 - 1巨人
5回終了時点阪神2 - 1巨人(近本・森下のソロ2本 対 ダルベックのソロ1本)
阪神チーム成績11安打・4本塁打(近本、森下2本、佐藤)
先発投手成績村上頌樹 8回118球3安打1失点/山﨑伊織 5回1/3・119球8安打6失点

最終スコアは9対1でしたが、5回終了時点では2対1でした。阪神の得点は3回に出た近本光司と森下翔太のソロ本塁打2本のみ。巨人も4回にダルベックのソロ本塁打で1点差に迫っています。この時点では、首位攻防らしい接戦でした。「最初から巨人を圧倒していた」のではなく、2対1の試合を、阪神が6回に自分たちの攻撃で壊したというのが実際の経過です。だからこそ、試合を振り返るうえで6回の攻撃が重要になります。

02近本光司、初球を仕留めた先制ソロ

3回、近本光司は山﨑伊織の初球、148.7km/hのフォーシームを捉えました。打球速度157.1km/h、角度28度、飛距離115.8m。注目したいのは「初球」だったことです。山﨑がカウントを取りに来た球を、近本は見送りませんでした。打者にとって何でも初球から振ればいいわけではありませんが、打てるストライクが来たなら仕留める。この日の阪神打線には、その判断がありました。さらに近本は第1打席の中前安打も159.3km/hを記録しています。つまり、本塁打だけが偶然強く飛んだわけではなく、最初の2打球がともに157km/h超でした。復帰後の近本を見てきた中で、これはかなり大きな変化です。

03近本は本当に「長打が戻ってきた」

近本光司 期間別成績
期間打率長打率OPS
7/11〜7/31(復帰直後).267.300-
8/1〜8/11.300.475.824
直近6試合--.956

近本は復帰直後からまったく打てていなかったわけではありません。7月の復帰後は打率.267でしたが、問題は長打でした。7月11日から7月31日までの長打率は.300、本塁打は0本で、長打は二塁打2本にとどまっていました。つまり「ヒットは出る。ただ、本来の強い打球がまだ少ない」という状態でした。ところが8月に入ると変化します。8月9日の中日戦で今季1号、8月11日の巨人戦で2試合連続となる2号。復帰後全体のOPSも.709まで戻り、昨季のOPS.701とほぼ同水準になりました。もちろん近本は年間30本塁打を狙うタイプではなく、ここでいう「長打復活」は毎日ホームランを打つという意味ではありません。外野の間を割る、外野手の頭を越す、引っ張るだけでなく強い打球を広角に飛ばす――そうした近本本来の打球強度が戻り始めた、という意味です。2試合連続本塁打に加え、この日の159.3km/h・157.1km/hという打球速度は、その見方をかなり後押しします。

04森下翔太、フォークとスライダーを射止めた2発

森下翔太 2本塁打の内容
投手球種打球速度飛距離角度
1本目山﨑伊織フォーク176.4km/h131.4m30度
2本目田和廉スライダー169.9km/h126.2m-

森下翔太はこの日2本塁打。これだけでも十分派手ですが、分析したいのは球種です。2本目は、スライダーを4球連続で投じられた最後の球を捉えたものでした。見逃し、ファウル、ファウル、そしてホームラン。同じ変化球を何球も見せられて、最後に投手側が勝ったのではなく、森下が一打席の中でタイミングを合わせ、最後に仕留めています。「東京ドームだから入った」という打球ではありません。

05森下は「復活」なのか

森下翔太 直前6試合の内容
打数安打打率本塁打OPS三振
255.2000.4997(27打席)

ここは少し言葉を分けたいところです。森下はシーズン全体で大不振だったわけではなく、試合前時点でも打率.286、OPS.920、25本塁打と十分すぎる成績でした。ただし直前6試合だけを見ると、短期間ではあるものの三振が増え、長打も止まっていました。そこからこの日の2本塁打。しかもフォークとスライダーをそれぞれ仕留めています。「長い不振から完全復活」と表現するのは大げさですが、「短期的な谷から再加速した可能性が高い」と見るには十分な内容でした。結果以上に、変化球への対応が良かったことが重要です。今後数試合で再び三振が減り、長打が継続するなら、今回の2発は明確な転換点になります。

06山﨑伊織は「球速が落ちて打たれた」わけではない

山﨑伊織 回別直球平均球速
直球平均
1回149.0km/h
2回149.1km/h
3回148.0km/h
4回147.3km/h
5回148.7km/h
6回148.7km/h(最速153.2km/h)

