- チームWARで見ると阪神13.8がセ・リーグ唯一の10超で頭ひとつ抜けた。打撃WAR10.6がチーム全体を押し上げる構図。ヤクルト9.4、巨人9.0が続き上位4球団は実順位とWAR順位が一致
- 5位と6位はWAR順位だけ入れ替わる。実順位5位の広島はWAR6位、実順位6位の中日はWAR5位。中日は打撃6.9(リーグ2位)も守備-2.9+走塁-0.5で削られているのが順位と中身のズレ
- 各球団の性格:阪神=打撃で抜ける/ヤクルト=投打バランス/巨人=全項目プラスの総合力/DeNA=投打戦えるが守備-2.6で損/中日=打撃強いが守備走塁で相殺/広島=投手で支えるが打撃1.3不足
交流戦を前に、セ・リーグ6球団の現在地をWARで整理します。順位表を見れば、どのチームが上にいるかはすぐ分かります。しかし、順位表だけでは「なぜその順位なのか」「どこで勝って、どこで損しているか」までは見えにくい。打撃で勝っているのか/投手で支えているのか/守備で損をしているのか/走塁でプラスを作れているのか――こうした部分は、勝敗だけでは見えにくい論点です。
WARは、「チームの勝利にどれだけ貢献しているか」をまとめて見る指標。プラスが大きいほどチームの勝ちに近づける働きが大きく、マイナスは損をしている。本記事ではセ・リーグ6球団のチームWARを打撃/走塁/守備/投手の4つに分解し、各球団の強みと弱みを整理します。パ・リーグは交流戦前の予習としておまけで確認します。
先に結論 ―― 6球団それぞれの「性格」
CONCLUSION| WAR順 | 球団 | 合計WAR | 性格 | ひとこと |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 阪神 | 13.8 | 打撃突出 | 打撃WAR10.6が大きく抜けてチーム全体を押し上げ |
| 2 | ヤクルト | 9.4 | 投打バランス | 打5.0/投4.5、複数選手でWARを積み上げ |
| 3 | 巨人 | 9.0 | 総合力型 | 打・走・守・投の全項目がプラス、崩れにくい |
| 4 | DeNA | 6.7 | 守備で損 | 打4.2/投4.8は戦えるが、守備-2.6で相殺 |
| 5 | 中日 | 6.4 | 打強いが… | 打撃6.9(リーグ2位)だが守備-2.9+走塁-0.5で削られる。実順位より上 |
| 6 | 広島 | 5.5 | 打撃不足 | 投手4.0で支えるが、打撃1.3が課題。実順位より下 |
上位4球団は実順位とWAR順位が一致しています。5位と6位だけが入れ替わるのがポイント――実順位の5位は広島・6位は中日ですが、WARでは5位が中日・6位が広島。中日の打撃の良さが、守備と走塁のマイナスで削られて勝敗に反映されにくい構図になっています。
実順位(2026年5月24日時点)
STANDINGS| 順位 | 球団 | 勝 | 敗 | 分 | 勝率 | 差 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 阪神 | 28 | 17 | 1 | .622 | ― |
| 2 | ヤクルト | 28 | 18 | 0 | .609 | 0.5 |
| 3 | 巨人 | 24 | 22 | 0 | .522 | 4.5 |
| 4 | DeNA | 21 | 23 | 2 | .477 | 6.5 |
| 5 | 広島 | 18 | 24 | 2 | .429 | 8.5 |
| 6 | 中日 | 15 | 30 | 1 | .333 | 13.0 |
実順位では、阪神が首位、ヤクルトが0.5差で追う展開。巨人が3位、DeNA・広島・中日と続きます。
WAR順位と実順位のズレ ―― 5位と6位が入れ替わる
WAR vs STANDINGS| WAR順 | 球団 | チームWAR | 実順位 | 差分 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 阪神 | 13.8 | 1位 | ― |
| 2 | ヤクルト | 9.4 | 2位 | ― |
| 3 | 巨人 | 9.0 | 3位 | ― |
| 4 | DeNA | 6.7 | 4位 | ― |
| 5 | 中日 | 6.4 | 6位 | +1(WAR上) |
| 6 | 広島 | 5.5 | 5位 | -1(WAR下) |
上位4球団は実順位とWAR順位が一致。一方で5位と6位は入れ替わり。中日は実順位最下位ですが、WARでは広島を上回ります。理由は打撃WARが高いこと。ただし、守備と走塁で大きく削られて勝敗にそのまま結びつきにくい構図です。広島は逆で、投手で支えていますが打撃WARが低めです。
