大竹3回KOで阪神完敗…今朝丸初登板だけは光った【阪神1-5広島】
この試合は、かなり重い完敗でした。大竹耕太郎は3回64球、8安打、5失点。四球連発で自滅したというより、ストライクを取りに行った球を広島打線に打たれた内容でした。打線も厳しく、阪神の安打は森下翔太の左前安打と前川右京のソロホームランだけ。広島先発・森翔平に7回2安打1失点と抑え込まれ、反撃の形を作れませんでした。一方で、今朝丸裕喜のプロ初登板3回無失点、津田淳哉の9回三者凡退は明確な収穫です。「大竹ショックと打線沈黙の完敗。ただし、今朝丸と津田という若い投手の内容だけは拾うべき試合だった」。そしてもうひとつ、森下の好調に隠れて佐藤輝明の状態が気になります。直近6試合は24打数3安打。4番が止まると、阪神打線は一気に重く見えます。
阪神は2026年7月3日、甲子園で広島に1対5で敗れました。前日の中日戦で延長11回の末に敗れた直後の一戦。切り替えたい試合でしたが、先発の大竹耕太郎が3回に一気に5失点。打線も森翔平の前に2安打に抑え込まれ、反撃らしい反撃を作れないまま終わりました。前の試合は 下村海翔の初登板レビュー をどうぞ。
01試合は3回表でほぼ決まった
| チーム | 得点 | 安打 | 失策 |
|---|---|---|---|
| 広島 | 5 | 10 | 1 |
| 阪神 | 1 | 2 | 0 |
1回表の大竹は悪くありませんでした。名原をレフトフライ、大盛をサードライナー、菊池を空振り三振で三者凡退。ただ、2回表からすでに危険信号は出ていました。坂倉にライト前ヒット、モンテロに内野安打、佐々木に四球で二死一、二塁のピンチを背負い、石原をショートゴロで無失点は切り抜けたものの内容はもう怪しかった。そして3回表、森翔平・名原の連打から無死二、三塁、大盛にタイムリー、さらに菊池・小園にも許し、最後はモンテロにレフトオーバーの2点タイムリーツーベース。この回だけで6安打5失点、試合の空気は完全に広島へ傾きました。阪神は5回裏に前川右京のソロホームランで1点を返しましたが、それ以上は追い上げられませんでした。
02大竹は荒れて自滅したのではなく、打たれて崩れた
大竹の成績は、3回64球、8安打、2奪三振、1四球、5失点。この数字だけを見ると完全なノックアウトです。ただし、内容を細かく見ると、単純に「制球が悪かった」と片付ける試合ではありません。
回別ストライク・ボール再計算
| 回 | 球数 | ストライク系 | ボール |
|---|---|---|---|
| 1回 | 15球 | 10球 | 5球 |
| 2回 | 22球 | 12球 | 10球 |
| 3回 | 27球 | 20球 | 7球 |
| 合計 | 64球 | 42球 | 22球 |
※公式のストライク数ではなく、打席カウントと投球数からの再計算値。全体のストライク率は約65.6%、5失点した3回は約74.1%。
つまり、ボールがまったく入らずに崩れたわけではありません。むしろ、ゾーンに入った球、勝負に行った球、かわしに行った球を広島打線に拾われました。大竹の持ち味は、強い球で押し込むよりもタイミングを外し、芯を外し、打者に考えさせることにあります。ところが、この日はそのズラしが通じませんでした。
球種配分
| 球種 | 球数 | 割合 |
|---|---|---|
| フォーシーム | 26球 | 40.6% |
| チェンジアップ | 19球 | 29.7% |
| ツーシーム | 11球 | 17.2% |
| カットボール | 4球 | 6.2% |
| スライダー | 4球 | 6.2% |
速球だけで押したわけではなく、チェンジアップ・ツーシームでいつものように奥行きを出そうとしていました。ただし2回から広島に拾われ始め、3回に集中打を浴びています。「制球崩壊」というより「打者に合わされた」可能性が高い内容でした。試合前まで大竹は今季の広島戦で3登板18回・防御率2.00、「広島キラー」として期待されたのも当然です。ただ今回は中15日明けという不安材料もありました。もちろん、中15日がすべての原因だと断定はできません。球のキレ、細かい制球、配球、広島側の対策、打者の状態。いろいろな要素がありますが、結果として大竹は3回で捕まりました。
