- 大竹耕太郎が7回無失点。105球・4安打・6奪三振・無四球。球種を散らして広島打線のタイミングを外した完成度の高い投球
- 違いを作ったのは佐藤輝明の6号ソロ(打球速度174km/h・飛距離121m・角度39度)。栗林良吏の内角直球を仕留めた決勝弾
- 8回裏に近本光司が左手首付近に死球を受けて途中交代、試合後病院へ。勝ったのに喜びきれない一戦
本日の阪神対広島は、阪神が1-0で勝利しました。
大竹耕太郎投手が7回無失点。佐藤輝明選手が栗林良吏投手から決勝の6号ソロ。試合内容だけを見れば、両先発が非常に高いレベルで投げ合った投手戦であり、阪神にとって価値ある1勝でした。
しかし、試合後の空気は勝利一色ではありません。
8回裏、近本光司選手が左手首付近に死球を受けて途中交代。その後、病院で検査を受け、左手首の骨折と診断されたと報じられています。全治は現時点で発表されていませんが、チームにとってあまりにも大きな痛手です。
そのため、この記事では試合を盛り上げるというより、記録として残します。
大竹投手と栗林投手の投手戦、佐藤輝明選手の技術ある一発、森下翔太選手の状態、そして近本選手の骨折。勝った試合ではありますが、素直に喜び切れない一戦になりました。
先に結論
CONCLUSIONこの試合は、単純に「阪神打線が湿っていた」とだけ見るより、両先発の完成度が高すぎた投手戦と見るべき試合でした。
- 阪神 大竹耕太郎:7回105球、4安打、6奪三振、無四球、無失点
- 広島 栗林良吏:7回86球、2安打、4奪三振、2四球、1失点
どちらも先発として十分すぎる内容でした。その中で、唯一スコアを動かしたのが佐藤輝明選手の6号ソロです。
阪神打線全体が栗林投手を攻略できたわけではなく、佐藤輝明選手だけが一球を仕留めた試合だったと思います。
ただ、勝利の余韻は近本選手の死球で一気に重くなりました。勝ったことは大きい。それでも、今日の一番の関心は近本選手の状態です。
試合結果 ―― 阪神が1-0で広島に勝利
OVERVIEW| 項目 | 阪神 | 広島 |
|---|---|---|
| 得点 | 1 | 0 |
| 安打 | 2 | 5 |
| 失策 | 1 | 0 |
| 得点圏 | 0安打 | 0安打 |
| 得点圏打率 | .000 | .000 |
阪神はわずか2安打。広島は5安打。数字だけを見れば、どちらの打線も決して活発ではありません。
ただし、この試合は打線だけを責めるより、両先発の内容を評価したい試合でした。
阪神は4回裏、佐藤輝明選手のソロホームランで1点を先制。その1点を、大竹耕太郎投手、桐敷拓馬投手、ドリス投手の継投で守り切りました。
試合経過 ―― 動いたのは佐藤輝明の一発だけ
GAME FLOW近本選手が中前打で出塁し、中野拓夢選手が送りバント。1死二塁の形を作りましたが、森下翔太選手が中飛、佐藤輝明選手が一ゴロに倒れて無得点。
福島圭音選手の四球と盗塁、坂本誠志郎選手の四球で1死一二塁を作りましたが、小幡竜平選手、大竹投手が連続三振。ここも得点できませんでした。
試合が動いたのは4回裏です。佐藤輝明選手が栗林投手の直球をとらえ、右翼席へ運ぶ6号ソロ。これが決勝点になりました。
広島は7回表に菊池涼介選手と大盛穂選手の連打などで二死二三塁まで攻めましたが、最後は大竹投手が勝田悠斗選手を二ゴロに打ち取り、最大のピンチを切り抜けました。
結果的に、この試合の得点は佐藤輝明選手の一発だけ。両チームとも得点圏では無安打でした。
大竹耕太郎は完璧に近い7回無失点
OHTAKE大竹耕太郎投手は、7回105球、4安打、6奪三振、無四球、無失点。
今日の大竹投手は、球速で押す投球ではありません。フォーシームを軸にしながら、スライダー、チェンジアップ、ツーシーム、カットボールを丁寧に散らし、広島打線に的を絞らせませんでした。
| 球種 | 投球数 | 割合 |
|---|---|---|
| フォーシーム | 44球 | 41.9% |
| スライダー | 17球 | 16.2% |
| チェンジアップ | 17球 | 16.2% |
| ツーシーム | 16球 | 15.2% |
| カットボール | 7球 | 6.7% |
| カーブ | 2球 | 1.9% |
| フォーク | 1球 | 1.0% |
| イーファス | 1球 | 1.0% |
フォーシーム・ツーシーム・チェンジアップ・カットボールを散らし、ストライクゾーンの四隅と外側を丁寧に使い分けている。
© NPB Enterprise, Inc.
