阪神タイガース WAR分析 2026.05.04 時点
総合WAR
8.7
セ1位
打撃WAR
7.8
圧倒
投手WAR
1.7
柱はいる
守備WAR
-0.1
平均付近
走塁WAR
-0.2
小さくマイナス
NPB BASEMENT WAR内訳 / 2026.05.04 時点

阪神は本当に強いのか?WARで見えた5月時点の現在地 実順位もWARもセ1位、ただし強さの中身は「投手で圧倒」ではなく打撃主導。佐藤輝明・森下翔太・大山悠輔が押し上げる阪神打線と、近本離脱後の外野再編・投手層再整備までNPB BASEMENTで整理

NOTE ― 阪神は5月4日時点で実順位もWARもセ・リーグ1位。ただし、強さの中身は「投手で圧倒」ではなく打撃WAR7.8の打撃主導。佐藤輝明・森下翔太・大山悠輔が中心で、髙橋遥人・才木浩人・ドリスという柱はいるが、近本光司の離脱、村上頌樹の復調、リリーフ再整備が5月以降の焦点になります。
2026年5月4日 時点 NPB BASEMENT WAR AIデータ二刀流ブログ
KEY POINTS — この記事の要点
  1. 阪神は実順位もWARもセ・リーグ1位。19勝11敗1分(勝率.633)/総合WAR 8.7/打撃WAR 7.8。結果と内容がしっかり一致している
  2. ただし強さの中身は打撃主導。投手WARは1.7で、チーム全体を最も押し上げているのは打撃。佐藤輝明 WAR2.6・森下翔太 2.1・大山悠輔 0.7が中軸
  3. 5月以降の焦点は「再編しながら勝てるか」近本光司の離脱で外野・上位打線の再設計、村上頌樹の復調、及川・桐敷・モレッタの立て直し、石井大智不在の穴埋めまで
📌 この記事で読めること — スクロール前に把握
  1. セ・リーグ全体の現在地:阪神は実順位もWARも1位 → 02
  2. 阪神WARの内訳:打撃で圧倒、投手は柱型 → 03
  3. WARの読み方:チーム/個人の目安と短期のブレ → 04
  4. 野手編:打撃で稼ぐ阪神:強みはどこから来ているか → 05
  5. 佐藤輝明:WAR2.6・wRC+268で圧倒 → 06
  6. 森下翔太:打撃と右翼守備の総合型 → 07
  7. 大山悠輔:出塁と安定感で支える → 08
  8. 近本光司の離脱:単なる外野手1人の欠場ではない → 09
  9. 投手編:柱はいる、厚みが課題:投手陣の全体整理 → 10
  10. 先発陣:髙橋・才木が軸、村上の復調が鍵 → 11
  11. リリーフ陣:ドリスは軸、ただし厚みが課題 → 12
  12. 石井大智不在:「ドリス1人に集中させない」形 → 13
  13. 投手陣の総まとめ:弱いのではなく厚みの再整備 → 14
  14. 5月以降の注目ポイント:再編しながら勝てるか → 15

2026年5月4日時点の阪神タイガースを、順位表とNPB BASEMENTのWARの両面から整理します。

順位表だけ見ると、阪神はセ・リーグ首位。「やっぱり阪神は強い」で終わりそうな話です。ところが、WARの内訳まで降りていくと、もう少し違う絵が見えてきます。

「阪神は強い」だけで終わらせると見えてこない、5月以降の焦点を一気に整理します。

本記事は、NPB BASEMENT 5月4日時点CSVを前提にしています。守備指標・リリーフ評価・球種評価は短期でブレやすいため、本記事では「断定」ではなく「傾向」として扱います。WARはあくまで入口で、打撃・守備・走塁・投手の内訳は「どこで稼いでいるか」を見るための材料として使います。

01

先に結論 ―― 阪神は強い、ただし「打撃主導」で「再編しながら勝てるか」が次のテーマ

CONCLUSION

5月4日時点の阪神は、かなり強いチームです。

実順位はセ・リーグ1位。WAR順位でも1位。勝敗の結果と内容面の評価が一致しています。これはなかなかできることではありません。

ただし、その強さの中身を見ると、「投手で圧倒している」のではなく、「打撃で大きく押し上げている」チームです。

打撃WAR7.8はかなり大きい数字です。チーム全体の強さを最も押し上げています。特に目立つのは、佐藤輝明・森下翔太・大山悠輔の3人。佐藤輝明は打撃で圧倒、森下翔太は打撃と右翼守備の総合型、大山悠輔は出塁と安定感で支える――役割がはっきり分かれています。

