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【阪神1-0中日】10安打を浴びて完封勝利、近本1号だけではない「異常な完封」を得点期待値で分析

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阪神
1 - 0
中日
2026年8月9日(日) | 京セラドーム大阪 | 中日10安打・阪神2安打でも1-0で勝利、近本光司の今季第1号が決勝点
近本光司
今季1号
6回、決勝ソロホームラン
坂本誠志郎
盗塁阻止
3回、得点期待値-0.44点分
伊藤将司
5回無失点
97球6安打2四球、内容は苦しい
先に結論

阪神がこの試合を勝てた最大の理由は、少ないチャンスを近本が1点に変え、中日が作った多くのチャンスを守備と投手陣で一つずつ消したことです。特に重要だったのが3回の坂本誠志郎による三塁盗塁阻止と4回の伊藤将司による二塁牽制アウト。2025年NPB全体の得点期待値を基準にすると、3回は1死一、二塁0.715から2死二塁0.280へ約0.435点、4回は1死一、二塁0.715から2死一塁0.184へ約0.531点、合計すると0.966点、数字上は「ほぼ1点分」の危険をこの2つのアウトだけで減らしたことになります。最終スコアは1対0でした。ただし、伊藤将司の5回無失点を「完全復活」と評価するのは早く、5回97球・被安打6・フォアボール2・三振3という内容はかなり苦しいものでした。阪神打線も2安打しか打てておらず、柳裕也を攻略した試合とは言えません。「勝った。しかし課題もかなり残った」、これがこの試合の最も妥当な評価でしょう。

中日10安打、阪神2安打。普通に数字だけを見れば中日が勝った試合だと思ってしまうかもしれませんが、実際のスコアは阪神1、中日0の阪神勝利でした。しかも阪神の得点は前日の1対7大敗から一夜明け、6回に飛び出した近本光司の今季第1号ホームランによる1点だけ。一方の中日は序盤から何度も走者を出し、1死一、二塁の大きなチャンスを何度も作り合計10安打を放ちましたが、それでも最後までホームを踏めませんでした。この試合は単純に「阪神投手陣が完封リレーで勝った」とまとめてしまうと、かなり面白い部分が消えてしまいます。坂本誠志郎の完璧な盗塁阻止、伊藤将司の牽制とリクエスト成功、ピンチを背負いながら耐えた木下里都、2イニングを投げ切った工藤泰成、最後を9球で締めた岩崎優。そして、たった一球の逆球を逃さなかった近本光司。今回は試合経過だけでなく「得点期待値」という数字も使いながら、この異様な1対0を整理していきます。

01試合概要 ── 10安打対2安打なのに1-0の異常

京セラドーム大阪 / 勝:伊藤将司 / 敗:柳裕也

図1 | イニング別・累計得点の推移
0 2 4 6 1 2 3 4 5 6 7 8 9
阪神 中日
試合結果の比較
項目阪神中日
得点10
安打210

阪神は中日との3連戦で最初の2試合を落としており、3連敗を避ける意味でも大きな1勝となりました。この試合最大の特徴は、安打数と得点がまるで対応していないことです。もちろん野球では安打数の多いチームが必ず勝つわけではなく、重要なのはどこで打ったか、走者をどう進めたか、走者をアウトにされたか、長打が出たか。中日は何度も走者を出しましたがその走者をホームまで返せず、阪神はほとんど走者を出せませんでしたが近本が走者なしからホームランを打ち、一振りで1点を確定させました。この対照が今日の1対0を生みました。

02伊藤将司は5回無失点でも「内容は苦しい」

伊藤将司の最終成績は5回・97球・6安打・2フォアボール・3奪三振・無失点。結果だけなら文句はありませんが、試合内容を見ると評価は難しくなります。中日は1回・3回・4回・5回と、伊藤が投げた5イニングのうち4イニングで1死一、二塁という同じ大きなチャンスを作っています。これだけ走者を背負いながら0点だったのだから「粘った」という評価は間違いではありませんが、5回で97球・8人の走者を許したという内容は、ローテーション投手として安心できる数字ではありません。

1回からピンチを背負い1死一、二塁。ここでサノーを三振、続く石川昂弥をセンターフライでまずはゼロ。しかしこの時点では、まだこの「1死一、二塁」が何度も繰り返されるとは思いませんでした。したがって「伊藤は素晴らしい投球だった」でも「伊藤はダメだった」でもなく、最も近い評価は「結果は最高。内容にはまだ不安が残る」でしょう。