配球チャートを見ると、フォーシーム(赤丸)が中央高めから外角まで広く分布し、ツーシーム(赤二重丸)は内角に意識的に集めていることがわかります。チェンジアップ(薄水色四角)は低めに散らし、カットボール(黄色チェック)は外角の出し入れに使う構図。球種の多さに加えて、それぞれの球種をゾーンの違う場所で使い分けているのが特徴です。
目立つのは、球種の多さです。ストレートだけで押すのではなく、左右、高低、緩急を使って、広島打線のタイミングを外していました。特に無四球だったことが大きく、余計な走者を出さず、自分で苦しくなる場面をほとんど作りませんでした。
最大の見どころは7回表です。広島は二死二三塁まで攻めましたが、大竹投手は最後に二ゴロでしのぎました。1点差の試合で、あの場面を無失点で切り抜けたことが、最終的な勝利に直結しました。
今日の大竹投手は、派手さよりも完成度。球威で圧倒するのではなく、配球と制球で試合を支配した7回でした。
栗林良吏もほぼ完璧だった
KURIBAYASHI広島の栗林良吏投手も、非常に良かったです。7回86球、2安打、4奪三振、2四球、1失点。失点は佐藤輝明選手のソロホームランだけでした。
阪神打線は、近本選手の中前打と佐藤輝明選手の本塁打以外、安打を打てていません。つまり、栗林投手を攻略したというより、佐藤輝明選手の一発だけで勝った試合でした。
| 球種 | 投球数 | 割合 |
|---|---|---|
| フォーシーム | 29球 | 33.7% |
| カットボール | 23球 | 26.7% |
| フォーク | 18球 | 20.9% |
| カーブ | 11球 | 12.8% |
| スライダー | 5球 | 5.8% |
フォーシーム・カットボール・フォーク・カーブで阪神打線の芯を外す配球。ゾーン中央から低めに球を集めている。
© NPB Enterprise, Inc.
配球チャートを見ると、フォーシーム(赤丸)はゾーン中央から低めに集中、カットボール(黄色チェック)が左右に散らされているのがわかります。フォーク(水色四角)は意図的に低めゾーン外に落とし、カーブ(緑三角)は緩急のアクセント。球速ではなく球の出し入れと球種の混ぜ方で阪神打線の芯を外す形が見て取れます。
栗林投手は球速で圧倒していたわけではありません。ただ、カットボール、フォーク、カーブをうまく使って、阪神打線の芯を外していました。ストレートを待てば変化球でずらされ、変化球を意識すればストレートで押し込まれる。そういう投球でした。
7回86球という球数もかなり優秀です。1イニング平均で約12球。三振を量産するというより、早いカウントで打たせて取る、先発として非常にまとまった内容でした。
栗林投手は「球速が出ていないから悪かった」のではなく、球速に頼らなくても抑えられる形を作れていたように見えました。
それでも佐藤輝明だけが違いを作った
SATO TERUこの試合の最大の分岐点は、4回裏の佐藤輝明選手の6号ソロです。
報道では、佐藤輝明選手の一発は栗林投手の内角高めの直球をとらえたもので、打球速度174km/h、打球角度39度、滞空時間は手動計測で6.4秒。飛距離は121メートルとされています。
角度39度は、一般的には少し上がりすぎにも見える角度です。ライナーで突き刺すホームランというより、高く上がった大きな飛球。それでもスタンドまで届いたのは、打球速度174km/hという強烈な初速があったからだと思います。
さらに今日の佐藤輝明選手は、本塁打以外の打席内容も悪くありません。
| 打席 | 結果 | 打球速度 | 飛距離 | 角度 |
|---|---|---|---|---|
| 第1打席 | 一ゴロ | 172.0km/h | 29.0m | 4.0° |
| 第2打席 | 本塁打 | 174km/h前後 | 121m | 39° |
| 第3打席 | 左飛 | 160.9km/h | 96.6m | 43.0° |
第1打席の一ゴロは、結果だけ見れば凡退です。ただ、打球速度172km/hのゴロです。これは普通の凡打ではありません。角度が低く、コースに恵まれなかっただけで、打球の質はかなり良かった。
第3打席の左飛も、打球速度160.9km/h、飛距離96.6m。これも凡退ではありますが、内容としては悪くありません。
つまり今日の佐藤輝明選手は、ホームランだけでなく、凡退の中身まで含めて状態が良かったと言えます。栗林投手は良かった。阪神打線もほとんど抑え込まれていた。それでも佐藤輝明選手だけが違いを作った。今日の試合は、そこに尽きると思います。
森下翔太は少し重く見えるが、第一打席は悪くない
MORISHITA森下翔太選手は、今日3打数無安打でした。
最近の森下選手は、少し状態が重く見えます。もちろん、シーズン全体の数字を見れば、まったく悪い選手ではありません。むしろ十分すぎる成績を残しています。