一方で課題もあります。近本光司の離脱は単なる外野手1人の欠場ではなく、センター守備・上位打線・外野配置に影響します。投手陣は髙橋遥人・才木浩人・ドリスという柱はいますが、村上頌樹の復調、ローテ下位の安定、及川・桐敷・モレッタの立て直し、石井大智不在の穴埋めが必要です。

つまり、阪神は強い。ただし、ここからは「打撃で勝つチーム」から「再編しながら勝つチーム」になれるかが問われます。

阪神は結果も内容もセ1位。だが強さは打撃主導で、近本離脱と投手層再整備が次の焦点。「再編しながら勝てるか」がここからの見どころです。
02

セ・リーグ全体の現在地 ―― 阪神は実順位もWARも1位

CL OVERVIEW

5月4日時点のセ・リーグを、実順位とNPB BASEMENTの総合WARで並べてみます。

実順位とWAR順位
実順位球団勝敗勝率総合WARWAR順位見立て
1阪神19勝11敗1分.6338.71結果も内容もトップ
2ヤクルト20勝12敗.6256.72投手で支える2番手
3巨人16勝15敗.5165.64投手寄りのバランス型
4DeNA15勝15敗.5006.03順位以上に内容は良い
5広島10勝17敗1分.3702.46投手は耐えるが打撃課題
6中日10勝20敗.3334.25順位より内容は少し上

阪神は、順位でもWARでも1位。ここまでは結果と内容がかなり一致しています。一方で、DeNAは実順位4位ながらWARでは3位、中日は実順位6位ながらWARでは5位。順位表だけでは見えにくい「内容のズレ」が少し見えてきます。

NOTE ― 本記事はNPB BASEMENT の5月4日時点CSVを前提にしています。以前の取得版とは、ヤクルト・巨人などのWAR順位が変わっていることがあります。「今回取り込んだ5月4日時点CSVでは」という前提で読んでください。

阪神は実順位もWARもセ1位。結果と内容が一致しているのが、今の阪神の現在地です。
03

阪神WARの内訳 ―― 「投手で圧倒」ではなく「打撃で大きく押し上げる」チーム

BREAKDOWN

阪神の特徴は、WARの内訳を見るとかなりはっきりします。

セ・リーグ6球団 WAR内訳比較
球団総合WAR打撃WAR走塁WAR守備WAR投手WAR見立て
阪神8.77.8-0.2-0.11.7打撃で圧倒
ヤクルト6.73.60.2-1.24.0投手で支える
DeNA6.04.80.1-1.32.2打撃強・守備課題
巨人5.61.70.30.43.3投手寄りのバランス
中日4.23.6-0.2-1.32.0打撃◎・守備課題
広島2.4-0.2-0.20.12.9投手で耐えるが打撃重い

阪神の打撃WARは7.8。これはかなり大きい数字です。投手WARは1.7、守備WARは-0.1、走塁WARは-0.2。この構造から見ると、阪神は「投手で圧倒しているチーム」というより、「打撃で大きく押し上げているチーム」です。

もちろん、投手が悪いという話ではありません。髙橋遥人・才木浩人・ドリスという柱はいます。ただ、チーム全体の強さを一番押し上げているのは打撃――これがWARの内訳から見える阪神の現在地です。

阪神の打撃WAR 7.8はセ・リーグでも突出。投手WAR 1.7と比較すると、強さを最も押し上げているのは打撃。「打撃で勝つ阪神」が今の姿です。
04

WARの読み方 ―― 万能ではないが「どこで稼いでいるか」を見る入口

HOW TO READ WAR

WAR(Wins Above Replacement)は、選手やチームがどれだけ勝利に貢献したかを見る総合指標です。打撃・守備・走塁・投手をまとめて1つの数字に落とし込めるのが強み。ただし万能ではなく、特に短期ではブレます