03坂本誠志郎の盗塁阻止が試合を救った

3回、福永裕基と村松開人にヒットを打たれ再び1死一、二塁。ここで中日がダブルスチールを仕掛けました。坂本誠志郎は三塁へ送球、これが見事でした。二塁走者を三塁でアウト。ダブルスチールが成功していれば1死二、三塁で最低でも内野ゴロや犠牲フライで1点が入る可能性が高まりましたが、実際には2死二塁。一気に状況が変わりました。その後、細川成也をセカンドゴロに打ち取り無失点。これは今日の勝敗を語るうえで絶対に外せないプレーでした。

坂本誠志郎の盗塁阻止と得点期待値
状況得点期待値
1死一、二塁0.715
2死二塁(阻止後)0.280(-0.435点)

坂本のプレーによって、約0.44点分の得点期待値が低下した計算になります。「ナイス送球だった」で終わらせるには大きすぎるアウトでした。

04伊藤将司の牽制とリクエスト成功も大きかった

4回もまた1死一、二塁。ここで伊藤将司が二塁走者・石川昂弥へ牽制。最初の判定はセーフでしたが、阪神ベンチがリクエストし映像確認の結果、判定はアウトへ変更。1死一、二塁だった状況が一気に2死一塁へ変わりました。その後、鵜飼航丞を三振でまたゼロ。3回は坂本の送球、4回は伊藤の牽制。阪神は2イニング連続で「打者を抑える前に走者そのものを消す」ことに成功しました。

伊藤将司の牽制アウトと得点期待値
状況得点期待値
1死一、二塁0.715
2死一塁(牽制後)0.184(-0.531点)

約0.53点分。坂本の盗塁阻止と合計すると0.435+0.531=0.966、約0.97点分です。今日の最終点差は1点。もちろん得点期待値は「このプレーで必ず何点防いだ」という数字ではありませんが、この2つのアウトがどれほど大きかったかを示す数字としては非常にわかりやすいものです。

阪神の守備がすべて完璧だったわけではありません。5回、岡林勇希の打球はファーストへの内野安打となり、公式記録上はヒットですが映像では伊藤将司のファーストカバーが遅れたように見えるプレーでした。その後送りバント・フォアボールでまた1死一、二塁、さらに2死一、三塁まで進まれましたが、最後は細川をセカンドフライで無失点。「ピンチを作っても抑えた」だけでなく「自分たちで広げかけたピンチも何とか収拾した」という側面もありました。

05得点期待値で見ると中日4.25、阪神1.35

サッカーにはxG(期待ゴール)という有名な指標がありますが、野球にも似た発想として得点期待値(Run Expectancy)があります。野球ではアウト数・走者状況の組み合わせは24種類あり、過去の大量の試合から「この状態からイニング終了まで平均何点入ったか」を計算します。ただしこれは打者・投手の能力や球場、打球速度などを考慮した「予測得点」ではなく、あくまで走者・アウト状況から見た平均的な得点環境です。

今日の中日が各イニングで到達した最も危険な走者状況だけを1度ずつ拾う「簡易ピーク得点期待値」(正式なセイバーメトリクス指標ではない独自の簡易指標)を計算すると、次のようになります。

簡易ピーク得点期待値の比較
チーム合計内訳
中日4.2501・3・4・5・6回に1死一、二塁(0.715)×5、8回に無死一塁(0.675)
阪神1.3531回2死二塁(0.280)、4回無死一塁(0.675)、8回1死一塁(0.398)

チャンスの量だけなら中日が圧倒的でした。重要な注意点として、同一イニングの得点期待値を何度も足すと二重計上になるため、各イニングで最大になった状態だけを1回ずつ拾い「どれだけ大きなチャンスを何度作ったか」を比較しやすくした指標であり、「中日は本来4.25点取るべきだった」という意味ではありません。ただし「中日は何度もかなり危険な得点状況を作っていた」ことは数字からもわかります。

ここは誤解しやすい点ですが、6回の近本光司のホームランは1死走者なしから飛び出したもので、走者状況を改善して得点期待値が上がったのではなく、一振りでその場で1点を確定させたものです。そのため上記の簡易ピーク得点期待値1.35には、近本のホームランによる1点を加えていません。この試合を一言で整理すると、中日は何度もチャンスを作ったが0点、阪神はほとんどチャンスを作れなかったがホームランで1点を確定、となります。

参考程度の計算として、2025年NPB全体では1死一、二塁からそのイニングが無得点で終わる確率は約63.9%、無死一塁から無得点で終わる確率は約65.2%。今日の中日の大きなピンチを独立した出来事と仮定して単純に掛けると0.639の5乗×0.652でおよそ6.9%、約7%です。各イニングや打者・投手は完全に独立ではないためこれは厳密な試合確率ではありませんが、今日のゼロ行進がかなりの綱渡りだったことを感覚的に示す数字にはなります。