WAR内訳比較 ―― セ・リーグ6球団
WAR BREAKDOWN| 球団 | 打撃 | 走塁 | 守備 | 投手 | 合計 |
|---|---|---|---|---|---|
| 阪神 | +10.6 |
+0.1 |
-0.7 |
+3.9 |
13.8 |
| ヤクルト | +5.0 |
+0.4 |
-0.5 |
+4.5 |
9.4 |
| 巨人 | +3.8 |
+0.7 |
+0.7 |
+3.8 |
9.0 |
| DeNA | +4.2 |
+0.2 |
-2.6 |
+4.8 |
6.7 |
| 中日 | +6.9 |
-0.5 |
-2.9 |
+2.9 |
6.4 |
| 広島 | +1.3 |
+0.1 |
0.0 |
+4.0 |
5.5 |
| 球団 | 打撃 | 走塁 | 守備 | 投手 | 合計 |
|---|---|---|---|---|---|
| 阪神 | 10.6 | 0.1 | -0.7 | 3.9 | 13.8 |
| ヤクルト | 5.0 | 0.4 | -0.5 | 4.5 | 9.4 |
| 巨人 | 3.8 | 0.7 | 0.7 | 3.8 | 9.0 |
| DeNA | 4.2 | 0.2 | -2.6 | 4.8 | 6.7 |
| 中日 | 6.9 | -0.5 | -2.9 | 2.9 | 6.4 |
| 広島 | 1.3 | 0.1 | 0.0 | 4.0 | 5.5 |
この表を見ると、チームごとの性格がはっきり出ます。阪神は打撃WAR10.6が大きく、チームWARを押し上げています。ヤクルトは打撃5.0/投手4.5の投打バランス型。巨人は打・走・守・投の全項目がプラスの総合力型。DeNAは打撃と投手は戦えていますが守備-2.6が痛い。中日は打撃6.9が高いのに、守備-2.9/走塁-0.5で削られる。広島は投手4.0が支えますが、打撃1.3が課題です。
📍 右上に行くほど「打撃も投手も強い」。阪神は右に大きく外れた打撃突出型、DeNAは上方の投手突出型、中日は右下(打強いが投弱)、広島は左上(投強いが打弱)とポジショニングがきれいに分かれる。巨人とヤクルトは中央付近で総合バランスが取れた位置。
阪神 ―― 打撃WARで大きく上回る
HANSHIN阪神はチームWAR13.8でセ・リーグトップ。内訳を見ると、打撃WAR10.6が大きく、ここがチーム全体を押し上げています。主な野手WARは佐藤輝明3.8/森下翔太2.8/大山悠輔0.9/髙寺望夢0.8/坂本誠志郎0.8。佐藤輝と森下の貢献が特に大きい。
守備面では、ライトや捕手ではプラスを作れていますが、ショート・サード・二塁・一塁ではマイナス。つまり、阪神は打撃で大きく稼いでいる一方で、内野守備には改善余地があるチームです。主な投手WARは髙橋遥人1.7/才木浩人1.4/村上頌樹0.9/ドリス0.8/岩崎優0.3/工藤泰成0.2。打撃の数字が目立ちますが、投手陣も十分に支えています。
ヤクルト ―― 投打のバランスが良い
YAKULTヤクルトはチームWAR9.4でセ・リーグ2位。打撃WAR5.0/投手WAR4.5と打撃と投手の両方でプラスを作れています。主な野手WARは増田珠1.4/丸山和郁1.3/武岡龍世1.1/古賀優大1.0。一人に依存するというより、複数選手でWARを積み上げています。
守備ではライト・一塁・二塁でプラス、一方でレフトに大きなマイナス。主な投手WARは山野太一1.2/高梨裕稔0.9/キハダ0.6/松本健吾0.5/吉村貢司郎0.4。打撃だけで勝っているチームではなく、投手でもしっかり支えているチームです。
巨人 ―― すべてがプラスの総合力型
GIANTS巨人はチームWAR9.0、実順位もWARも3位。内訳を見ると打撃3.8/走塁0.7/守備0.7/投手3.8とすべての項目がプラス。どこか一つで大きく稼ぐというより、全体で少しずつ積み上げているのが特徴です。
主な野手WARは大城卓三1.7/ダルベック1.3/浦田俊輔1.1。守備ではライト・二塁・サード・捕手でプラス、一方でセンターとレフトには課題。主な投手WARは井上温大1.1/田中将大0.9/マルティネス0.8。打撃で圧倒するタイプではないが、長いシーズンで大きく崩れにくい形です。
DeNA ―― 投打は戦えるが、守備で損をしている
DeNADeNAはチームWAR6.7、実順位もWAR順位も4位。打撃WAR4.2/投手WAR4.8。ここだけ見ると十分に戦える数字です。一方で守備WARが-2.6。ここが大きく響いています。
主な野手WARは牧秀悟0.8/佐野恵太0.7/山本祐大0.6/度会隆輝0.5。投手では石田裕太郎1.4/中川虎大0.8/レイノルズ0.8/東克樹0.6。投打は戦えているが、守備で損をしているチーム。守備のマイナスを減らせれば、チームWARはさらに上に行ける可能性があります。