03阪神打線は森翔平を攻略できなかった
投手だけの負けではありません。阪神打線は2安打1得点。森下翔太の初回の左前安打と、前川右京の5回ソロホームランだけでした。広島先発の森翔平には、7回93球、2安打1失点、7奪三振とまとめられました。
| 回 | 攻撃の流れ |
|---|---|
| 1回裏 | 森下が安打も佐藤が見逃し三振 |
| 3回裏 | 高寺が四球で出るも中野が併殺 |
| 5回裏 | 前川のソロで1点、ただし後続なし |
| 6〜8回裏 | 三者凡退が続く |
| 9回裏 | 中野が相手失策で出るも、森下右飛・佐藤空振り三振で終了 |
5点ビハインドになったあと、阪神のリリーフ陣は今朝丸・石黒・及川・津田で4回以降ゼロに抑えています。普通ならそこから少しずつ詰めたい。しかし打線が動きませんでした。負けていても、反撃の形があれば見え方は違います。でも今日は、5点差のまま時間だけが進んだような試合でした。
04前川の一発だけは拾いたい
野手のポジ要素を挙げるなら、前川の一発です。5回裏、ライトへのソロホームラン。チーム2安打のうち1本がこの本塁打で、阪神の得点はこれだけでした。もちろん、試合をひっくり返す一発ではありません。それでも、ゼロで終わるのと、若い打者が一振りで点を取るのとでは意味が違います。森翔平に抑え込まれていた中で、唯一スコアを動かした打者が前川でした。
05森下の好調に隠れて、佐藤輝明の状態が気になる
打線で気になるのは佐藤輝明です。まず誤解してはいけません。佐藤はシーズン全体で見れば、まだ圧倒的な成績を残しています。
| 項目 | 2026シーズン |
|---|---|
| 打率 | .344 |
| 本塁打 / 打点 | 16 / 49 |
| 出塁率 / 長打率 | .425 / .637 |
| OPS | 1.062 |
| 得点圏打率 | .411 |
ただ、直近だけを見ると苦しい。
直近6試合
| 試合 | 打数 | 安打 | 本塁打 | 三振 |
|---|---|---|---|---|
| 7/3 広島 | 4 | 0 | 0 | 2 |
| 7/2 中日 | 4 | 0 | 0 | 2 |
| 6/30 中日 | 3 | 0 | 0 | 1 |
| 6/28 広島 | 5 | 2 | 1 | 2 |
| 6/27 広島 | 4 | 0 | 0 | 1 |
| 6/23 ヤクルト | 4 | 1 | 0 | 0 |
| 合計 | 24 | 3 | 1 | 8 |
※直近6試合合計:打率.125・1本塁打・2打点・8三振・2四球。
シーズン全体では文句なしですが、直近だけ見ると明確に状態は落ちています。森下が好調なだけに、佐藤が止まると打線全体が重く見えます。相手が森下を警戒し、佐藤勝負が成立すると阪神打線の圧力が下がります。佐藤を悪者にする話ではありません。シーズン全体では圧倒的です。ただ、今の阪神打線を考えるうえで、直近6試合で24打数3安打という数字は無視できません。
06今朝丸のプロ初登板3回無失点は大きい
今日最大のポジ要素は、今朝丸裕喜です。大竹が3回5失点で降板したあと、4回から登板。プロ初登板でした。5点ビハインド、甲子園、前日の延長負けの翌日という難しい状況の中、3回41球、2安打、2奪三振、1四球、無失点。これは立派です。
| 球種 | 球数 | 割合 |
|---|---|---|
| フォーシーム | 27球 | 65.9% |
| フォーク | 8球 | 19.5% |
| スライダー | 5球 | 12.2% |
| カーブ | 1球 | 2.4% |
| イニング | 平均球速 |
|---|---|
| 4回 | 148.5km |
| 5回 | 149.8km |