06木下里都・工藤泰成・岩崎優 ── 虎の子の1点を守ったリレー

6回から木下里都。しかし木下も簡単ではなく、1死から石川昂弥・石伊雄太に連打を許し、またも1死一、二塁。今日これで5回目でしたが、代打ボスラーを見逃し三振、岡林をセカンドゴロで無失点。29球を要しましたが、ここをゼロで切り抜けたことが大きく、ストレートは最速161.3キロ。伊藤将司の140キロ前後の投球から一気に160キロ級へ変化しました。

7回は工藤泰成が三者凡退。問題は8回、阪神は1対0でリードする中で工藤が続投しました。1点しかない、しかも2日前には2点リードの9回に中日に逆転されたばかり。8回先頭の細川成也がヒットで一気に嫌な空気になりましたが、サノー三振・石川昂弥三振と2アウトを奪い、石伊雄太にヒットを打たれたもののボスラーをセンターフライで2イニングをゼロに抑えました。

阪神リリーフ陣(6回〜9回)
投手球数被安打三振最速
木下里都12921161.3km/h
工藤泰成23623159.8km/h
岩崎優1901142.9km/h

工藤の球速は7回最速159.8キロ、8回最速159.3キロ、8回の平均球速も159キロ台。少なくとも球速だけを見れば「回またぎで明らかに球威が落ちた」とは言いにくく、結果的に抑えたから正解だっただけでなく、8回も押し切れるだけの出力は残っていたと評価できます。ただし36球を投げた事実は残り、夏場に毎回この使い方を続けるのは難しいところです。9回は岩崎優、9球・無安打・フォアボールなし・1奪三振の三者凡退。ここまでの8イニングは牽制や盗塁阻止まで使って必死にゼロを守っていたのに、それが最後だけ9球で終了。木下161.3キロ、工藤159キロ台、岩崎最速142.9キロと、速球派を続けたあとに全く違うタイミングで勝負する岩崎という組み合わせも興味深いものでした。

07近本光司、今季第1号が決勝点に

0対0の6回、1死走者なしで近本光司。ここで今季第1号ホームランが飛び出しました。今日の試合で最も価値のある一打です。映像では捕手はアウトコースに構えていましたが、スライダーが逆球となりインコースへ入り、近本はその球を自分のポイントで捉えました。計測値は打球速度152.9キロ、飛距離111.9メートル、打球角度32度。柳がほとんど隙を見せない中、数少ない失投を一振りで仕留め、最終スコアが1対0だったため文字通り決勝ホームランとなりました。

今季第1号は大きいものですが、「これで近本完全復活」と断定するのはまだ早く、重要なのはこのホームランをきっかけにヒット・長打・出塁が継続して増えていくかです。今日の一発は「復活完了」ではなく「復調へ向けた非常に大きな材料」と見るのが妥当でしょう。

08阪神は「柳に勝った」が「柳を攻略していない」

打撃陣は勝利したからこそ厳しく見たいところです。阪神のヒットは森下翔太のツーベースと近本光司のホームランだけの2本。柳裕也は6回・91球・2安打・1フォアボール・4奪三振・1失点で、打線として柳を崩したとは言いにくい内容でした。

1回2死、森下翔太が左中間へツーベース(打球速度165.8キロ、飛距離116.4メートル、打球角度24度)という非常に強い打球でしたが、続く佐藤輝明がセンターフライで先制点にはつながりませんでした。佐藤輝明は無安打でしたが1打席目のセンターフライは打球速度164.3キロ・飛距離106.4メートル・角度43度とかなり強く、角度が上がりすぎたことでアウトになった形。大山悠輔も無安打でしたが166.6キロのサードゴロなど強い打球はあり、前川右京157.1キロ、髙寺望夢150キロ前後、坂本誠志郎158.2キロと、下位打線にも強い打球はありました。「2安打=全員が弱い打球しか打てなかった」という評価は正確ではありませんが、強い打球をヒットにできず出塁も増やせなかったという結果は残ります。

4回、元山飛優が先頭でフォアボールを選び無死一塁。今日の阪神でホームラン以外では最も得点を作りやすい入口でしたが、森下空振り三振・佐藤センターフライ・大山センターフライで無得点。この試合で阪神が「打線として点を取る」最大のチャンスだっただけに、かなりもったいない結果でした。今日の打線を最も端的に表すなら「柳に勝った。でも柳を攻略したわけではない」でしょう。走者をためてクリーンアップが返したのではなく、近本のホームランで一気に1点を取った。勝負には勝ちましたが、攻略法を見つけたとは言いにくく、次回対戦でも同じ問題が残ります。

