阪神9-16DeNA 4月21日 乱打戦
阪神タイガース 試合分析 データ

15分早く始まったのに全部飲み込まれた 9-16乱打戦を、才木・佐藤輝・悪夢の8回から整理する

2026年4月21日 AIデータ二刀流ブログ
KEY POINTS — この試合のポイント
  1. 阪神14安打9得点。それでも16失点で負けた。「打てなかった負け」ではなく、「打っても投打守が揃って崩れた負け」
  2. 才木は球威不足ではなく"追い込んでからの詰め"の問題。0-2や1-2から3連続で仕留め切れなかった5回裏が最初の分岐点
  3. 佐藤輝明は今日だけ別格。3安打3打点・二塁打3本、打球速度176.5km/hはただの好調ではなく異常値に近い日だった
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阪神LOSE 9 16 DeNAWIN

今日は17時45分開始、普段より15分早い試合でした。でも、そんなことが完全にどうでもよくなる試合でした。終わってみれば22時06分終了、試合時間は4時間21分。阪神14安打9得点、DeNA14安打16得点。両軍合わせて28安打25得点。普通の乱打戦というより、試合全体がずっと燃え続けたようなゲームでした。

しかも最後には2失策まで出て、内容が多すぎる試合になりました。今日は「打線は十分仕事をしたのに、それ以上に投手と守備が試合を壊した日」と整理するのがいちばん自然です。

阪神安打
14
9得点
佐藤輝明
3安打
3打点・二塁打3本
失策
2
8回裏に集中
試合時間
4:21
22時06分終了
01

先に結論を言う

CONCLUSION

今日は打線を責める試合ではありません。阪神は14安打9得点。中野は3安打3得点、森下は2安打1打点、佐藤輝は3安打3打点、大山は2安打1打点2四球、福島は1安打1打点、坂本も1打点、そして嶋村にはプロ初安打が出ました。これだけ点を取り、これだけ多くの打者が仕事をしている以上、本来は十分勝ち筋のある試合です。

逆に、阪神が負けた理由はかなりはっきりしています。才木が5回6失点で試合を締められなかったこと7回裏にモレッタと木下で4失点したこと8回表で10-9まで詰めた直後に8回裏で湯浅・岩貞・小幡の失策で6失点したこと。この3段階です。

つまり今日は、一人だけの敗戦ではない。ただ、最初の分岐点を作ったのは才木で、そこからなかつぎ陣が止めきれなかった、そういう負け方でした。

02

1〜3回 ── 阪神はかなり良い入りだった

EARLY INNINGS

阪神は初回、近本のライト線二塁打と中野の右前打でいきなり無死一三塁を作ります。ここで森下はサード併殺打でしたが、その間に1点。2回には福島がヒットで出て、坂本の適時打で追加点。3回には佐藤輝の右中間二塁打で3点目。序盤3イニングで3点、しかも相手先発の深沢には90球を投げさせ、4回1/3で8安打5失点に追い込んでいます。ここまでは阪神の打線がしっかり試合を握っていました。

一方の才木は、2回までは無失点でした。ただ、立ち上がりから完璧だったかというと、そうでもない。初回に佐野へ四球、2回には山本と勝又に死球。ランナー自体は出しているんです。まだ失点にはつながっていないだけで、球が完全に走って相手をねじ伏せている感じではなかった。ここがまず一つ、後で振り返ると見逃せないポイントです。

そして3回裏、1死から三森に四球を出し、牧に右中間へ2ラン。3-0で行きたかったところが、一気に3-2になる。四球で走者を出してから一発を食らうという流れが、今日の才木の悪さの始まりでした。阪神は直後に5回表までに2点を加えて5-2と再びリードを広げますが、才木はもう「楽な試合の運び方」はできなくなっていました。

03

5回裏 ── 才木崩れの本質は「追い込んでから仕留められない」

THE COLLAPSE

この試合の最初の大きな分岐点は、間違いなく5回裏です。三森にセンター前ヒット、盗塁、牧のショートゴロで進塁打、1死三塁から佐野にタイムリー。ここまではまだ5-3。試合は壊れていない。