中日 ―― 打撃は強いが、守備と走塁で削られる
CHUNICHI中日は実順位では6位ですが、WAR順位では5位。チームWAR6.4。打撃WAR6.9はセ・リーグでも上位の数字――「打てないチームではない」というのが中身。むしろ、打撃ではしっかり稼げています。
ただし、守備WAR-2.9/走塁WAR-0.5。特に外野守備のマイナスが大きく、打撃で作ったプラスを守備と走塁で削っている形。主な野手WARは村松開人2.8/板山祐太郎1.1/石伊雄太0.8/福永裕基0.5。投手WARは2.9、主な投手は柳裕也1.1/髙橋宏斗1.1/金丸夢斗0.7/大野雄大0.5。打撃の強みをどう勝ちに変えるかがテーマのチームです。
広島 ―― 投手で支えるが、打撃不足
CARP広島は実順位では5位、WAR順位では6位。チームWAR5.5。投手WAR4.0で支えているチームですが、打撃WARが1.3と低く、ここが大きな課題です。
主な野手WARは坂倉将吾1.6/大盛穂0.7/菊池涼介0.5/秋山翔吾0.5。守備ではセンターとレフトでプラス、一方で捕手とショートはマイナス。投手では栗林良吏1.2/ターノック1.0/ハーン0.6。投手で試合を作る土台はある。ただ、投手が失点を抑えても、打線が点を取れなければ勝ちに結びつきません。上に行くには、まず打撃面の上積みが必要です。
セ・リーグまとめ ―― WARで見ると6球団の性格がはっきり分かれる
SUMMARYセ・リーグは、WARで見ると分かりやすく分かれます。
- 阪神:打撃WARで大きく上回る
- ヤクルト:投打バランス型
- 巨人:総合力型
- DeNA:投打は戦えるが守備が課題
- 中日:打撃は強いが守備と走塁で削られる
- 広島:投手で支えるが打撃不足
順位表だけを見ると、勝敗の結果しか分かりません。しかし、WARを見ると、どこで稼いでいて、どこで損をしているのかが分かります。特にDeNAと中日は、順位表だけでは見えにくい部分が出ています。
おまけ:パ・リーグの現在地 ―― 交流戦の予習
PACIFIC LEAGUE| WAR順 | 球団 | チームWAR | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 1 | 西武 | 15.3 | 総合力が高い |
| 2 | 日本ハム | 11.7 | 総合力が高い |
| 3 | ロッテ | 9.9 | 守備に特徴 |
| 4 | ソフトバンク | 9.5 | 打線に特徴 |
| 5 | オリックス | 7.7 | 投手に特徴 |
| 6 | 楽天 | 7.3 | 走塁が課題 |
パ・リーグでは、西武と日本ハムの総合力が高く出ています。ロッテは守備、ソフトバンクは打線、オリックスは投手に特徴があります。楽天は打撃や守備で悪くない部分もありますが、走塁が課題です。
交流戦では、セ・リーグの打撃と、パ・リーグ上位の投手力・総合力がぶつかる構図になります。特にセ・リーグ最高WARの阪神(13.8)と、パ・リーグ最高WARの西武(15.3)の直接対決は、注目に値するでしょう。
最後に ―― WARで見方が変わる
CLOSING今回は、交流戦前のセ・リーグ6球団をWARで整理しました。WARは万能ではありません。ただ、順位表だけでは見えにくいチームの中身を確認するには、とても便利な指標です。
打撃で稼ぐチーム/投手で支えるチーム/守備や走塁で損をしているチーム――こうした違いを整理しておくと、交流戦の見方も変わります。この数字どおりに進むのか、それとも実際の対戦で違う形が見えてくるのか――交流戦で確認していきたいところです。
- セ・リーグはチームWARで阪神13.8が唯一の10超で頭ひとつ抜けた。打撃WAR10.6がチームを押し上げる構図
- 5位と6位だけ実順位とWAR順位が入れ替わる:中日は打撃6.9も守備-2.9+走塁-0.5で削られる/広島は投手4.0で支えるが打撃1.3が不足
- 各球団の性格は阪神=打撃突出/ヤクルト=投打バランス/巨人=総合力/DeNA=守備で損/中日=打撃強いが走守で相殺/広島=投手で支える。交流戦は阪神 vs パ・リーグWAR1位の西武(15.3)に注目
参考情報・関連リンク
REFS- ▶ YouTube本編:交流戦前のセ・リーグ分析 — WARで読み解く6球団の現在地
- 📊 WAR出典:NPB BASEMENT WAR / 1.02 WAR Glossary
- 📅 データ基準日:2026年5月24日終了時点
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