巨人先発・山﨑伊織は5回1/3、119球、8安打、8奪三振、2四球、6失点。6失点という結果だけを見ると、完全に状態が悪かったように見えます。しかしデータは少し違います。炎上した6回に球速が急落したわけではなく、6回にも最速153.2km/hを計測していました。さらに8奪三振と、打者を空振りさせる力も残っていました。だから「山﨑が疲れて球が来なくなり、阪神が簡単に打った」という整理は正確ではありません。

076回32球 ── 阪神が山﨑を崩した本当の方法

6回の打席経過
打者カウント経過結果
佐藤輝明3-2四球
大山悠輔3-2四球
前川右京2-2適時二塁打
坂本誠志郎2-2三振
元山飛優1-2→3-22点三塁打

この5打者に山﨑は32球(1人あたり平均6.4球)。最初の5人全員が2ストライクまで到達し、山﨑がアウトにできたのは坂本だけだった

6回の攻撃を順番に見ると、最初の5人全員が2ストライクまで行き、山﨑がアウトにできたのは坂本だけでした。しかも3人がフルカウント。ここがこの試合最大のポイントです。

08佐藤輝明は「1安打」だけでは分からない

6回、先頭の佐藤と大山は、ともにフルカウントから四球を選びました。四球という記録だけなら「山﨑が制球を乱した」とも表現できますが、山﨑は8奪三振を取っており、6回にも153km/h台を出していた投手です。阪神側の評価として見るべきなのは、ボール球を振って助けなかったことです。追い込まれたら打者側はゾーンを広げたくなりますが、落ちる球を振らされれば三振、厳しい球を無理に打てば凡打。そこで佐藤と大山は3ボール2ストライクまでカウントを作り、最後までゾーンを守りました。2者連続四球で無死一、二塁。山﨑はここから、ストライクを取りに行かなければならなくなりました。

前川右京は2ボール2ストライク。フォーク、直球、フォーク、スライダーと球種を変えられながら、最後の149.7km/hフォーシームを捉えて適時二塁打(打球速度149.0km/h、角度30度)。一方、元山飛優はさらに象徴的でした。1ボール2ストライクまで追い込まれてから、ファウル、ボール、ボールで3ボール2ストライクまで戻し、7球目のフォークを2点三塁打にしています。最初の方ではフォークに空振りもしていましたが、同じ打席の中で対応し、最後は落ちる球を仕留めました。追い込まれてからゾーンを広げず、投手にストライクを要求し、来た球を弾き返す。選球だけでなく「ゾーン管理」ができていた打席でした。

この日は森下の2本塁打が目立ちましたが、佐藤輝明は4打数1安打、1本塁打。しかし打球内容を見ると、こちらもかなり強いものでした。ショートライナーが171.4km/h、9回の2ランは180.1km/h・飛距離146.3m・角度24度。捉えた2打球はどちらも強烈でした。森下が再加速し、佐藤も強い打球を維持する。3番・4番の両方が怖い状態なら、相手バッテリーはどちらか一人だけを徹底マークすることが難しくなります。

09村上頌樹、4四球でも「荒れていた」で終わらせない

村上頌樹 対ダルベック
打席結果
1打席目四球
2打席目ソロ本塁打
3打席目四球

村上は8回118球、3安打1失点、7奪三振、4四球。普段の村上を考えると4四球は多く、表面的には「今日は少し制球が悪かった」と言いたくなります。ただ、巨人打線との勝負を見ると別の側面もあります。特に警戒したいのがダルベック。村上はダルベックを完全に封じたわけではありませんが、許した得点はソロ本塁打の1点だけでした。重要なのは、ダルベックとの勝負そのものだけでなく、ダルベックの前に走者を置かなかったことです。主砲に本塁打を打たれても走者なしなら1点ですが、走者をためて長打を浴びれば一気に試合が動きます。2回はダルベック四球後に併殺、7回もダルベックを歩かせた後、後続を抑えて無失点でした。すべてが意図的な四球だったと断定はできませんが、結果としてはダルベックの前に走者を置かない、無理に勝負して複数点を食らわない、歩かせても後ろを切るというリスク管理が成立していました。投手は全打者を完璧に抑える必要はなく、誰に長打を許してはいけないか、誰とはゾーン勝負できるかを見極め、試合全体で失点を最小化すればいい。村上の4四球をすべて「制球ミス」とだけ見るより、危険な打者への慎重さも含めて評価した方が、試合内容には合っています。