でも、そのあと宮﨑を0-2から見逃し三振に取って2アウトまで行きながら、度会に1-2から右前打、山本に1-2から左越え2点二塁打、さらに勝又に0-2から中前適時打。2アウトから、有利カウントを取りながら3連続で仕留め切れなかった。これが今日の才木の本質でした。

ここは単純に「運が悪かった」では片付けにくいです。度会には1-2、山本にも1-2、勝又には0-2。投手有利の形は作っている。にもかかわらず、最後の1球で甘く入るか、狙われる高さに行くか、決め球の質が足りずに前へ飛ばされる。球速が全然出ていない投手の崩れ方ではなく、カウントは作れるのに、勝負球の精度が足りない投手の崩れ方なんです。今日はここをはっきり言わないといけない。

なお、トラッキングデータではフォーシームは148〜151キロ帯で出力自体はあり、5回で4奪三振も取っています。つまり全く通用していないわけではない。問題は「勝負所の最後の1球」だけです。

TRACKING DATA / 才木浩人 配球チャート(2026.04.21)

フォーシーム フォーク スライダー カーブ
才木浩人 配球チャート 2026年4月21日 NPBトラッキング

投球数 102球。フォーシームが全体の半数超を占めるが、ストライクゾーン外への散らばりが目立つ。 特に5回以降、追い込みながらゾーン四隅の精度が落ち、甘く入った球を捉えられる場面が続いた。 フォークは低め方向へ集まっており球種自体の制球はあるが、フォーシームの抜け球が多発し直球頼みのカウント球が狙われた可能性が高い。 ©NPB Enterprise, Inc.

04

7回 ── 追いついたのに、一瞬で壊れた

7TH INNING SWING

▍6回:工藤が一度流れを切った

全部が全部悪かったわけではありません。6回裏、工藤が出てきて林を三振、三森を一ゴロ、牧を三振。1イニングを完璧に締めました。今日の投手陣の中で数少ない明確なプラス評価です。この1イニングで一回DeNAの勢いを切ったから、7回表の反撃が成立しました。

▍7回表:同点に追いついた

7回表、佐藤輝が左中間二塁打で出塁。大山がライト前へつなぎ、1死一三塁。木浪の二ゴロの間に1点を入れて6-6の同点に追いつきます。追いついたのは偶然ではなく、佐藤輝と大山で作った形。主軸が試合を戻したんです。

▍7回裏:即崩れた

ところがその裏、工藤から代わったモレッタが、佐野に3-2から四球、宮﨑に3-1から四球、度会に0-2からライト前ヒットで無死満塁。さらに山本に3-1から押し出し四球。木下に代わっても勝又に2-0から2点タイムリー、林に四球、2アウトから牧に1-2からタイムリー。追いついた直後の裏に4失点。しかも内容が悪い。四球、四球、ヒット、押し出し。ここで試合の空気がもう一度、DeNAへ大きく傾きました。

モレッタについては、公式記録だけ見ても0/3回で3四球1安打4失点です。スライダー比率が高く見極められ、ゾーンに入れにいくと打たれたという整理は、この内容と整合的です。

05

8回 ── 希望も絶望も全部入っていた

THE NIGHTMARE 8TH

▍8回表:1点差まで詰めた

8回表、代打嶋村がライト前ヒット。これがプロ初安打でした。小幡のショートゴロで走者が入れ替わり、近本が四球、中野が右前打で満塁。森下が初球をレフト前へ運んで1点。さらに佐藤輝が1-1からライト線へ2点タイムリー二塁打で10-9。1点差。しかもまだ1アウト二三塁で大山を歩かせて満塁。球場の空気はもう一回阪神に寄ったと思います。嶋村の初安打もあって、流れとしては最高潮でした。

▍8回裏:試合が完全に壊れた

でも、その直後の8回裏がひどかった。湯浅が宮﨑に3-0から四球、度会に3-1から四球。山本の犠打で1死二三塁になって、勝又に初球をセンター前へ運ばれて11点目。岩貞に交代しても京田に2-0からレフト前タイムリー、さらに林のショートゴロを小幡が失策して1点、そして三森にセンター前2点タイムリー。