091点だけでは怖い理由、守備再編も

近本のホームランは最高でしたが、そのあと追加点を取れませんでした。今日の中日は10安打、何度も得点圏に走者を進めています。つまり「1点あれば十分なほど中日打線を完全に抑えていた」わけではありません。さらに2日前の中日戦では、阪神は2点リードの9回に3点を取られて逆転負けしていました。その記憶がある中での1点差。工藤の8回続投が怖く感じた理由も、ここにあります。今後は投手陣に毎回1点を守らせるのではなく、打線が2点目、3点目を取る必要があります。

この試合では途中から守備位置も動きました。スタメンでは元山飛優が2番ショート、前川右京がレフト、髙寺望夢がセカンドで中野拓夢はベンチスタートでしたが、その後中野がセカンドへ入り、髙寺がセカンドからレフトへ、さらに熊谷敬宥がショートへ入りました。終盤の1点差ゲームで守備を組み替えながら最後までゼロを守った、派手ではありませんが残しておきたい部分です。

10阪神先発陣は本当に盤石なのか

今日の伊藤将司を見ていて、別の論点も浮かびます。阪神の先発陣は本当に余裕があるのか。「阪神の先発は全員危ない」とまで言うのは極端ですが、8月8日終了時点で村上頌樹が防御率1.86、才木浩人が防御率2.63、大竹耕太郎が防御率2.82と土台になる投手はいます。問題は4枚目以降の余白です。

先発陣の現在地(8月8日終了時点)
投手状況
村上頌樹防御率1.86、土台として安定
才木浩人防御率2.63、土台として安定
大竹耕太郎防御率2.82、土台として安定
髙橋遥人シーズン防御率1点台だが、直近は被本塁打・失点増の登板が続く
伊藤将司今日5回無失点でも内容は苦しい
伊原陵人前日4回1/3・5失点も自責1、守備の影響大

髙橋遥人はシーズン全体では防御率1点台と素晴らしいものの、8月5日のDeNA戦では4回6失点、最近はホームランを許す登板が続いており状態の変化を追う必要があります。伊原陵人も前日の中日戦では4回1/3・7安打・5失点でしたが自責点は1。守備の影響が大きく単純に「伊原が5点取られた」と評価するのは不公平ですが、現状で安心してローテーションを任せられる状態かというと疑問は残ります。

下村海翔は一軍4登板・22回・防御率2.05と数字は良く期待できますが、まだ一軍4登板。ここで「下村がいれば全部解決」と考えるのは危険で、若い投手に優勝争いの夏場のローテーションをすべて背負わせるのではなく、複数の先発候補を入れ替えながら運用する方が現実的でしょう。

そこで注目したいのがルーカスです。一軍では3登板・14回2/3・防御率5.52と現時点で救世主と呼べる成績ではありませんが、腰の疲労骨折から7月22日に実戦復帰し、8月1日のファームでは3回・1安打・1フォアボール・2奪三振・無失点、最速151キロと復帰過程としては前進していました。8月8日のファーム登板では危険球により25球で降板しており、先発として球数を積み直す必要があります。重要なのは「ルーカスなら必ず抑える」ではなく、ルーカスが先発候補に加わることで阪神が夏場に使える先発の枚数が1枚増えることです。夏場は疲労が出ます。髙橋遥人を休ませたい日、伊藤将司の状態を見たい日、伊原や下村の登板間隔を調整したい日、そんなとき先発候補が7人、8人いること自体が大きな武器になります。西勇輝・門別啓人・今朝丸裕喜などの候補もおり、「この投手を上げればローテーション問題はすべて解決」という絶対的な候補がいるわけではないからこそ、誰か一人を救世主にするのではなく複数人で夏場をしのぐという発想が重要になります。

11反対意見・別の見方

あえて逆から見ると

5回無失点なのだから伊藤将司を素直に評価すべきではないか:その通りで、走者を出してもホームを踏ませなかったこと自体は能力です。ピンチでギアを上げること、打者ごとに勝負できることも先発投手の重要な能力ですが、毎回のように走者を背負い5回97球では長いシーズンを考えると不安が残ります。「今日の結果は評価」「今後への安心材料とは言い切れない」、この2つは両立します。