チームWARのざっくり目安
チームWAR見方
7以上かなり強い
5〜6台上位争い
3〜4台平均前後
3未満内容面では課題が多い

5月4日時点で、阪神は総合WAR 8.7。「かなり強い」側に明確に入っています。

個人WARのざっくり目安(5月頭時点)
個人WAR見方
1.0以上5月頭時点ならかなり優秀
0.5以上しっかりプラス
0前後平均付近
マイナス現時点では課題候補

注意 ― 守備指標・リリーフ評価・球種評価は短期でブレやすいです。本記事では「断定」ではなく「傾向」として扱います。打撃・走塁・守備・投手の内訳は「どこで稼いでいるか」を見る材料として使い、単純な足し算では説明しません。

WARは「どこで稼いでいるか」を見る入口。阪神の総合8.7は「かなり強い」側で、内訳まで降りると打撃主導の姿が見える。これが今回の読み方です。
05

野手編 ―― 阪神の強みは「打撃で押し上げる」中軸3人にある

BATTERS

阪神野手陣を見ると、強みははっきりしています。佐藤輝明・森下翔太・大山悠輔。この3人が打撃で大きく押し上げています。

阪神野手陣 主な選手の見立て
選手見立て
佐藤輝明打撃で圧倒。阪神打線最大の押し上げ役
森下翔太打撃と右翼守備で総合貢献
大山悠輔出塁と安定感で支える
近本光司センター守備と上位打線の形に関わる。離脱影響が大きい
坂本誠志郎捕手守備込みで支える
髙寺望夢複数ポジションで起用できる便利さがある

阪神野手陣は、守備や走塁で大きく稼いでいるというより、打撃で押し上げているチーム。特に佐藤輝明・森下翔太・大山悠輔の3人は、それぞれ違う形でチーム全体を底上げしています。

📋 阪神中軸3人の役割分担
佐藤輝明
打撃で圧倒する型
WAR 2.6・wRC+ 268・OPS 1.253・ISO .383
森下翔太
打撃+右翼守備の総合型
WAR 2.1・wRC+ 175・右翼TZR 6.4
大山悠輔
出塁と安定感で支える型
WAR 0.7・wRC+ 147・出塁率 .405・BB% 15.3
3人の関係
役割が綺麗に分かれている
爆発・総合・つなぎ。打線の厚みを作る理想形
阪神の打線は「中軸3人の役割分担」が明確。爆発の佐藤、総合の森下、つなぎの大山。この3人が打撃WAR 7.8の主役です。
06

佐藤輝明 ―― WAR2.6・wRC+268で打撃を圧倒する阪神野手陣の最大押し上げ役

SATO TERUAKI
輝明
⚾ 阪神 三塁 / 打撃で圧倒

佐藤輝明、wRC+268・OPS1.253・ISO.383 ― 短期とはいえ突き抜けた数字

WAR 2.6 攻撃WAR 3.1 wRC+ 268 OPS 1.253 ISO .383

佐藤輝明は、5月4日時点の阪神野手陣で最も大きな存在です。

佐藤輝明の主要数字

wRC+ 268は短期の数字とはいえかなり突き抜けています。100が平均、150以上で「かなり強い」と見るところを、ほぼ倍以上。OPSも.800以上で優秀、.900以上で強打者級と言われる中、佐藤は1.253。ISO.383は、純粋な長打力で見ても異常値級です。

守備や走塁では課題候補もあります。それでも、打撃のプラスが大きすぎる。阪神の打撃WARが大きく伸びている理由を考えるなら、まず佐藤輝明から見るべきです。

佐藤輝明は打撃で圧倒する型。wRC+ 268は短期とはいえ突き抜けている。阪神打線の最大押し上げ役は、間違いなく佐藤です。
07

森下翔太 ―― 打撃と右翼守備の両方で稼ぐ「総合型」

MORISHITA
森下
⚾ 阪神 右翼 / 打撃+守備の総合型

森下翔太、wRC+175+右翼TZR6.4 ― 打てるだけでなく守れる

WAR 2.1 攻撃WAR 1.7 守備WAR 0.6 wRC+ 175 OPS .937 右翼TZR 6.4

森下翔太は、佐藤輝明とは違う形で阪神を支えています。佐藤が打撃で圧倒するタイプなら、森下は打撃と右翼守備の両方で稼ぐ「総合型」です。

森下翔太の主要数字

森下の大きな特徴は、右翼守備でも稼いでいること。打撃でwRC+ 175・OPS .937を出しながら、右翼で守備WAR 0.6を上乗せしています。「打てるだけ」「守れるだけ」ではなく、両方できる選手は、チームとしてかなり計算が立ちます。