1点差まで詰めた直後に、四球・タイムリー・タイムリー・失策・タイムリーで6失点。これはもう、悪夢という言葉でしか表現しにくいです。

この8回は、今日の阪神の悪いところが全部入っています。投手が先頭を歩かせる。次も歩かせる。送りバントを決められる。初球を打たれる。守備が止められない。つまり、投手・守備・流れ、全部が同時に崩れた。「まだいける」と思わせた直後に、負け方まで最悪になったイニングでした。

06

佐藤輝明 ── 今日だけ別格だった

SATO TERU

今日最大のプラスは佐藤輝です。4打数3安打3打点1四球・二塁打3本。3回の右中間二塁打、7回の左中間二塁打、8回のライト線2点タイムリー二塁打。長打で試合を動かし続けた。しかも7回は同点の起点、8回は1点差まで詰める2点打。単なる個人の猛打賞ではなく、スコアに直結する打撃ばかりでした。

トラッキングデータをあわせると、さらに面白いです。第6打席の打球速度が176.5km/h、第1打席のセンターフライも174.5km/hとされています。この数値が示すのは、今日の佐藤輝は「ただの好調」ではなく、かなり異常値に近い当たりの連続だったということです。つまり今日は、「3安打3打点でした」では弱い。結果だけでなく、中身も怪物級の日でした。本塁打が混ざってもおかしくない日が、たまたま二塁打3本に収まった。

打席結果打球・補足
第1打席センターフライ打球速度174.5km/h(凡打でも異常値)
第2打席右中間二塁打3回・3点目の適時打
第3打席三振
第4打席左中間二塁打7回・同点の起点
第5打席四球大山と並ぶ選球眼
第6打席ライト線2点二塁打打球速度176.5km/h・10-9に
07

他にも評価できる材料はあった

POSITIVES

▍中野・大山・森下 ── 上位中軸はちゃんと仕事をした

佐藤輝の影に隠れますが、中野も3安打3得点でかなり良かったです。初回のチャンスメーク、3回のヒット、5回の四球、8回の満塁を作るライト前打。今日は打線がつながった時、かなりの確率で中野が絡んでいます。森下も2安打1打点で、8回の満塁タイムリーは極めて大きかった。大山も2安打1打点2四球。上位から中軸は、かなり仕事をしています。

▍工藤泰成 ── 今日のプラス投手はここだけ

今日のプラスを投手で言えば、工藤だけです。1イニング、9球、3人で終わり、三振2つ。相手の勢いが強かった6回にこれをやったのは大きい。今日の阪神投手陣は総崩れの印象になりがちですが、その中で一人だけはっきり「流れを切った」と言える投球でした。こういう日ほど、こういう1イニングをちゃんと拾って評価したいです。

▍福島圭音と嶋村 ── 若手の前向きな材料

福島は2回にヒットで出て坂本の適時打で生還、5回には押し出し四球で打点、3回にはファウルフライを追ってフェンスに激突するハッスルプレーもありました。嶋村には8回表にプロ初安打。大量失点試合は全部が暗くなりがちですが、若手の前向きな材料がゼロではなかったのは救いです。

08

今日の敗因を正直に整理する

ROOT CAUSES

▍才木:球威不足ではなく実行精度不足

今日の才木は、球速が出ていなくて打たれた投手ではないです。フォーシームは148〜151キロ帯、4奪三振を取っています。つまり全く通用していないわけではない。問題は、勝負所の最後の1球でした。四球2、死球2で自分から走者を増やし、3回は四球の直後に被弾、5回は2アウトから有利カウントを作りながら3連打。これは風やマウンドだけでは片付かない

今日の才木を言い換えると、「途中までは投手有利に持っていける。でも、そこから仕留める球の質が足りなかった」。これです。今日はエース格の内容ではなかったです。

▍7回・8回の継投:内容として厳しい

7回は追いついた直後にモレッタを出して無死満塁まで作り、押し出しを含めて4失点。8回は10-9まで詰めた直後に湯浅が連続四球から崩れ、岩貞に代えても止まらず6失点。今日は継投だけにするのはフェアではないですが、出ていった投手が役割を果たしたとは言えない。しかも厳しいのは、四球で自滅の入りを作っていること。ここは今後も尾を引きやすいです。