ただ、今日の打席内容を見ると、少し気になる部分もありました。
| 打席 | 結果 | 打球速度 | 飛距離 | 角度 |
|---|---|---|---|---|
| 第1打席 | 中飛 | 158.2km/h | 108.5m | 33.0° |
| 第2打席 | 三ゴロ | 158.8km/h | 27.1m | 4.0° |
| 第3打席 | 投ゴロ | 88.7km/h | 0.9m | -79.0° |
第1打席の中飛は、内容としては悪くありません。打球速度158.2km/h、飛距離108.5m、角度33°。アウトにはなりましたが、しっかり飛ばせている打球でした。
一方で、第2打席は三ゴロ、第3打席は投ゴロ。ここは少し重く見えました。
森下選手については、「不調」と断定する段階ではないと思います。数字上はまだ十分に高い。ただ、ここ数試合の見た目として、打球が上がりきらない場面や、打ち損じに見える打席が増えている印象はあります。
数字上は崩れていない。第一打席の内容も悪くない。ただし、状態が少し重く見える打席もある。今後の数試合で、森下選手の打球角度と打球方向は見ておきたいポイントです。
近本光司が左手首骨折 勝利の空気が一変した死球
CHIKAMOTO ― FRACTUREこの試合で最も重く残ったのは、8回裏の近本光司選手への死球です。
8回2死走者なし。広島の高太一投手が投じた151キロの直球が、近本選手の左手首付近に直撃しました。近本選手はその場に倒れ込み、トレーナーとともにベンチへ下がり、代走・小野寺暖選手が送られて途中交代となりました。
試合後、近本選手は兵庫県内の病院を受診し、左手首の骨折と診断されたと報じられています。全治は発表されていませんが、今後はSGL尼崎でリハビリに入る予定とされています。
これは、阪神にとってあまりにも大きな離脱です。
近本選手は単なる1番打者ではありません。
出塁、走塁、守備範囲、センター守備、相手投手へのプレッシャー、そして試合のリズム。阪神の野球の入口を作っている選手です。
だからこそ、この死球はただの一場面では終わりません。
前日には森下翔太選手も手首付近に死球を受けていました。もちろん、死球がすべて故意だとは言えません。インコースを攻めることも野球の一部です。
ただ、主力選手の手首付近に連日当たってしまえば、阪神ファンが荒れるのは当然です。勝った試合なのに、試合後に残った感情は喜びよりも不安と怒りでした。
今日の1勝は大きい。でも、その代償が近本選手の骨折であっていいはずがありません。
まずは少しでも早い回復を願うしかありません。
今後の注目点
NEXT- 近本光司の復帰時期と全治:左手首骨折と診断され、SGL尼崎でリハビリに入る予定。全治期間と復帰時期、復帰後の打撃感覚と守備への影響を注視したい
- 近本不在の期間をどう戦うか:1番センターの空白は大きい。代役の起用法(小野寺・前川・福島ら)、打順の組み替え、走塁・守備範囲の損失をどう補うか
- 森下翔太の打球内容:数字上はまだ十分に良い。ただ、今日の後半の打席は少し状態が重く見えた。結果だけでなく、打球速度・打球角度・強い外野フライが出ているかを見たい
- 佐藤輝明の安定感が続くか:ホームランだけでなく、一ゴロも左飛も強い打球。結果と内容がかなり一致している。この状態が続くなら、阪神打線の軸として相当頼もしい
- 打線全体の得点圏:阪神は勝ちましたが、得点圏ではヒットが出ていません。毎試合ホームランだけで勝てるわけではない。つなぐ場面、最低限の場面、得点圏での一本
阪神は広島に1-0で勝利しました。
大竹耕太郎投手は7回無失点。広島の栗林良吏投手も7回1失点。両先発がほぼ完璧に近い内容を見せた、非常に締まった投手戦でした。
その中で試合を動かしたのは、佐藤輝明選手の6号ソロでした。栗林投手の内容は悪くありませんでした。むしろ、阪神打線はほとんど抑え込まれていました。それでも佐藤選手だけが一球を仕留め、試合を決めました。
ただ、この試合を語るうえで、近本光司選手の骨折は避けられません。8回裏、左手首付近への死球で途中交代。試合後に病院で左手首の骨折と診断されたと報じられました。阪神にとって、近本選手の離脱は攻撃面だけでなく、守備面、走塁面、チーム全体のリズムに大きく関わります。
勝った。
でも、素直には喜べない。
今日の阪神対広島は、そういう試合でした。
記録として残すなら、外せないのはこの4点です。
- 大竹耕太郎投手の7回無失点
- 栗林良吏投手の好投
- 佐藤輝明選手の技術ある決勝ホームラン
- 近本光司選手の左手首骨折
チームは勝ちました。ただ、これから本当に問われるのは、近本選手不在の期間をどう戦うかです。
- スポニチアネックス:阪神・近本光司が左手首の骨折で痛恨の離脱へ — sponichi.co.jp