佐藤と森下は、阪神野手陣を見るうえでセットで考えたい存在です。佐藤は打撃で圧倒、森下は打撃と右翼守備で総合貢献。役割が違うからこそ、2人セットで打線の主役になります。

森下は「打って守れる」総合型。佐藤の爆発と組み合わさることで、阪神打線は厚みのある形になります。右翼の守備固定は5月以降も維持したいポイント。
08

大山悠輔 ―― 出塁・四球・コンタクトで打線をつなぐ「安定感」

OYAMA
大山
⚾ 阪神 一塁 / 出塁と安定感

大山悠輔、出塁率.405・BB%15.3・K%12.2 ― 派手ではないが打線の基準点

WAR 0.7 攻撃WAR 1.2 wRC+ 147 OPS .863 BB% 15.3% K% 12.2%

大山悠輔は、佐藤や森下ほど派手に見えないかもしれません。ただ、数字を見るとかなり大事な存在です。

大山悠輔の主要数字

大山の良さは「安定感」です。四球を取れる、三振が少ない、出塁できる、打線をつなげる。打線はホームランを打つ選手だけで成り立つわけではなく、アウトにならない選手・四球でつなぐ選手・球数を投げさせる選手・チャンスを広げる選手が必要です。大山はまさにそういう価値を持っています。

佐藤輝明の前にランナーを置けるか――5/5の試合で見たように、これが今の阪神打線の最大のテーマです。大山はそのテーマに対する答えのひとつ。出塁率.405、BB%15.3で、佐藤の前にランナーを置く役割を果たしています。

大山は「派手ではないが打線の基準点」。佐藤・森下が爆発する裏で、出塁と安定感で支える。打線の厚みを作るのは、こういう選手です。
09

近本光司の離脱はなぜ大きいのか ―― 単なる外野手1人の欠場ではない

CHIKAMOTO INJURY

近本光司の離脱(左手首骨折・リハビリ開始)は、単なる外野手1人の欠場ではありません

近本は、センター守備、上位打線、走塁、チームの形すべてに関わる選手です。

近本不在で影響が出る要素

近本の代わりを1人で完全に埋めるのは難しいです。だから、複数選手の組み合わせで埋める発想が必要になります。「近本の穴を1人で埋める」と考えると、ハードルが高すぎて選手を潰しかねません。

外野再編の候補(複数選手の組み合わせで埋める)
選手見立て
森下翔太右翼は大きな強み。基本は固定したい
福島圭音左翼・中堅候補。打撃で小さくプラス
髙寺望夢出塁力と起用の幅がある
前川右京打撃候補。ただし総合的にはこれから
中川勇斗守備では小さくプラス、攻撃は苦しい
岡城快生サンプルは少ないが候補として整理
小野寺暖外野の選択肢
熊谷敬宥守備・走塁・複数ポジションの便利枠

外野再編の結論は、右翼は森下が強み・センターは近本不在で再設計・左翼は流動枠。相手投手、守備配置、打順との兼ね合いでどう組み合わせるかがポイントです。

近本不在は「外野の再設計」そのもの。1人で埋めるのではなく、複数選手の組み合わせで形を作る ― これが5月以降の阪神野手陣の最大テーマです。
10

投手編 ―― 柱はいるが、厚みの再整備がテーマ

PITCHERS — OVERVIEW

阪神投手陣には、強い個がいます。髙橋遥人・才木浩人・ドリス。この3人は、5月4日時点の阪神投手陣を見るうえで、まず名前を挙げたい存在です。

ただし、チーム全体で見ると、投手陣は打撃ほど圧倒的ではありません。阪神の投手WARは1.7。打撃WAR 7.8と比べると、チーム全体の強さを一番押し上げているのは打撃です。

ここで注意したいのは、「投手陣が弱い」という話ではないこと。髙橋遥人は先発の柱、才木浩人も内容はかなり良い、ドリスはリリーフの軸。3人は明確なプラス材料です。一方で、村上頌樹の復調、ローテ下位の安定、及川・桐敷・モレッタの立て直し、石井大智不在の穴埋めなど、「厚みを整えたい」課題もあります。