▍守備のミスが最悪の場面で出た

阪神は最終的に2失策。特に8回裏の林の打球を小幡が処理し切れず1点を失った場面は、湯浅から岩貞へつないでもう踏ん張るしかない局面でした。ここで1つアウトを確実に取っていれば、まだ最悪の展開は避けられた可能性がある。大量失点試合では目立ちにくいですが、守備のミスが流れを完全に切ったという意味で、非常に重いエラーでした。

09

DeNA打線も正当に評価する

CREDIT TO DENA

阪神の自滅だけで片づけると、試合を見誤ります。DeNA側も、かなり打っていました。牧は3安打3打点で3回に2ラン、8回には二塁打。勝又は3安打4打点で5回・7回・8回と要所でタイムリー。三森も2安打2打点1盗塁で、才木の5回の崩れの始点になり、8回には2点打。山本も1安打3打点。

トラッキングデータでも、牧174.1km/h、勝又172.7km/hという打球速度が示すように、今日は「阪神投手が一方的に悪かった」というより、DeNA打線がハードヒットで刈り取った試合でもありました。

また、DeNA投手陣も楽ではなかったです。深沢は4回1/3で5失点、橋本は2/3回で3四球、伊勢は8回に4安打2四球で3失点。チーム全体でも202球、14安打、6四球、9失点。だから今日は「阪神だけが変」ではなく、両軍とも投手が苦しみ、より要所で打った方が勝った試合と見た方がいいです。阪神側が特にしんどいのは、その乱打戦の中で、7回と8回の壊れ方がより悪かったことです。

10

明日からの改善点

GOING FORWARD

① 才木は「追い込んでからの設計」を見直したい

今日の才木は、初球から全部悪かったわけではありません。問題は、追い込んでからでした。だから改善点も単純な「もっと強い球を投げろ」ではない。追い込んでから何で仕留めるかをもう一段整理すること。1-2や0-2から同じ高さに集まった可能性があるなら、決め球の高さ、見せ球とのセット、ファウルを取る球と仕留める球の順番を再設計する必要があります。

② なかつぎは「先頭打者」と「ストライク1球目」を徹底したい

7回も8回も、崩れ方の入口はかなり似ています。先頭を歩かせる、もしくは初球や少ない球数で主導権を渡す。追いついた直後、詰めた直後ほど、まず1アウト欲しい。でもそれが取れなかった。先頭打者を出さない、最低でも1球目を入れる、バント前に走者を増やさない、ここです。

③ 守備は「大量失点試合ほど雑にしない」

小幡の失策だけで今日を語るのは酷です。ただ、ああいう試合だからこそ、守備のワンプレーで流れが死ぬ。大量失点していると守備まで雑になりやすい。でも逆で、大量失点試合ほど守備で切らないといけない

④ 打線の形は崩さなくていい

今日の阪神で、明日に向けて一番変えなくていいのは打線です。近本・中野で出て、森下・佐藤輝・大山で返す。この骨格自体は機能していました。福島、坂本、嶋村のような脇役にも材料があった。9点取っているチームが打順から全面改造に入る必要はない。打線は維持、投手と守備の再整理でいいです。

11

まとめ

SUMMARY
この試合を3行でまとめると
  1. 阪神は14安打9得点。それでも負けた。打てなかった負けではなく、才木→継投→守備と3段階で崩れた負け
  2. 佐藤輝だけが別格だった。3安打3打点・二塁打3本・打球速度176.5km/hは「好調」を超えた日だった
  3. 明日見るべきは打線ではなく投手の詰め方と守備。先頭を出さない・追い込んでから仕留める・大量失点中も守備を丁寧に

今日は15分早く始まったのに、それが完全にかすむ4時間21分の異常試合でした。阪神は14安打9得点。それでも16失点で負けた。だからこの試合は「打てなかったから負けた」ではないです。打った。それでも勝てなかった。そこに今日の重さがあります。

敗因を一言で言うなら、才木が5回を締められず、7回に追いついた直後の継投が崩れ、8回表で希望を見せた直後に8回裏で試合を壊したことです。ただ、その中でも佐藤輝は別格だった。福島や嶋村にも前向きな材料はあった。全部が地獄ではない。でも、負け方が悪すぎた。今日はそこを正面から認めないといけない試合でした。

明日から見るべきは、打線が冷えるかどうかより、投手がカウント有利からどう終わらせるか、そして終盤の守備と継投をどう立て直すかです。