108回118球まで投げた意味 ── ブルペン温存

山﨑は119球で5回1/3、村上は118球で8回。ほぼ同じ球数で、取ったアウト数は村上24アウト、山﨑16アウトと8アウトの差があります。もちろん投球スタイルも打線も違うため単純比較だけで投手能力を決める数字ではありませんが、この試合に限れば阪神打線が山﨑に球数を使わせたことは明確です。球速を落としたのではなく、簡単にアウトを取らせなかった。「山﨑が崩れた」のではなく、少なくとも6回については「阪神が崩した」と評価したくなる内容でした。

一方、村上は7回、8回になると直球平均球速が141km/h台まで落ちていました。そのため「大量リードで118球まで投げさせる必要があったのか」という見方は成立し、今後の疲労を考えれば完全に無視できる論点ではありません。ただ、今日は首位攻防3連戦の初戦。村上が8回まで投げ、9回は及川雅貴だけで試合を終えたことで、大量リードを使ってブルペンをほぼ温存できました。初戦を取る、中継ぎを残す、翌日以降へつなぐ。短期的には非常に価値の高い勝ち方だったと言えます。

11反対意見・別視点

あえて逆から見ると

「1試合だけで『打線復活』と言うのは早い」── これはその通りです。東京ドームという打者有利の環境もあり、1試合の4本塁打だけで阪神打線が完全復活したと断定するのは危険です。特に近本や森下については、今後数試合の三振率、長打率、打球速度の継続を見る必要があります。今回言えるのは「復調を示す材料がかなり増えた」というところまでです。

「山﨑伊織の6回は単純に疲労では?」── 100球を超えていたため疲労が影響していないとは言えません。ただし6回にも直球平均148.7km/h、最速153.2km/hを計測しており、単純な球速低下では説明しにくいところです。球速は残ったままフルカウントが増え、決め球で打者を終わらせられなくなった――「疲れて球速が落ちた」より「疲労もある中で阪神が粘り、球数を使わせ、ストライクを投げさせた」と見る方が妥当でしょう。

「村上の4四球はやはり問題では?」── 4四球自体は村上としては多く、今後も同じように四球が増えるなら懸念材料です。ただしこの日は、ダルベックへの慎重な勝負を含みながら3安打1失点に収めています。「四球が多い=悪い投球」と単純化せず、誰に四球を出し、その後どう処理したかを見る必要があります。

12今後の注目点

  • 近本の長打。ホームラン数ではなく、外野の間を抜く強い打球や二塁打が継続して増えるか。
  • 森下の三振率。直前6試合で増えていた三振が再び減り、変化球対応が続けば本格的な再加速と判断しやすい。
  • 佐藤・大山のゾーン管理。6回のように中軸がボール球を振らず、下位へ走者を残せるか。
  • 前川・元山の「追い込まれてから」の内容。結果だけでなく、2ストライク後のスイング判断を継続できるか。
  • 村上の終盤の球速。大量リードで出力を落としたのか、疲労による低下なのか。次回登板も確認したい。
  • 巨人側の修正。ダルベックの前に走者を置けるか、阪神の対策に対して打順や攻撃をどう変えてくるか。

13まとめ

阪神9対1巨人。4本塁打が飛び出した以上、どうしても派手な一発に目が行きます。しかし今日一番見ておきたいのは6回でした。佐藤輝明、大山悠輔がフルカウントから四球。前川右京、元山飛優は追い込まれても簡単に終わらず、最後はストライクを仕留めました。山﨑伊織の球速は落ちておらず、8奪三振も取られています。それでも阪神が勝った、だからこそ価値があります。

まとめ

近本光司には長打が戻り始めました。森下翔太は変化球を2本仕留めて再加速。村上頌樹はダルベックに一発を許しながら、致命傷にはしませんでした。「4本塁打で大勝した」というだけでなく、打席の判断とバッテリーのゲームプランが噛み合った9対1です。この形が続くなら、単発の爆発では終わりません。

14動画

今回の試合は、実際の配球・打球速度・カウント推移をスライドで見ながら動画でも詳しく分析しています。文章では整理して読みたい方に、動画では配球や数値を視覚的に追いたい方におすすめです。

免責: 本記事はNPB公式記録、球団公式情報、公開されている試合データ、配球・打球情報などをもとに独自に整理・分析しています。配球意図、選手の状態、ベンチやバッテリーの狙いについては、公開情報や試合内容からの推測を含み、実際の意図を断定するものではありません。成績・数値は2026年8月11日の試合終了時点、または本文中で示した期間をもとにしています。特定の選手、監督、球団、ファンを誹謗中傷する目的はありません。