投手陣の全体整理
分類主な選手見立て
先発の柱髙橋遥人、才木浩人内容指標が良く、ローテの中心として期待できる
先発の支え大竹耕太郎、ルーカス一定の安定感。ローテを支える存在
復調待ち村上頌樹投球回は稼いでいるが、本来の安定感と比べると物足りない
再調整枠伊原陵人、門別啓人、茨木秀俊登板数や状態面を含めて慎重に見たい
リリーフの軸ドリス重要場面で内容も良い
リリーフのプラス材料工藤泰成、石黒佑弥少イニングながら内容面でプラス
重い場面担当岩崎優WARだけでなくgmLIも見たい存在
立て直し候補及川雅貴、桐敷拓馬、モレッタ勝ちパターンの厚みを作るために重要
離脱影響石井大智本来なら勝ちパターンの厚みを作る投手。不在の影響が大きい

この表で見ると、阪神投手陣は「崩れている」というより、「役割ごとの再整理が必要」という見方が自然です。髙橋遥人・才木浩人・ドリスは強い。ただ、村上頌樹の復調、リリーフの厚み、石井大智不在の穴埋めが残っています。

投手陣の現在地は「柱はいる、厚みの再整備がテーマ」。崩れているのではなく、役割ごとに整理し直す段階。ここから先発・リリーフの中身を1つずつ見ていきます。
11

先発陣 ―― 髙橋・才木が軸、村上の復調が鍵

STARTERS

阪神の先発陣を見ると、まず髙橋遥人と才木浩人が大きな柱になります。2人とも、単に結果が良いというだけでなく、内容指標でも評価しやすい投手です。

一方で、村上頌樹は投球回を稼いでいるものの、内容面では本来の安定感と比べると物足りません。

先発陣の見立て
投手見立て
髙橋遥人先発の柱。ゴロと空振りを両立できている
才木浩人フォークが大きな武器。K-BB%も優秀
大竹耕太郎大きく圧倒するタイプではないが、ローテを支える存在
ルーカス投球回は多くないが、内容は悪くない
村上頌樹投球回はあるが、本来の安定感と比べると物足りない
伊原陵人状態面も含めて慎重に見たい
門別啓人現時点では再調整が必要
茨木秀俊まだ様子見
西勇輝・伊藤将司投球回が少なく評価保留。戻ってくると厚みになる

先発陣のポイントは、上位の柱はいるということです。髙橋遥人と才木浩人がしっかりしているため、ローテの上の方には安心感があります。ただし、先発ローテーションは2人だけでは回りません。長いシーズンを考えると、村上頌樹の復調、大竹耕太郎やルーカスの安定、そして西勇輝・伊藤将司のような投手が厚みとして機能するかが大事になります。

遥人
⚒ 先発の柱 / ゴロと空振りの両立

髙橋遥人、tRA2.01・K-BB%18.6・ゴロ率59.3 ― ツーシームGrade55.6

WAR 1.0 IP 33.0 K-BB% 18.6% tRA 2.01 GB% 59.3%

髙橋遥人は、tRA 2.01・K-BB% 18.6%はどちらも優秀。K-BB%は奪三振率から与四球率を引いた指標で、15%以上なら良い、20%以上ならかなり優秀。髙橋の18.6%は十分に良い数字です。tRAも2点台なら優秀の中、2.01。結果だけでなく内容面でも先発の柱と見ていい投手です。

髙橋の良さは、ゴロを取れて、空振りも取れること。武器のツーシームはGrade 55.6(50が平均、55以上でかなり良い)。ストレートGrade 53.6・スライダーGrade 52.3もしっかり機能しており、ツーシーム以外の球種も含めて崩れにくい構成。「ローテの上位で安定して回るなら、阪神投手陣の土台はかなり強くなる」存在です。

才木
⚒ 先発の柱 / フォークの破壊力

才木浩人、K-BB%25.9・tRA2.83・K%32.0 ― フォークGrade59.3/Whiff%56.3

WAR 0.8 IP 34.0 K-BB% 25.9% tRA 2.83 K% 32.0%

才木浩人は、フォークの破壊力が大きな武器です。K-BB% 25.9%は非常に優秀で、三振を取れて四球を出さないバランスがかなり良い。K% 32.0%という数字からも、三振を取れる投手であることがわかります。