| 6回 | 149.2km |
| 最速 | 151.6km |
4回、5回はテンポ良く抑えました。6回は連打と四球で満塁まで行きましたが、無失点で切り抜けています。フォーシーム中心で逃げない投球でした。「敗戦処理」ではなく、一軍で使える可能性を示した3イニングです。試合は壊れました。でも、今朝丸は壊しませんでした。
07津田の9回三者凡退も面白かった
津田淳哉も拾いたい投手です。9回表に登板し、1回16球で三者凡退。ヒットなし、四球なし、失点なしでした。
| 球種 | 球数 | 割合 |
|---|---|---|
| カーブ | 6球 | 37.5% |
| フォーク | 6球 | 37.5% |
| フォーシーム | 4球 | 25.0% |
面白いのは球種配分です。ストレートは平均150.2キロ、最速151キロと速い球があります。それでも、この日はフォーシームが4球だけ。カーブとフォークで75%。ただ速いだけではなく、変化球で打者のタイミングを外してアウトを取りました。負け試合の9回とはいえ、内容は整理されていました。
08ブルペン全体は崩れていない
今日の負けは、先発と打線の負けです。ただし、ブルペン全体が崩れた試合ではありません。大竹が3回5失点で降板したあと、今朝丸が3回、石黒佑弥が1回、及川雅貴が1回、津田が1回。4回以降は広島に追加点を与えませんでした。もちろん5点リードの広島が無理をする必要はなかったという面もあります。それでも、ズルズル8点、9点までいかなかった。前日の延長負けの翌日に、リリーフまで総崩れにならなかった。そこは評価していいと思います。ただ、投手がゼロでつないでも、打線が2安打では勝てません。
09反対意見・別視点
「大竹は中15日だけが原因ではない」── 中15日明けは不安材料だったが、それだけで5失点を説明するのは危険。広島側の対策、当日の球のキレ、配球、打者の状態もある。
「佐藤輝明を責めすぎるべきではない」── 直近6試合は悪いが、シーズン全体ではOPS1.062。チーム全体が2安打の試合で、4番だけを責めるのは違う。
「今朝丸の評価は次回以降も見たい」── プロ初登板3回無失点は素晴らしいが、6回には満塁のピンチもあった。相手が対策してきた中でどう投げるかが本当の評価ポイント。
「津田の9回は点差のある場面」── 三者凡退は良かったが、5点ビハインドの9回。僅差や勝ちパターンに近い場面で同じ内容が出せるかは別問題。
10今後の注目点
- 大竹の次回登板。中15日明けの影響だったのか、広島側の対策がはまったのか。ストライクを打たれる課題が修正されるか。
- 佐藤輝明の状態。強い打球、長打、一本が戻るか。森下が警戒されたとき、後ろの佐藤が仕留められるか。
- 前川右京。一発をきっかけに打席内容を上げられるか。
- 今朝丸裕喜の次回登板。ストレート中心で押せるか、ランナーを背負ったときにもう一段落ち着けるか。
- 津田淳哉の起用。150キロとカーブ・フォークの組み合わせを、もう少し重要な場面で使われるか。
11まとめ ── 大竹ショックと打線沈黙、それでも若い光はあった
阪神は広島に1対5で敗れました。前日の延長負けの重さを引きずるような完敗です。大竹は3回64球、8安打、5失点。広島キラーとして期待された試合でしたが、3回に集中打を浴びました。しかも、荒れて自滅したというより、ストライクを取りに行った球を打たれた内容でした。打線は森翔平の前に2安打。得点は前川のソロホームランだけ。そして、森下の好調に隠れて佐藤輝明の直近不振も気になります。
一方で、今朝丸はプロ初登板で3回無失点。津田も9回を三者凡退。大竹ショック、打線沈黙、佐藤の状態不安。そして、今朝丸と津田という若い投手の光。この4つを、次の試合を見るための材料にしたいです。
12動画でも詳しく話しています
大竹がなぜ崩れたのか、阪神打線がなぜ重く見えたのか、佐藤輝明の直近不振、そして今朝丸と津田の内容まで、試合全体をラジオ形式で振り返っています。