中日の拙攻で勝っただけではないか:その面もあります。中日は10安打を放ちながら無得点、得点圏で一本出ませんでした。しかし坂本の盗塁阻止、伊藤の牽制、リクエスト成功は阪神側が自ら作ったアウトであり、単純に中日が勝手に失敗しただけではありません。

工藤の回またぎは危険だったのではないか:結果が出なければ批判されてもおかしくない采配でした。ただし8回も159キロ台を記録しており、球速面では大きな低下は確認できませんでした。「無理な続投を結果だけで正当化した」とまでは言いにくい一方、36球を投げた事実は残り、シーズン全体では連投や回またぎをどう管理するかが重要になります。

2安打でも勝てたのだから打線は問題ないのではないか:1試合の勝敗だけならそれでもいいですが、毎回2安打1得点で勝てるわけではありません。今日のように投手陣が何度もピンチを切り抜ける試合では、追加点があるだけでリリーフの負担は大きく変わります。勝利と打線の課題は分けて考えたいところです。

12今後の注目点

  • 近本光司の第1号が復調につながるか。ホームランだけでなく、今後数試合の打率・出塁・長打を見る。
  • 伊藤将司の内容改善。結果だけでなく、投球回・球数・被安打・フォアボール・得点圏の走者数を見る。
  • 髙橋遥人の状態。シーズン全体の数字は素晴らしいが、直近の被本塁打と失点の増加が一時的なものか確認。
  • 伊原陵人の次回登板。前回は守備の影響が大きく5失点でも自責点は1。本人の投球内容を切り分ける。
  • ルーカスの球数。次回ファーム登板で球数・球速・制球・イニング数を確認し、一軍先発候補として100球前後まで戻せるか。
  • 工藤泰成の登板管理。今日36球を投げており、次の登板までの間隔や起用方法に注目。
  • 阪神打線の追加点能力。近本のホームラン以外で、走者をためて得点する形を作れるか。

13まとめ ── 1点を取った近本と、1点を守った全員

阪神が1対0で中日に勝利しました。しかしこれは普通の完封勝利ではありませんでした。中日は10安打、阪神は2安打。中日は5度も1死一、二塁を作り、8回にも無死一塁。各イニングの最も危険な走者状況だけを拾った簡易ピーク得点期待値は中日約4.25、阪神約1.35。それでも実得点は中日0、阪神1でした。

まとめ

3回には坂本誠志郎がダブルスチールを阻止。4回には伊藤将司が牽制で二塁走者を刺し、リクエストで判定がアウトに覆りました。この2プレーだけで、得点期待値を合計約0.97点下げました。そして6回、近本光司が今季第1号ホームラン。アウトコースへの要求から内側へ入ったスライダーを逃さず、一振りで唯一の1点を取りました。その1点を木下里都、工藤泰成、岩崎優が最後まで守りました。一方、伊藤将司は5回無失点でも97球、6安打、2フォアボール。阪神打線も柳裕也に6回2安打。勝利したからといって、投打の課題が消えたわけではありません。先発陣も村上頌樹、才木浩人、大竹耕太郎という土台はありますが、髙橋遥人の最近の状態、伊藤・伊原・下村の使い方を考えると、夏場は先発の枚数が重要になります。ルーカスを含め、複数の先発候補をどう回していくのかも注目したいところです。内容は苦しかった、それでも勝った。10安打を浴びても0点、2安打でも1点。野球ではヒット一本の数だけで勝敗は決まりません。アウト一つの価値、走者一人を消す価値、失投一球を逃さない価値。それらが凝縮された1対0でした。

14動画でも詳しく話しています

数字だけではわからない「1対0の中身」は動画でも詳しく解説しています。得点期待値4.25対1.35でも阪神が勝った理由を、坂本誠志郎の盗塁阻止、伊藤将司の牽制、近本光司の今季第1号、工藤泰成の回またぎまで、試合映像の流れに沿って整理しています。

免責: 本記事は、NPB公式記録、球団公式情報、公開されている試合データ、報道、試合映像から確認できる内容などをもとに構成しています。選手の状態、配球、起用、采配、守備内容などに関する記述には、筆者による分析・見解を含みます。本記事で使用する「簡易ピーク得点期待値」は、2025年NPBの得点期待値を参考に、各イニングで最も得点期待値が高かった走者・アウト状況を1回ずつ集計した独自の比較方法であり、公式指標や正式な予測得点ではありません。また、「大きなピンチをすべて無得点で終える確率約7%」という数値は、それぞれの状況を独立と仮定して単純計算した参考値であり、実際の試合勝率・失点確率を厳密に示すものではありません。試合記録や成績は公開時点の情報に基づきます。