才木のフォークはGrade 59.3/Whiff% 56.3/CSW% 40.9/xPV100 2.2。Whiff% 56.3%は決め球としてかなり強い数字、CSW% 40.9%はかなり優秀。打者が振っても空振りする、見逃してもストライクを取れる。両方できる球は価値が高い。単発の登板だけを見ると苦しい日もありますが、累計データでは髙橋と並んで先発陣の軸として考えていい存在です。

村上頌樹をどう見るか

村上頌樹については、評価が難しいところです。投球回は稼いでいます。つまり、ローテ投手として「投げる量」を作れていること自体には価値があります。

ただ、内容面では本来期待されるレベルと比べると、少し物足りない数字になっています。ここで大事なのは、「村上がダメ」という見方ではないこと。むしろ、村上が本来の状態に戻れば、阪神先発陣の見え方は一気に変わります

髙橋遥人、才木浩人に加えて、村上頌樹が本来の安定感を取り戻す。そうなれば、投手陣全体の安心感はかなり増します。だからこそ、村上の復調は5月以降の大きな焦点。「ローテの上位3枚」が固まるかどうかで、阪神投手陣の景色が変わります。

ローテ下位の安定

先発陣の結論はこうです。髙橋と才木が軸、大竹とルーカスは一定のプラス、村上の復調が鍵、ローテ下位の安定が課題。上の柱はある。シーズンを考えると、村上頌樹の復調とローテ下位の安定がかなり重要で、ここが整えば阪神投手陣全体の印象は一気に良くなります。

先発陣は「髙橋・才木の2枚+村上の復調+ローテ下位の安定」。上の2枚が固いので、3枚目以降がそろうとローテの景色が変わる。村上が戻れるかは5月最大の見どころです。
12

リリーフ陣 ―― ドリスは軸、ただし「厚み」が課題

RELIEVERS

阪神リリーフ陣を見るときは、WARだけではなく gmLI も見たいところです。gmLIは、どれだけ重要な場面で投げているかを見る数字。1.0が平均、1.5以上なら勝ちパターン級、2.0前後ならかなり重い場面を任されていると見ます。

ドリス
⚒ リリーフの軸 / 重要場面で内容も◎

ドリス、gmLI1.6+tRA0.90+K-BB%25.5 ― ツーシーム/スライダー/スプリットの3球種

WAR 0.6 IP 13.0 gmLI 1.6 K-BB% 25.5% tRA 0.90

阪神リリーフ陣でまず目立つのはドリスです。ドリスは重要な場面で投げながら、内容もかなり良い。勝ちパターン級の軸と見ていいです。

ドリスの球種を見ると、ツーシームGrade 54.3/スライダーGrade 53.2/スプリットGrade 53.2の3つが機能しています。特にスライダーとスプリットは空振りを取れる球。重要場面で投げながら、空振りを取れる球が複数ある――リリーフとしてかなり強い形です。

リリーフのプラス材料
投手役割見立て
ドリス勝ちパターンの軸gmLI 1.6 / tRA 0.90 / K-BB% 25.5
工藤泰成少イニング枠少イニングだが内容は良好
石黒佑弥三振枠三振を取れる投手としてプラス材料
岩崎優重い場面担当WARは大きくないが、gmLI高く重い場面を任されている
湯浅京己勝ちパターン候補大崩れではないが、勝ちパターンの柱としてはもう一段上積みが欲しい

岩崎優の見方はリリーフ評価の典型例です。WARだけで見ると大きく稼いでいませんが、gmLIが高く、かなり重い場面を任されている。リリーフ評価では、WARだけではなく起用の重さも見る必要があります。「数字で大きく稼ぐ」のではなく、「重い場面で1点もやらない」型の貢献です。

立て直しが必要な投手

一方で、及川雅貴・桐敷拓馬・モレッタは立て直しが必要です。

この3人の立て直しは、阪神リリーフ陣の厚みに直結します。ドリスが良い、工藤・石黒もプラス材料、岩崎は重い場面を任されている。ただ、そこからさらに安定感を作るには、及川・桐敷・モレッタの状態が重要です。

リリーフは「ドリス+プラス材料+立て直し候補」の3層構造。軸はある、上積み材料もある、あとは立て直し3人が戻れるか。「厚み」を作れるかが5月以降のテーマです。
13

石井大智不在とリリーフ再整備 ―― 「ドリス1人に集中させない」形を作れるか

ISHII ABSENCE

阪神リリーフ陣を見るうえで、石井大智不在はかなり大きいです。石井は、本来なら勝ちパターンの厚みを作る投手。その石井が左アキレス腱断裂縫合術で長期離脱中。この影響は、リリーフ編では外せません。

プラス材料
軸はある/上積みもある
ドリスはリリーフの軸。工藤泰成は少イニングながら内容良好。石黒佑弥は三振を取れる。岩崎優はかなり重い場面を担当。湯浅京己も大崩れではない。
課題材料
立て直し3人+石井不在
及川雅貴はかなり苦しい。桐敷拓馬も立て直しが必要。モレッタはK-BB%は良いが結果に課題。石井大智不在で勝ちパターンの厚みが足りない。

つまり、ドリスは良い。でも、勝ちパターン全体の厚みはまだ十分ではない。これが、5月以降のリリーフのテーマです。

リリーフ再整備で見るべき3つのポイント
  1. ドリスを軸に、誰を勝ちパターンに組み込むか:7回・8回をつなぐ投手の固定
  2. 岩崎優の重い場面担当をどう支えるか:左右の組み合わせ、登板間隔、回またぎの可否
  3. 及川雅貴・桐敷拓馬・モレッタをどう立て直すか:状態の戻り具合と起用法

石井大智がいない中で、既存戦力をどう組み合わせるか。ここが、阪神投手陣の大きな課題になります。「ドリス1人に集中させない」形を作れるかが見どころ。1人に過大な負荷をかけると、シーズン後半の故障リスクが上がります。

石井不在の影響は「ドリス1人に集中させない形を作れるか」に直結。軸はある・材料もある、ただし1人で抱えさせると次の不安につながる。「層で守る」リリーフを作れるかが課題です。
14

投手陣の総まとめ ―― 弱いのではなく、「厚みの再整備」が次のテーマ

PITCHERS — SUMMARY

阪神投手陣には、強い柱がいます

⚒ 阪神投手陣の3本柱
先発の柱
髙橋遥人
tRA 2.01・ツーシームGrade 55.6でゴロと空振り両立
先発の柱
才木浩人
K-BB% 25.9・フォークGrade 59.3/Whiff% 56.3の決め球
リリーフの軸
ドリス
gmLI 1.6・tRA 0.90、空振りを取れる球が複数
3人の関係
柱はあるが、厚みは足りない
投手WAR 1.7のうち、この3人で大きく稼いでいる構図

一方で、課題もあります。村上頌樹は本来の安定感と比べると物足りない。ローテ下位は安定が必要。及川雅貴・桐敷拓馬・モレッタは立て直しが必要。石井大智不在で、勝ちパターンの厚みが不足しています。

つまり、投手陣は弱いわけではありません。柱はいます。ただ、チーム全体としては、打撃ほど圧倒的ではありません。阪神が5月以降も上位を走るためには、打撃の強さを維持しながら、投手層をどう整えるか。ここが大きなポイントになります。

投手陣の現在地は「3本柱の質は高い、厚みの再整備が次のテーマ」。村上の復調・ローテ下位の安定・リリーフの立て直し・石井不在の穴埋め。これらが整ったとき、阪神は「投手も支える阪神」に戻ります。
SUMMARY — まとめ

5月4日時点の阪神は、かなり強いチームです。実順位もWAR順位もセ・リーグ1位。総合WAR 8.7。結果と内容がかなり一致しています。

ただし、その強さの中身は打撃主導です。打撃WAR 7.8、投手WAR 1.7。チーム全体を最も押し上げているのは打撃で、佐藤輝明 WAR 2.6・wRC+ 268・OPS 1.253が中心。森下翔太は打撃と右翼守備の総合型、大山悠輔は出塁と安定感で支える。役割が綺麗に分かれています。

一方で課題もあります。近本光司の離脱はセンター守備・上位打線・外野配置に影響します。1人で埋めるのではなく、複数選手の組み合わせで再編するのが現実的なアプローチです。

投手陣には髙橋遥人・才木浩人・ドリスという3本柱がいます。髙橋はツーシームでゴロと空振りを両立、才木はフォークGrade 59.3の破壊力、ドリスはgmLI 1.6の重要場面でtRA 0.90。柱の質はかなり高いです。

ただし村上頌樹の復調、ローテ下位の安定、及川・桐敷・モレッタの立て直し、石井大智不在の穴埋めは必要です。「柱はいる、あとは厚み」――これが5月以降の阪神投手陣のテーマです。

阪神は強い。
ただし、ここからは
「打撃で勝つチーム」から
「再編しながら勝つチーム」
になれるかが問われる。

5月以降の阪神は、その一点に注目して見ていきたいです。

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5月以降の注目ポイント

WHAT TO WATCH NEXT
  1. 佐藤輝明・森下翔太・大山悠輔の打撃維持:3人の中軸が現状の数字を維持できるか。佐藤の前にランナーを置けるか
  2. 近本光司離脱後の外野再編:森下右翼固定/センター再設計/左翼流動枠を、相手投手・打順との兼ね合いでどう組むか
  3. 二遊間の守備指標の改善:チーム守備WAR -0.1の中で、二遊間の守備指標が伸びるか
  4. 村上頌樹の復調:投球回は稼げている。あとは内容の戻りで先発の柱クラスへ
  5. ローテ下位の安定:5番手以降の質と量。連戦の登板計画に直結
  6. 及川雅貴・桐敷拓馬・モレッタの立て直し:左のリリーフ層と外国人枠を戻せるか
  7. 石井大智不在の穴埋め:勝ちパターンの再整備、ドリス1人に集中させない形
  8. ドリスを軸にした勝ちパターン再整備:誰が7回・8回をつなぐか

順位表だけなら「阪神は首位」で終わります。でもWARで中身を見ると、ここからの課題もかなりはっきりしている。それを踏まえたうえで「再編しながら勝てるか」を見ていくのが、5月以降の阪神を楽しむ視点です。

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反対意見・別視点

COUNTER VIEWS
「投手が弱いとは思えない」

その通りです。本記事でも「投手が弱い」とは書いていません。髙橋遥人・才木浩人・ドリスという柱の質はかなり高い。書いているのは「柱はいるが、チーム全体では打撃ほど圧倒的ではない」という構造の話です。投手WAR 1.7も、セ・リーグの中で見れば中位より上です。

「佐藤輝明のwRC+ 268は短期だから当てにならない」

これも一理あります。5月頭時点の数字は短期サンプルで、シーズンを通して同じペースで打ち続けることはまず不可能です。ただし、wRC+ 268・ISO .383は単なる「上振れ」では説明しきれない数字。シーズン後半に減速しても、4月の貯金そのものがチームを押し上げている事実は変わりません。

「WARだけで阪神を語るのは危険では?」

WARはあくまで入口です。本記事でも「WARがすべて」とは書いていません。打撃・走塁・守備・投手の内訳は「どこで稼いでいるか」を見るための材料として使い、単純な足し算では説明していません。守備指標・リリーフ評価・球種評価は短期でブレやすい点も明記しています。

「近本の穴を1人で埋めれば良いのでは?」

難しいです。近本はセンター守備・上位打線・走塁・チームの形すべてに関わっています。1人で完全に埋めるのは現実的ではなく、森下右翼固定/センター再設計/左翼流動枠で複数選手の組み合わせで埋めるのが現実的なアプローチです。


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SOURCES — 参照ソース
本記事は、2026年5月4日時点で取り込んだNPB BASEMENTのWARデータ、NPB公式・阪神タイガース公式の順位表・試合結果、各種報道情報をもとに構成しています。WARや各種指標は、データ更新や出場状況の変化によって評価が変わります。特に短期の守備指標、リリーフ評価、球種評価はブレが出やすいため、断定ではなく傾向として扱います。NPB BASEMENT のWARは過去取得版とは順位が変わる場合があるため、本記事は「5月4日時点で取り込んだCSV」を前提にしています。本文中の見立てには、データをもとにした解釈や個人的な意見を含みます。選手への誹謗中傷を目的としたものではありません。